今年最初の単発感想記事です。
本作の何がすごいかと言うと、読むまでの精神的ハードルの低さ、だと思う。精神的ハードルって何?って感じかもしれないけれど、いや、あるんだよ、精神的ハードル。だから積ん読というのが発生する。いやー、漫画を積むなんて昔は思いもしなかった。
まぁでも、なんていうか、本当に楽なんだよこの漫画。良い意味で驚きがない。読む前に「まぁこんなもんだろ」と思って読みはじめて「こんなもんだった」って感じ。「想像したとおりのオムライスが食べたい」時ってない?まさにそのオムライスが出るんだよ。
はいはい、想像したとおりのハーレム系ラブコメでしたよ!ちゃんと表紙のヒロインが活躍するのもよき。なんかこのまま延々と続きそうだが、それでもいいなぁと思わせる稀有な作品。以下10巻感想。
この漫画は積まない
昔は漫画を積ん読するなんて考えられなかったんだけれど、歳を取るにつれていろいろなことが億劫になり、ついに漫画を多分数百冊…もしかしたら数千冊、積ん読している。自分でも把握できていない。もう年単位で読んでいない本とか、果たして死ぬまでに読むのだろうか、と思うこともある。
で、本作がすごいのは、毎回出ているの見たらすぐにポチッて、しかもすぐに読んで、またこうして記事を書き始めてしまうことだ。これは本当に驚くべきことである。
多分、「ギャップ」がないんだと思う。想像と現実のギャップがない。読む前から内容がわかる、みたいな。だから楽。
思ったとおりのものが出てくる
これは、必ずしも良いことだとは思われないかもしれない。読者の想像を超えてなんぼだって考える人は多かろうし。
でもさ、漫画に毎回毎回そんな驚きなんて求めているわけじゃなくて、いつもどおりのテンプレを楽しみたいってことは多いんだ。いや、むしろそちらのほうが多いかもしれない。「おばちゃん、いつもの」みたいなね。それこそ、飯を食うように創作物を楽しんでいる身からするとね。
それに、求めているものが出てくるって、決して簡単なことじゃないと思う。実際、「テンプレ」「どこかで見た」と揶揄される漫画の大半は、本当に目が滑って、カップ麺が出来上がるより早く読み終わることだって珍しくないんだ。
でも本作は違う。ちゃんとガッツリ読む。1コマ1コマ全部読む。全部読んでも苦にならない。別に内容が目新しいとかないし、思いもよらない展開が始まるなんてこともない。「あーそうなるよね、うんうん、そうね、そう、そうだよね」って感じ。孤独のグルメの1コマで、「こういうのでいいんだよ」と端的に表現されたあの感じ。
ハーレム系でここまで安心できてかつちゃんと読めるのって、今他にあるかなぁ。ぱっと思い浮かばない。ちょっと前に終わった放課後の拷問少女はそうだったかも。
全12巻。正直中盤以降は多少目が滑るところもあり、ハーレムものとしての安定感はまがつき始め田口ホシノ作品が頭一つ抜けていると思うが、本作も安心のハーレム系としてはよいかと思われる。
いつもどおりのぬるさ
ということでまぁ、10巻も養太郎と翼様、表紙の凛子とイチャイチャしている。ただみのりの出番が控えめだったのは悲しみ。いや控えめというか、みんなに愛されて食べているだけなんだよ。成長しようとする翼との対比もあり、なんだかペットの餌付けみたいになってしまっているのだよなぁ。
さらにそれに輪をかけているのが、メイドになったクラスメートなんだが、しかしうーん、この4人目のヒロインについては、ちょっとバランスを崩しているなぁという気持ちは若干ある。みのりの要介護状態が加速するのもあるし、翼とみのりはともかく、このクラスメートに思わせぶりな態度を取るのはあかんやろうという気もする。ハーレム系主人公のバランス取りは難しい。
まぁでも全体的には、いつもどおりのぬるいラブコメであった。話は進んでいるようだが進んでいない。進める気もないかもしれない。まぁそれでもいいかなと思ってしまうのは、やはり稀有なラブコメである。別に続きが気になるとか全然ないのだが、11巻を見かけたらまたすぐポチって読むんだろうな。
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