『さんかれあ』11巻(最終巻)感想:これはハッピーエンドなのか否か

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これ積読して一年以上たってるよ。忘れていたわけじゃないんだけれど、話の流れがうろ覚えだったから、けっこう遡って読み返さないとなぁと思うと、なかなか時間が取れなかった。そういう漫画多くって。でもようやく読んだよ。ゾンビラブコメの結末は、ずっと気になっていたんだ。以下ネタバレ。

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まさかの全員生還

驚きの全員生還エンド。正直、礼弥は死ぬもんだとばかり思ってたよ。だってゾンビだもの。そうしたら、むしろ千紘が死にそうな展開になるし。えぇーと思って、これ千紘死んだら相当鬱なんだけど、と思いつつ読んでいたら、最後に復活。全員生還エンドと相成りました。

これは作者も悩んだろうなぁ。どう考えたって、誰かしらが命でケジメつけるのが、物語としては綺麗だし、そうあるべきのような気がする。全員生還は、いくら物語とはいえ、漫画とはいえ、どうにもご都合主義感免れ得ない。でもキャラは可愛くて可愛くて仕方なかったろうし。悩むよなぁ。

そうは言っても、千紘が死んで礼弥が生きる、というのはどうにも納得がいかないのは確か。といって、千紘も礼弥も死ぬ、ではあまりに救いがない。礼弥は死に千紘は生きる、は納得できるし綺麗だと思うけれど、でも大部分の読者に予想されるありきたちオチと言えるかもしれない。

そうすると、千紘が死にそう?からの全員生還は、意外性があるし、読後感もさっぱりするしで、けっこういいのかも。

死を受け入れる時間

もっとも、これが本当にハッピーエンドかと言うと、それは異論もあろうな。ゾンビを生き永らえさせることが幸せか?というもっともな疑問もある。というか、誰がどう考えたってそんなのは間違えているし、恐らく千紘の希望のように、礼弥がこの先何十年もその身体を維持させることは、かなり望みが薄いのではないかと思われる。

でも、たとえそうなったとしても、その時は、皆、礼弥の死を受け入れられるんじゃないかなと思う。ゾンビに限らず、人だって、いつか死ぬわけで。だからといって、寿命を延ばす行為が無駄ということにはならない。礼弥がその時を迎えるのは、ほんのすぐ先のことかもしれないけれど、皆とのゆったりとした生活、さらに再び千紘と共に生きる時間を持つことができたのであれば、穏やかに死を迎えられるように思う。だとすれば、それは意味がある

礼弥がこの先ずっと生きられる展開だって、考えられないこともないしね。そのへんは読者の想像に委ねられたわけだ。いずれにせよ、決して悲観的な未来が待っているわけではない。だから、やっぱり、これはハッピーエンドと言っていいんだと思う。

基本コメディ調で、パロディ満載、美少女ゾンビ萌えを全面に押し出しつつも、その実は破滅の予感しかなかったこの漫画が、こんな風に綺麗に終わるとは思わなかったな。うん。よかったんじゃないか。やっぱり、ラブコメは未来を感じさせるものじゃないと。いいラブコメだった。礼弥が死んだらダリンと付きあおう。

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