↑一週間で友達の記憶をなくす難儀な女と、ネバーギブアップで毎週告白し続ける難儀な男のラブコメ。ラブコメであり友情の思春期話。…なんだが、最大の特徴はこの二人が作るほわほわラブコメ空間である。
基本情報
全7巻。2012-2015年。作者・葉月抹茶。なんか原作もうすぐ終わるんじゃないの?っていう微妙な時期にアニメ化していた記憶。終わってからやればいいのにと思ったけれど、販促の問題があるんだろうか。
だいたいこんな感じ
一週間で友達の記憶をなくすというどこかで聞いた設定の難儀な美少女・藤宮香織に、主人公・長谷祐樹は恋をした。それは一目惚れ。つまり顔か。顔なのか。
忘れられたらもう一回友達になればいい!ネバーギブアップ精神で、ひたすら一途にアタックし続ける長谷くんと、そんな長谷くんの想いを満更でもない感じで受け止めながら、でもやっぱり一週間後にはさっぱり忘れている藤宮によるラブコメであり友情のストーリー。友達認定されないと記憶が残るので、忘れられているということは嬉しくもあり悲しくもある。女よりも男が頑張るラブコメ。
、ストーリーはともかくとして、漫画の楽しみ方としては、長谷・藤宮がつくるほわほわしたラブコメ空間をニヤニヤ眺めることである。
↑来週も頑張っちゃうよーじゃねぇよ。なんなんだお前ら。もうダメだ。俺はこういうのに弱いんだ。二人共こういうノリだから本当に今世紀最大の爆弾を仕掛けるしか道はない。
ただし、長谷くんは友達といいながらもハッキリ異性として藤宮を意識しているのに対し、藤宮はあくまで長谷のことを友達として認識している。そのギャップがうまいことギャグに昇華され、時には深くシリアスへと誘われる。その塩梅が実にうまい。シリアスとギャグは視点の違いだということを思い出させてくれる。ものすっごいラブコメ空間だけど、タイトルが一週間「フレンズ」であることを忘れてはいけない。
だが、もちろんそこに恋情がないはずはない。だいたい、友達とはいえ、毎週毎週「友達になってください」なんて言える原動力は、どう考えても恋心しかあるまい。つまり恋なしに語れない友情。すなわちラブコメ。思春期ならではの醍醐味やねぇ。
さらに、長谷の親友・桐生将吾とちょっと幼児体型な山岸沙希も、長谷・藤宮ペアとは違うニヤニヤを見せてくれる。長谷くんと違って桐生は安定している。というか、長谷くんはネバーギブアップな割に脆いところもあって、なんというか硬いけれど脆いダイヤ的な硬度というか、ちょくちょくと面倒臭い凹み方をするんだわ。この漫画は長谷くんの頑張りが空気を作っているので、長谷くんが面倒臭くなると漫画そのものがしんどい感じにある。
桐生くんは長谷と会うまで非常に刺々しく、あまり友達が出来なさそうな性格だったが、実際少なかったようだ。そんな自分に積極的に打ち解けてきた長谷に対し、鬱陶しく思うこともあれど、基本的には大事に思っているようで、どんな時も長谷の味方をするナイスガイ。この二人の友情は、やや女が描く男の友情感はあるのは事実↓。
↑野郎同士でこんな気持ち悪いことは言わん。いや、それを言ったら男向け漫画のヒロイン全般そもそもおらんとかになるかもしれんが。長谷くん自体が、女が描く男という感じのする細やかさなんよな。でも、これはこれでよいものさ。っていうか俺長谷くん好き。
桐生に対する長谷の関わり方を見ていると、いつも一人でいた藤宮に対する想いが、何もルックスばかりではなかろうということがわかる。桐生が女だったらこっちとくっついてたかも…。
色々と補い合っている人たちだが、二組ともどうにもならんときもあって、そんときはけっこう沈鬱な気分でページをめくることになる。おじゃま虫キャラも出てくるが、嫌なやつではない。むしろいいやつ。にも関わらず、どうにもならない感じになるときはなるので、読んでてしんどくなる時もあり、そんなのもあって、一年近く最終巻を積読していた。いや、すっきりした話なんだけどさ。長谷くんのメンタルにすべてがかかっている。
ところで、一週間ごとに記憶がリセットされるカップルって、結果的にものすごく長続きできるんじゃないだろうかと思う俺は汚れているんだろうか。
総評
恥ずかしいほどの恋と友情。
コメント