作・鯨川リョウ。2016年1巻。
爬虫類漫画。両生類もあるよ。同じ爬虫類漫画でも、実質完全無欠のラブコメだったつるつるとザラザラの間(記事:『つるつるとザラザラの間』1巻感想:初々しい中学生カップル漫画)と違って、こちらは割とガチの爬虫類語りを交えて物語を進む…というより、爬虫類を語っている間に話が終わる。ヒロインの哺乳類ヘイトになんとなく作者さんの苦労を感じなくもない。やっぱり嫌なことあったんだろうか。
ヒロインはあざといし(顔芸があざとすぎる?)、ラブコメの芽が散りばめられているので、ラブコメラヴァーズ的にも良いと思う。ナチュラルに部屋に押しかけてくるあたりラブコメ的だなぁと思う。
あと主人公の友人の無表情イケメンが気になる。以下1巻感想。
爬虫類語りで話が終わる
爬虫類漫画といえば最近だとつるつるとザラザラの間(記事:『つるつるとザラザラの間』1巻感想:初々しい中学生カップル漫画)があるけれど、あちらが100%ラブコメだったのに対して、こちらはけっこうガチに爬虫類語る。というか語ってる間に話が終わる。くどい料理系漫画並に解説が長いのだが、あまり取り上げられない題材のせいか、単純に知的好奇心が沸いてつい読んでしまった。そういや生き物系も薀蓄が長いことが多い部類か。
生々しい悪感情
目を引くのは、ヒロインの爬虫類に対する強すぎる愛と、哺乳類に対する激しいヘイトだろう。作中でも語られるとおり、まぁ色々あったようだ。実際爬虫類趣味というのは、趣味の中でもかなり理解を得づらい趣味だろうと思う。正直、俺もキツい。
まぁ爬虫類趣味こそないものの、俺もあまり人に理解されない趣味を持ってきたから(ラブコメ趣味のことではなく…自分のラブコメ趣味はここ数年の話なので)、自分の好きなものを否定されるつらさはよくわかるし、それをこじらせてしまったのもよくよく理解できる。サブカル好きにアンチメジャーが多い理由と同じようなものだろうな。少数派は先鋭化するというやつだ。「お前らの好きなもの全部けなしてやろうか」という幼き日のヒロインの生々しい悪感情は、やはり作者さんの実体験に基いているんだろうか。
特に子供の頃というのは、変わった趣味を持つと大きな疎外感を感じるようになりがちだ。どうせ理解されないという気持ちが、青少年に与える影響は非常に大きい。それはまず孤独感を生むが、次に無理解な周囲に対する強い怒りと嫌悪感を生む。ある種の選民意識を持つようになることもある。多分、これは防衛反応なのだろう。
大人になるにつれて、自分自身はもちろん、周囲も大人になるので、結果的にだんだん丸くなってくる。少数派の悲哀を経験していない人でも、他人の趣味趣向をとやかく言うのはよろしくない、ということは(まともな人なら)理解しているので、悲しい思いをすることも減る(作中でも、『大人の対応』の描写があるように)。まぁそもそも、自分のプライバシーに関わることを話すこと自体があまりない。
ラブコメ的見方
ただ、皆が皆うまく折り合いをつけられるようになるわけではない。自分で絶望の沼から這い上がれる人ばかりではなく、中には蜘蛛の糸を(自覚の有無は別にして)求める人もいるわけだ。
この漫画のヒロイン・長良はそういう類の人間なのだろうし、長良にとって主人公・海原は暗闇に差す光明……というのはラブコメ的に過ぎる見方かもしれないけれど、まぁでも多分そういう感じなのだろう。でなきゃ、無駄に反発を生みそうなヒロインの哺乳類ヘイトなんて入れる必要がないものな。実際、早速海原は長良のトラウマブレイクを買って出ており、その甲斐あって、1巻終わりの時点で長良は哺乳類ヘイターから面倒くさいツンデレくらいにレベルアップ(ダウン?)している。
今のところ、海原と長良の二人の間にそれらしい感情は見られないが、色恋の話がないわけでもないので、ここから生まれるロマンスを想像することは易い。いやそうなったらいいなと思っているだけだが。ヒロイン可愛いし。顔芸はちょっとあざと過ぎる気もするけど。つり目だし。つり目可愛いし。
それにやっぱ物語は人間性の変化があってこそだものなぁ。ラブコメ的には、20代ってところも気に入っている。20代ラブコメええやん。ん?長良は今何歳なんだろう?まぁ少なくとも高校生ではなさそうだし。
なんとなくアフタヌーン系っぽい作品だなぁと思ったのだが、裏サンデーみたいだ。1巻は無料セールで手に入れたのだが、2巻以降もなんとなく気になるので、折を見て読んでみようかな。主人公の友人の無表情イケメンがけっこうお気に入りなのでまた出してほしい。
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