作・犬上すくね。旧版が1998年から少年画報社5巻で未完。2011年より新装版が出て、全8巻にて無事完結。
毎回カップルが爆発するんだが、決してベタ甘というわけではなく、お互いに相手を想っているのに素直になれず喧嘩ばかりなもういいから爆発しろ。
こんだけ恋人のこと好きになれたら幸せだと思うよ……。以下1-5巻感想。
これだけ好きになれるものなのか…
すごく悲しい感想だとは思うが、この漫画を読んでいて思うのは、これだけ人を好きになれたら、もうそれだけで幸せだよなぁということだった。悲しいなぁ俺。世間には異性にモテモテなハーレム漫画が溢れているけれど、真の浪漫は一途にどこまでも恋人のことを好きになれることなんじゃなかろーか。それはとても素敵なことに思える。
この漫画の登場人物は、もうとにかく彼女or彼氏のことが好きすぎてつらい。つらくない。見るからに美女イケメンってわけじゃなく、どこにでもいる市井の彼と彼女という感じがよろしい。特別ではない、普通の人たちの特別な関係というのが、実にラブコメ的浪漫に溢れている。
だいたい第一話からして、しょうもないことで喧嘩して、いつも自分から謝っているし、今度は意地でも彼女のほうから謝りにくるまで関わらない!って意地張って毎日日数数えてんだからもう本当にたまらんもんがある。
意地を張るのはつまらないプライドと言えるかもしれないけれど、それだけ相手のことが好きだからでもあると思う。好きだからこそ、相手からされると、本当に嬉しいし、求めてしまう。そういう感じなんだろうなぁ、その感覚が羨ましいわ。俺ならさっさと自分から謝るけれど、それは単に相手への執着がないからなんだよねー……いざこざを避けたいだけというか。
そんなわけで、この漫画で描かれる真と棗、陽一とまほの関係はリアル感ないでもないながら俺にとってはこれ以上ないほどのラブコメ的浪漫であり、その眩しさに目と胸が焼かれる思いしばしばであった。変に特別感がないだけに余計に"くる"ものがある。涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっているところとかいいんだよな↓。
鼻たれてんだぜこれ。で、お互いに見るな見るな、見ないで見ないでと願いながら抱き合っているんだからもう爆発しろ以外に浮かぶ言葉がないよなー。
この真と棗は同い年カップルでまだ大学生ということもあって、なんだかんだ安定している。主には真が棗を好き過ぎるから成り立っているような気もするが、ガンコが服来て歩いてる女、なんて形容してしまう女をとことん好きになれるなら、それはやっぱり幸せなんじゃないかねー。
6巻以降が新しいそうな
もう一つのレギュラーカップル・陽一とまほは、歳の差があってまほのほうが既に働いている大人で、色々と重たいものを抱えているためにちょっと深刻。5巻までくると、まほの双子の姉・なほや、かつてまほが想いを寄せていたなほの旦那など絡んできて、事態は複雑な様相。これを大学生になった二十歳そこそこの陽一が巻き込まれるのは、きっついなー。
というところで、長らく未完のままだったようなのだが、雑誌を変えてきちんと最後まで終わらせることができたらしく、以下6巻からがその内容にあたる。特にストーリーらしいストーリーがないこの漫画で、どういうオチを決めるんだろう。
ところで陽一が普通に煙草を吸っているあたりに時代を感じる。そういう時代もあったね。
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