作・位置原光Z。2015年。
作者さんは控えめに言って天才だと思うわけだが、それはそれとしてこのタイトルはなんとかならなかったのだろうか。本作はオムニバス短編集で、表題はその一つなのだけれど、これはたいへんレジに持って行きづらいし人に勧めづらい。
先に正しいスカートのめくり方のほうを先に読んだのだけれど、この作品の中で描かれた人たちの続きと思しき作品があったことに気づく。そういえば表題の作品の2があったなぁ。読んでなくても面白かったけれど、読んでいるとより素敵だったのか…。
ラブコメ好きには、この作品で描かれる男女の距離感はたまらないと思う。以下感想。
下世話だけれども下品ではない
どこにでもいそうな彼ら彼女らが繰り広げる素敵に下世話な会話劇。けれども決して下品ではない。話によってはかなりフェティッシュなものもあるけれど、品がないわけじゃないんだ。エロ漫画やAVのような直球のエロスなんかじゃなくて、衣擦れの音だけを聞いて、想像を膨らませるような奥深さがある。なんというか、変態的なのだけれども、一方ですごく理性的でもあるんだよなぁ。
登場する女子たちは特に二次元的な美少女という感じではないのに、やけに魅力的なのは、まぁジト目が可愛いというのもあろうけれど、なによりやりとりが面白いからと思う。また、野郎どもは女子たち以上にどこにでもいそうな感じだけれど、どいつもこいつも知られざるフェチ。
ヒットだったのは、女友だちに「オカズにするからおまんま見せてくれ」と懇願した野郎。おまんまって何かと思ったら白飯のことだった…というだけならまぁ他の漫画でもありそうだが、そのおまんまを頬張った状態を見せてくれ、その姿をオカズにして飯を食べるから……というオチの変化球ぶりには衝撃を受けた↓。
多分作中で一番テンション高かった人。今まで読んできた漫画全体の中でも指折りにレベルの高い変態だと思う。恥ずかしさを訴える友人に「……だろうな。」の一言なのがまた良い。天才だなぁ……。
距離感がいいんだ
まぁさすがにここまでフェティッシュな作品は少ないのだけれど、全体的に肉体的接触がそう多くないのも確か。内容のほとんどが下ネタであるにもかかわらず。妙な上品さを感じるのはそういうところかもしれない。
別に肉体的接触がないわけではない。中にはンマーな妄想が繰り広げられる、ということもある↓。
↑なんだけれども、こう、決して、ソフトエロ漫画的なサービスシーンではないわけだ。頭の中はすごいことになっているけれど、必死に理性を保ち、ただ隠しきれない淫靡が頬の赤みに表れているけれども、お互い必死過ぎて相手の様子にまで気が回らないっていうね。この感じ。この感じがいいんだよなぁ……。
ところでこの話は多分正しいスカートのめくり方の交渉に繋がると思うのだが、女子のルックスが違うので別の人たちの話なのだろうか。それとも、そういうことはあまり気にしないタイプなんだろうか。別に女子のルックスが大切な漫画ではないしねぇ。。。
単に女子が可愛いっていう漫画ではないからなぁ。距離感だなぁ。距離感がいいんだよなぁ。男女が互いに間合いを測りながら、時にジャブを打ち、時にストレートを打ち、時に打たれ、打ち返す。ちょっぴりェティッシュ。その距離感と雰囲気が、実に素敵な作品だった…。
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