『最強タンクの迷宮攻略(漫画)』1巻感想:勇者パーティー追放の定番はこんな感じだと思えばよいか?

最強タンクの迷宮攻略(漫画) 1, 2019
  • 漫画・如月命
  • 原作・木嶋隆太
  • キャラクター原案・さんど

最強タンクの迷宮攻略 ~体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される~

出たー!チート能力!勇者パーティー追放系!サブタイがあらすじ!!いいねいいね、見ただけで「なろう」ってわかるのいいね。こうじゃないとね。

などと書くとテンプレ感があるのだが、まぁ実際テンプレかもしれないんだが、話は存外楽しめる。テンプレだろうがなんだろうが、面白いからテンプレになったんであって、テンプレをやりきるって大事だね。

ただテンプレはやっぱり飽きるので、テンプレの先にあるもの、つまり本作ならば追放した勇者パーティーがわからせられるピークの先が大事だと思うが、1巻を読んだ限りそのピークの先により大きなピークがあると期待できなかったので、この先を読むことはないであろう。

目次

今回の最強設定

まぁ例によって例のなろう小説って感じなんだけれど、本作のチート能力はけっこう面白くて、一言でいうと「仲間のMP消費を肩代わりしていたMP9999さん」。で、仲間は膨大なMPを使って身体強化するタイプであったため、その膨大なMPを使って最強ムーブかましていた。

本作でも触れられていたが、実際MPを使ってどこまでも強化できるのであれば、主人公との相性とはめちゃくちゃよく、最強パーティーになれる可能性がある。この力は古の名作……あ、最近リメイクされたんだっけ、ダイの大冒険のラスボス・大魔王バーンにも採用されたくらいだ。ただ、それを二人の役割に分散させたところは、けっこう面白いと思った。連携前提の最強スキルという制約は、物語を膨らまさせる。

勇者はたしかに悪いが、勇者だけか?

とまぁ、最強の条件がわかった以上、あの傲慢・勇者を正して、謝罪し、再び主人公をパーティーに迎え入れるのが全体最適……なのだが、そのバツの悪い役目を誰も負おうとしない。

そもそも勇者はたしかに傲慢だが、その特性を理解しなかったのは彼のパーティーも同罪である。それを自覚しているようだったが、そこはさらっと流される。

正直、検証できないことではなかったと思う。身体強化と外皮の削りの関係は、長く冒険していれば感づいても全然不思議ではない。なによりそれらの能力はパーティーの要なのだから、命をかけて戦っている以上、そこを検証しなかったのはパーティーの怠慢だろう。

傲慢な勇者が、アドバイスをされても聞かなかった可能性はある。しかし他のパーティーメンバーに勇者を是正しようとした動きが十分あったようにも見えない。

そもそも全体のことを考えるならば、本当にやるべきことは勇者と主人公の和解である。それは勇者にとってもメリットがあるので、可能性がゼロとは言えない。説得の余地はある。しかし誰もそれをしようとしない。

勇者の仕事に大義があるならそれをすべきだし、大義がないなら、理不尽な勇者とパーティーを組むのは自己利益のためだったとなる。であるならば、無理解の報いを受けるべきなのは勇者だけではないだろう、と思う。正直、ヒロインはただ勝ち馬に乗っているだけにしか見えず、まったく魅力を感じなかった。

なのでメインヒロインは妹様になるのかもしれないのだが、こちらはこちらでテンプレ過ぎてまったく印象に残っていない。

まぁ他にもいっぱいヒロイン出るんだけどさ。勇者との確執以外の、まぁ主人公TUEEE主人公最高素敵ムーブにあたるところは、個人的には魅力のないテンプレなので目が滑った。

ということで、1巻だけならエンタメとして存外楽しめたのだけれど、この先に何かあるかというとあまりそれもなさそうで、うーん。勇者が主人公と和解しようとするとかあるんだろうか。小悪党化してしょぼいリベンジもたくらむ方向に行きそう。いや、そもそも再登場するのか……。

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