なんの罪も謂れもない無関係な幸せ家族が理不尽に霊に襲われて不幸になる話。残されたババァと息子とその友人(女子)が怨念に立ち向かう。割と真面目にホラーだが、↑上図のようにラブコメ的にもかなりおいしい。ホラー平気ならオススメ。なお左の子がサユリではない。サユリはボス。とりあえず表紙は詐欺。以下ちょいネタバレ気味かも。
基本情報
全2巻。かつてローゼンメイデン全盛期には都市伝説扱いされたバーズ連載。作者はラブコメ界隈的にはハイスコアガールが代表作になりそうな押切蓮介。この人はホラーとギャグがウリなのは間違いないんだけど、それとは別にラブコメの人だと思っている。というか当ブログで取り上げる初の押切蓮介作品にどうしてこれを選んだんだろう俺。いやでもこれが一番くるんだよ実はラブコメ的に。
とはいえ本作はホラーが前面に出されており、苦手な人は割とマジで怖いと思われる。小学生の時に読んだらトラウマになるかもしれない。でも俺はラブコメだと思ってる。そしてバトル漫画でもある。
ところで押切蓮介の絵柄は、本当にホラー嫌いの人にとってはホラーセンサーに引っかかるみたいだ。次姉がホラー嫌いなんだが、サユリは表紙見せただけで嫌がったのはもちろん、純粋にラブコメであるハイスコアガールでさえなんだか怖がっていた。なるほど。
だいたいこんな感じ
頑張ってマイホームを手に入れた一家が、さぁこれからだというところで、家に取り憑いていた霊に片っ端から殺される。しかも惨たらしく殺される。一人ひとり殺される。精神的に追い詰められて自ら命を断つ者も。そして、一人残された息子は、霊が嘲笑う中、錯乱し……戦いの火蓋が切って落とされた!
いや端折ったんだけどさ、筋としては冒頭のとおりなんの罪も謂れもない無関係な幸せ家族が理不尽に霊に襲われて不幸になる話。なんだが、それで終わりでなくて、霊と戦いだすのがなんとも押切蓮介だ。構成としては1巻で幸福の頂きから絶望の淵へと転げ落ち、2巻でその逆襲、という感じなので、1巻読みだすと鬱すぎて嫌になる人もいそうだが、読みだしたなら最後まで読むべき。ちょっとラブくなるのも2巻。
怨念と戦うことになるのは息子、神木則雄とババァ。というかババァ。名前忘れた。ババァだよ。ババァはすごいよ。後半のババァ無双は一見の価値あり。ババァすごすぎてどうしても多少目立たないが、基本的には則雄が主人公で、則雄視点で話が進む。そして忘れちゃいけないラブ。
則雄と同じ学校で、霊感体質の女子、住田奈緒は、神木家によくないものがいるから家出てったほうがいーよと序盤から忠告する。ホラーものでよくあるそういう役割の人かなとおもいきや、この子がしっかりヒロインだった。続けざまに不幸に襲われる則雄に対して、最初は同情のような気持ちで接していたが、それでもなお諦めず、強く霊と戦おうとする則雄に、だんだんと惹かれていき、自ら則雄の傍で共にいることを誓うようになるのだ。記事冒頭にそのシーンを引用したが、これだけでラブコメ好きなら非常に来るものがあるはずだ!
押切蓮介の描くヒロインは、芯の強い女性ばかりでとても好きなのだけれど、本作のヒロインも霊に漏れず、比較的目立たず地味ではあるものの、個人的には押切ヒロインの中でもけっこう上位だったりする。
則雄と奈緒が未来として残されるので、悲壮な話ではあるものの、ババァインパクトの強烈さもあって不思議と悲壮感はなく、読後感のさっぱりしたバトルでホラーなラブコメ漫画と、いい感じにわけわかんなく仕上がっている。
総評
恐怖の根源がわからなさにあるとすれば、真に恐ろしいのはババァかもしれない。
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