『プラナス・ガール』3巻感想:男の娘の”胸”という曖昧な矛盾

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作・松本トモキ。2010年3巻。

男の娘な思春期漫画、第3巻。特にこれといったことが起こるでもなく、日常系ラブコメ漫画の普段が描かれる。槙と絆ただひたすらイチャイチャする。どこからどう見てもカップルだし、周囲からも"お似合い"の太鼓判を押されるばかり。さらにラブコメ伝統の恋人の振りデートまでやってのける。でもヒロインは"男"。

印象に残ったのは絆の"胸"。男の娘の矛盾って、股間より胸にある気がする。

しかしこの漫画、いったいどんな風に落とすんだろう。以下3巻感想。

目次

何も起きない日常系

2巻までに引き続き男の娘な思春期炸裂漫画。びっくりするほど日常系ラブコメの正道を行き、とにかく何も起きない。イベントといえば、せいぜい絆がしつこい男を諦めさせるために、槙に恋人のフリをしてもらうという、ラブコメ漫画の伝統をやってのけたことくらいか。しかしそれさえも、別に何かこれといったことが起きるわけでもないのだ。

つまり、ただひたすら槙と絆がイチャイチャしているだけっていう。まぁそれが面白いといえばそうなんだけれど。ただあまりにも絆が女の子過ぎて、まるで普通のラブコメを読んでいるような。だとすると、少々退屈なラブコメかもしれない。

男の娘の"胸"

が、やはりそこは男の娘漫画で。どこまでいっても、やはり絆は男であって、時折それを意識させるような展開が印象に残る。

個人的に最も印象的だったのは、絆が槙の手を取って、確かめさせるように、自分の胸に手を置かせたこと。なるほど、と思った。

今まで何冊か男の娘漫画読んできたけれど、男の娘が男であることをもっとも端的に証明する方法は、股間だった。股間がもっこりしているとかね、そういうの。もっこりショーツなんか、わかりやすく男の娘の記号的表現だろう。

そりゃそうよな。だって、胸の小さい女性ってたくさんいるから、胸がないっていうだけじゃ、男であることの証明にはならない。そのことは作中でも言及されている。だから、男であることの証明はやっぱり股間。そこに存在感があれば、やはり誰がなんと言おうと"男"と認めざるを得ないわけだ。

だから、藍川が自分の胸を槙に触らせて男でしょ、というのは、あまりにも中途半端。まぁ女だったらたとえ貧乳でもそんなことはできないので、やっぱり男としての行動ということになるのだけれど、それでもやはり決定打にはならないし、また槙が「男だったらムネ触らんだろぉぉぉ……!」とモノローグで焦るように、男としても妙な行動だ。

その曖昧さが、実に男の娘だなぁと思った

男女の曖昧な境界という意味では、股間よりも胸のほうが端的に男の娘の謎めかしさを表しているのかもしれない、などと考える休日の昼下がりの俺は佐東さんより終わっている。

佐東さんと言えば腐ってからというもの非常に濃いキャラになって、鮮烈なデビューを飾った百合娘より余程目立っているがいいんだろうか。わざわざあんな子だしたってことは、男の娘な日常系ラブコメで終わらせるつもりはないのかなと思ったんだけど。

少なくとも、今回槙が先送りにした、藍川といる楽しさが親友としてのものか異性としてのものか、その答えは出すことになるのだろうと思う。多分その両方なんだろうけれど、そこに敢えて線を引くのが、まぁ大人になってしまうということなのかもしれないなぁ。

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