『おとめバレ』1-3巻感想:男子ブレザーによって強調されるJK感というコロンブスの卵

原作 みかみてれん, 漫画 ろうか, おとめバレ 1, 2018

バレバレの男装女子という発想の勝利。いや、男装女子っていうより男子のブレザー着ているだけの女子。そして周囲もそれをわかっていながら、登場人物も読者も見て見ぬ振りする優しい世界。この世界観も割とポイントだと思う。

実際中身は完全に女子なので、フツーに男子に恋をしてしかもその感情がダダ漏れ。ちなみにお相手男子がなんかアメコミ感あるわ。基本は男女1on1のいちゃラブ系。ただ微妙な百合感を時々出してくる。

ラブコメでよくあるイベントも、この設定の元に展開されるとそれだけで新鮮味があるな。以下1-3巻感想。

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すごい設定だな

どう見ても女子、っていうか実際女子の柏木おとめが、書類に誤って「男」として入学してしまったため、「女」だとわかったら身分、書類の偽造で退学になってしまう、という謎の妄想をして、男子の制服を着込んで登校するも、どう見てもバレバレという一発ネタみたいな設定であるにも関わらず、いちゃラブ系カプものラブコメとしてうまいこと昇華され続いている。

この設定のベースには、おとめの信じられないアホさと、それを暖かく見守っている周囲というやさしい世界がある。それ自体はラブコメファンタジーなのでよいとして、周囲の気の使い方には、しれっと現代的な価値観が反映されているかもしれない。どう見ても女子が男子の格好をしていれば、高校生にもなれば、「これは触れてはいけないかもしれない」と考えられるものだろう。特に昨今は、ジェンダーについて学ぶ機会も増えているだろうし。

なので、基本はアホな設定のコメディではあるのだが、「おとめの性別については触れてはいけない」という描写については、複雑な事情を抱えたクラスメートへの気遣いという、謎のリアリティが発生しており、それはこのめちゃくちゃな設定に少し現実感をもたせている。

幼馴染周り

とはいえおとめの隠せてなさはすごい。一応さらししているらしいのだが、普通に胸の膨らみがあるし女子と一緒に女子トイレに行く。これで「かんぺきな男装」で周囲にバレていないと考える残念思考。

誰も突っ込まないのはさすがにおかしくない?ということもあってか、おとめのお相手男子である大哲の幼馴染であるところの、委員長キャラが容赦なくつっこむ……つっこむが、大哲に止められてすぐやめる。まぁ……ガチでつっこんだらどうしようもないしね。

でもおとめの秘密を暴こうとするキャラは一人くらいはいてもいいよなぁと思うし、それは大哲に恋愛感情を持った幼馴染、というキャラならばうってつけなので(敗北系幼馴染になってまうけど)、そうなるのかと思ったが、どうもその役割は大哲のお兄ちゃん大好きなブラコン妹であるらしい(ただこの妹、あまりおとめと絡まないのでいてもいなくてもどっちでもいい感じ…)。

で、この委員長キャラはおとめに自分が想われていると勘違いする百合要員……というわけでもない。身も心も女子らしい女子すぎるおとめがバレバレの男のフリをしている、というコンセプトである以上、女子であると自覚したうえでの百合は厳しい。

なので、おとめに恋愛を意識させる役どころである。もっとも、この役割は3巻で大哲とおとめが付き合いだしてから急速に難しい役どころになるのだが。というかこの委員長はどこまで本気なのかよくわからない(ブラコン妹に若干警戒されていたようにも見えるのだが)。

基本はおとめかわいい漫画なので、正直大哲の幼馴染周りは若干の雑味に感じることが多い。妹はいてもいなくてもどっちでもいいし。大哲とおとめの関係はいいが、他のキャラがうまく物語上機能しているかというと、微妙な感じがする(こういう女子も描きたい、が先行したんじゃないだろうか…)。

やさしい世界

とはいえ、おとめに恋愛を意識させ、焦らせる役割は誰かが担わなくてはいけなかった。で、実際大哲と委員長の仲を勘違いして、大いに焦り、速攻で告白するおとめマジ漢。基本こらえることができないよねこの子。

おとめちゃんあざとさマシマシで、普段なら「あーはいはい」と思う俺も、男子のフリをしているというだけでニヤニヤしてしまうんだから、すごいもんだ。

男子制服が前提のJKって、マニアックな属性であることには違いない。ラブコメ界隈におけるJK天下はここ20年ばかりの変わらぬ傾向だが、それも制服という記号あってのもの。まぁ実際二次元、特にこういうラブコメにおいて、年齢は設定上のものでしかなく、外見年齢は皆さんたいへん若いのがよくあるので……。

制服を着ているかどうかという、その1点でもってJKかどうかが判別できる、とは界隈全体を通しての傾向だと思うし、またその記号を大いに評価している人も多いはずなのだ。そこで制服のスカート封印は、思い切った選択だと思うが、男子ブレザーでも確かに高校生感はあり、むしろ男の服を着てなお隠せないにじみ出まくる女子らしさが強調される、なんともコロンブスの卵みたいな設定

しかも大哲と付き合うことになってからは、「大哲は"男"である自分が好き」だと勘違いすることで、さらに"女"だとバレないようにしないと!というさらなる倒錯を生み、面白いのだが、デート中女子の服を試着して「これどうかな」ってどう見ても隠す気ない

なのだが、大哲と一緒に読者も隠す気があるんだ、と思い込まなくてはいけないやさしい世界。読者もまた、やさしい世界の構成員なのだ……。

ということで存外楽しめてしまったのだが、幼馴染周りどうするのかは、ちょっと難しそうな気もしている。現状3巻までだが、次出たらそのうちに読むかも。

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