『僕はお姫様になれない』2巻感想:昔ながらの喜劇な感じ

作・若林稔弥。作者も認めるドロドロの2巻。王子・玲の二人が中心なのは間違いないと思うが、そうするとそれ以外が全員泥沼で叶わぬ感じになるのでは……。

ヒロインいっぱいの1巻よりも男女ツーマンセルのこの2巻のほうが、やはり「らしい」感じがする。

ヒロインがいわゆる男装の麗人という設定のせいか、結果的に同性愛的要素が多少強い。

そして本筋にまったく絡まない、まんま徒然チルドレンの戸田・砂川なヘンゼルとグレーテルがいい味出しすぎている。やはり群像劇的なのが得意なのだろうか。

以下2巻感想。

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電気とか無い時代のガチ喜劇っぽい

なんとなく、昔の喜劇を漫画化したような印象である。別にお伽噺をモチーフにしているからとかではなく。むしろ、今のところお伽噺感は皆無に近い。そういうことではない。

玲が男装女子で、王子が玲を男だと勘違いしているという、この設定一つがすべての源だ。この一点のすれ違いを元に、さらにすれ違いにすれ違いを重ねて、どんどん泥沼な方向に持っていくのが、なんというか、昔ながらの喜劇だなぁという感じだ。電気とか無い時代に、舞台でやってたようなの。ガチ喜劇。

いやそんな知らんけどな。ただいっときマイブームでちょこちょこと読んでいたことを思い出したんだ。

徒然チルドレンはこれでもかってほどのカップル乱造漫画だったけれど、こちらはあくまで王子と玲を中心にした泥沼三角関係修羅場漫画なのだな。方向性は違うにしても、そこまでやるかというコテコテ具合は共通しているように思える。作者さんの持ち味だろうか。

王子と田舎娘・真魚の勘違い恋愛はもっと引っ張るかと思っていた。早々に勘違いバレして、その後ちゃんと正式にお付き合いすることになるとは意外。最終地点は王子と玲が結ばれることで、これは揺るぎないだろうし。ラブコメで正式に付き合うってのは一大事件だからなぁ。女向けだとそこまででもないかもしれないけれど。ちゃんとハッピーエンドになるんだろうか。

次巻がフィナーレなわけだが、喜劇の終わりはいつだってハッピーエンドであるべきだ……と思うものの、これ男の主要人物が王子しかいない。だから、ネタばらしからなし崩し的に複数カップル誕生とかはできないし。それとも急転直下でカップル急造したりするのかしら。どうするんだろう。漫画家さんの腕の見せ所やなぁ。

ところで本筋とは全然絡まないけれど、ヘンゼルとグレーテルがモチーフであろう菓子家兄妹無駄にいいキャラしている。徒然チルドレンでも戸田・砂川のカップルが一番好きだった俺。でもこの兄妹、今のところ本筋に全然絡まない。最後絡んでくれるんだろうか。この兄妹の絡ませ方によっては、うまいことハッピーエンドになる……のか?うーん、想像つかぬ。

みんな自分自分でいっぱいいっぱい

あと、彼氏が出来てはしゃぐ真魚のリアルな鬱陶しさが素敵だった。友人・真帆の笑顔から滲み出る絶望が素晴らしい↓。

若林稔弥, 僕はお姫様になれない, 第2巻
若林稔弥, 僕はお姫様になれない, 第2巻

この作品で一番ニヤッとした1コマかもしれない。だが真帆にとっては、真魚が唯一の友人だから邪険にもできないという。

この真魚の鬱陶しさに象徴されるように、王子も、玲も、あとその他当て馬ーズの皆さんも、この漫画に出てくる人はみんな自分のことでいっぱいいっぱいだからか、徒然チルドレンのようなカップル感がないのが個人的に微妙である。そうは言っても、それが本作のベースであり、相手のことまで頭が回っていないからこそ、すれ違いが起きているとも言えるのであるが……。

つっても十代だし、青春してるってことだとは思うが、次巻フィナーレで、うまくまとまってほしいなーと思う。やっぱりラブコメは明るくあってほしい。

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