原作・長月達平。漫画・楓月誠。2015より2017年第4巻。本筋は4巻で終わりだが、なんとサイドストーリーの第5巻が出るらしい(2017年12月)。
レムラムにベア子そしてロズっちと過ごす屋敷の一週間編。第一章と漫画家さんが異なっている。第一章のコミカライズが良かっただけに不安だったけれど、読んでみればこれまた良いコミカライズ。この作品はメディアミックスに恵まれているなぁ。
本章はレム編と言っても差し支えないだろう。メインヒロインはエミリアなんだろうけれど、ボーイ・ミーツ・ガール的にもラブコメ的にも、レムとの話のほうがよくできてるんよね…。
以下、レムが可愛くなるまでを描いた、第二章の4巻まで感想。
メリハリある
原作未読なのだけれど、アニメは見ていたので話の筋は知っている。そのうえで読むと、端折るべきところは端折りながらも、削るところは思い切って削る、非常にメリハリのあるコミカライズという印象。漫画から入っても、自然に読めるんじゃなかろうか。もうそれだけでコミカライズとしては上の出来。コミカライズ界隈はほんと地雷原やからね。
ただ4巻という尺の制限がある以上どうしようもないのかもしれないが、性急感は否めなかった。たとえばスバルが死の寸前、恨み辛みを泣きながら叫び、それでも大好きだったと吐露するシーンなんかは、アニメではよく感情移入できたのだけれど、このコミカライズではなんとなく空々しさのようなものを感じてしまった。それは恐らく、スバルがレムたちと親交を深めるのは日常の描写が削られがちだったせいだろうと思う。しかし削るところを削ったからこそ、4巻の長さでうまく収められたのだろうし、難しいところではある。戦闘シーンももうちょっとちゃんと見たかった……あそこで鬼の本領を発揮するところも、レムの魅力だしねぇ。思い切って8巻くらいにしてくれていたらなーとか……。
まぁでも、これまで幾度となく地雷原を走り爆風に吹き飛ばされてきた俺としては、良いコミカライズだと思うのであった。
レム物語
屋敷の一週間は、いかにしてスバルがレムの信頼を得るかという話と思う。だから最後をエミリアで締められるのはなんとも違和感があるのだけれど、まぁやっぱり本作のメインヒロインはエミリアだから致し方ない。スバルがここまで頑張れたのも、エミリアのサポートあってのことだし。
でもレムとの話のほうが、魅力あるんだよなぁ…。屋敷の話が終わった後、スバルはかなり見苦しい状態になってしまうけれど、それでも献身的なレムが可愛いから見続けられたという人は多かろう。その献身ぶりも納得できるくらいのことを、スバルはこの屋敷でやり遂げている。ほぼ一目惚れで、その人のよさと物語的チョロインさで仲良くなったエミリアよりも、マイナススタートから多くの試練を乗り越えて絆を得たレムのほうが、ボーイ・ミーツ・ガール的にも、ラブコメ的にも断然美味しいんだよなぁ。
人間的にも(人間じゃないけど)、とにかく正統派なエミリアに対し、レムとラムは腹に一物抱えた難物。だからこそ、死に際にレムから不信を叩きつけられた時は、スバルは絶望の淵に陥る一方、嫌いになることもできず、非常に苦しむわけだ。憤怒と憎悪を表し命を奪おうとしたのも、起きてこないスバルを心から心配し、時には弾けるような笑顔を見せたのも、レム。人間の多面性を味わえる、ループものとしても面目躍如な物語だった。
やっぱレムがいいなぁ。スバルもエミリアよりレムといる時のほうが自然体だし、ぶっちゃけエミリアは最初に出会って一目惚れしただけだろう?エミリア派には悪いけれど、レムじゃあかんのかねー……。
話の本筋は4巻で終わりだけれど、2017年12月にサイドストーリーを集めた5巻が出るらしい。サービス巻と思っていいのかな。でもそれだったら本編をもっと長く書いてほしかった気もする。