田口ホシノ, お嬢様の僕 6, 2020
相変わらず幸せハッピーなハーレムラブコメなんだけれど、やっぱりこの漫画は誰か一人を選ぶ方向性らしい。まぁそりゃそうか。
ところで表紙誰?と思ったけど多分翼様。色がつくと印象変わるなぁ。本巻はお色気シーンだけ着彩したversionがあることを後で知ったよ。最初から知っていたらそっちポチってもよかったんだけれど、さすがにもう1冊ってのは……こういう時、差額で書い直すときできたらいいのにね。
それにしても、今回も全ページ全コマしっかり読めてしまって、この漫画は他のちょっとエロいだけのラブコメと違うところがあると思うのだが、それが何か、表現が難しいな。丁寧だとは思う。以下6巻感想。
お話がないようでちゃんとある
今回もしっかり読み切りました。当たり前のことだと思うかもしれないが、この手のちょっとエッチなハーレムラブコメって、お色気シーンを眺めて終わり、みたいなのもよくあるやん。イラスト集にセリフが付きました、みたいなの。むしろそっちのが多いくらいじゃないかな。
で、この漫画は確かにヒロイン可愛いんだけれど、それ以上にけっこうちゃんと読めてしまうのが我ながら不思議なんだよな。キャラクターは正直テンプレ感あるし、お話だってよくあるハーレム漫画の感じで内容はないようなのにさ。普段だったらこの手のはカップ麺作る間に読み終わるくらいなんだけれど。
この漫画に限らず、前作まがつきといい、この作者さんの作品もどれもしっかり読めてしまうんだよなぁ。なんだろうなぁ。やっぱこう、話の流れがきちんとあるからかね。唐突感がないというか。
キャラクターがいる
そう、キャラクターがちゃんと会話しているんだよ。会話の流れの中に、エロスがあるんだ。雑なラブコメは、主人公がヒロインのパンツに頭突っ込んだりおっぱいダイブしたりっていう構図がまずあって、その隙間を埋めるように吹き出しがある感じなんだけれど、この漫画はまずちゃんとプロットがある感じがするね。
人物にそれぞれ目的があって、そのために動いている。委員長は養太郎とお近づきになるべく、そしてお嬢様たちとの関係を探るべく、動いている。みのりちゃんは常に養太郎を落とすべく、しかし翼様のことも憎からず思っている。翼様は社会性のなさを自覚していて、なんとかしたいと思いつつ、異性である養太郎に対して感じる初めての気持ちに戸惑っている。養太郎は翼様をしっかりお世話しつつ社会性をもたせることを目的としつつ、みのりや他の皆の気持ちにどう応えるか悩んでいる。
それぞれの行動原理が明確。描きたいエロシーンがあるというより、描きたい人間関係があって、それをうまいことちょっとエッチなシーンに落とし込んでいるという、そんな感じなんだな。
養太郎と翼様の添い寝騒動だって、突き詰めてみればしょうもない話ではあったけれど、そこで揺れ動く養太郎・翼・みのりの心情がしっかりと描かれていてよかったよね。男性というものをハッキリ感じて、それを怖いと思いながらも、でもそれだけではない気持ちに戸惑う翼、事情がわからず不安と怒りをぶつけるみのり、翼に避けられて曖昧な記憶の中の自分を恐れる養太郎、別に大したことじゃないんだけれど、やっぱり描いてほしいところなんだよな。
そんな感じで、他にもヒロインたくさんいるけれど、よく描かれているよね。前の従姉妹の登場にせよ委員長の登場にせよ、それぞれが物語の中できちんと役割を果たしている。雑なラブコメは、とりあえず新ヒロイン出しとけばいいでしょって感じで出して、既存キャラの立ち位置を食ったりするんだけれど、そういうこともなく、むしろ人間関係を新たな局面に展開させているよな。
なんかべた褒めだな。まぁでも脳細胞ゆるゆると殺しながらこんだけしっかり読めるのって案外ないものだから、次巻も楽しみにしているけれど、それにしてもこの漫画はさすがにハーレム貫徹はしないのかな。しかし、そうすると順当に翼様になってしまう気がするが……。うーん、でも、今のところが誰が推しってほどでもないかな……強いて言うなら、幼馴染属性の強いみのりかなぁ……。
コメント