『怪物王女』8-11巻感想:姫の美しさに嘆息しつつ、ついに姫から背中を預けられたヒロに感慨

この漫画の姫様は、ちょっと他に類を見ない素晴らしいヒロインやね。高貴とか、気高いとか、尊いとか、まさにこれだ。そんな姫に夢中になって側にいると決めたヒロも、どんどん成長していて、ついに姫から背中を預けられるほどに……なんて感慨深いんだ。

それにしても、この漫画読んでると「お前はどれくらい知ってるかな?」となんだか試されている気分になるね。作品自体が広義のパロディみたいなところもあるけれど、知らないとパロディされていること自体気づかないくらいさらっと散りばめられていることも多い。パロディかくあるべしだなぁ。

以下感想。

目次

ついに背中を預けられたヒロ

あのヒロが、ついに姫から背中を預けられた感慨↓。

光永康則, 怪物王女, 第9巻
光永康則, 怪物王女, 第9巻

このシーンは素晴らしいの一言やね。いや、この絵のために読んできたと言っても過言ではないな。ここに至るまでの、数巻にわたるヒロの成長を見てきたからこそ、姫の厳しさと優しさを見てきたからこその感慨やね。

姫は最初のつもりでは、勝機を逸したとして、ヒロを逃がしていた。つまり、まだどこか保護者気分、姉気分も姫にはあったのだろう。ところが、自分の意図に反してヒロは死地に舞い戻ってきた。姫はそこに決然たる意志と力が備わっていることを知り、ヒロが名実ともに血の戦士として成長したことを、背中を預けることで認めたわけだ。それがこの一コマに……いい。

この話の後からは、特に何を言うでもなく、しれっと背中合わせになって敵と対峙するシーンも出るようになる。それがまたいいんだよ。

ヒロの意志が姫を動かすことさえも

ヒロが強くなったのも、姫のそばにあろうとするためだ。以前は危なくなればシャーウッドからも血を受けたヒロだが、もはや姫以外の血を飲む気はないらしい。たとえ姫を傷つけることになったとしても、あるいは姫に殺されるとしても、姫の血だけが欲しいという↓。

光永康則, 怪物王女, 第10巻
光永康則, 怪物王女, 第10巻

この我儘さ……いいな。この時、正常な意識を持たない姫を、ヒロは姫を縛り上げて血をもらうわけだが、これは以前のヒロにはできなかっただろう。姫への想いが募ればこそ、姫を傷つける選択肢も辞さないという矛盾、実にいい。また、ヒロがそれだけ心酔してしまうのにも納得してしまう魅力が、姫にはある。

そして、ヒロの成長、また姫への信頼は、ついに、逆に姫自身を鼓舞し、その行動を変えるようにすらなった↓。

光永康則, 怪物王女, 第10巻
光永康則, 怪物王女, 第10巻

姫はあらゆる手段を考え講じるが、打つ手なしとなれば投了の思い切りも良い。この時も、姫は悔しさを滲ませながらも、やれることはやった、自分の役目は終わったと考える。ヒロはそれを否定し、必ず助けに行くからと、諦めちゃだめだと説き、それは姫の行動を変えた。この関係の変化こそ、ラブコメ(?)で最も求められているものだ!

姫様可愛い

そんな成長したヒロだったが、過去に戻って、4年前の、自分より一つ下の姫を見たときは、可愛いなぁ嘆息し、ついいけないことをしてしまいそうになるのであった↓。

光永康則, 怪物王女, 第10巻
光永康則, 怪物王女, 第10巻

このお年頃め!仕方ないね。でもなんかこう、本当にしてはいけないことをしている気になってしまうのは、姫の高貴さがそう思わせるんだろうなぁ。

なにしろサービスシーンというサービスシーンがない。おかげで、リザが制服を着た時、いつものように振る舞ってスカートの中がヒロから丸見えであったと思われたとき、それをヒロに指摘されてリザが慌てるシーンがあるが、そのときに姫がなんとなく面白くなさそうな佇まい↓。

光永康則, 怪物王女, 第11巻
光永康則, 怪物王女, 第11巻

左端で「……」となっているだけ。もうこれだけでむっちゃ嬉しい。ちょっとジェラシーっぽい何かを感じなくもないやん。たったこれだけでめっさ可愛い。湧き上がる何かがある。物語が進み、もしロマンスがあろうものなら、俺は確実に悶絶するだろう!期待しつつ読み進めるよ。でも読み終わりたくないなぁ。最終巻まで辿り着くのが怖いなんて、なかなかないよ。

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