椿いずみ, 月刊少女野崎くん 10, 2018
安心と信頼の野崎くん10巻。新巻楽しみにしていた。この漫画ほど安心できるラブコメも昨今ないなぁと思う。少なくとも今俺が読んでいる中では一番の超安牌である。ああ期待しているものがそこにある喜びよ…。
本当に有り難いことである。なんだかんだ、佐倉と野崎の二人も進展しつつあるのだろうか。以下10巻感想。
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安心のクオリティ
どんな漫画でも、読み始めには多少のエネルギーがいる。物語に入り込む閾値みたいなのがあるのだ。物語がシリアスになればなるほどその閾値は大きくなる。そこへいくと、日常系の漫画はすんなり入りこめるのが良い。この漫画も、いつもいつでも読みはじめて読み終われる、そういう気楽さがある。
もっとも、気楽な漫画は面白さもそこそこであることが多い。それが悪いわけではなくて、まぁ毎日の味噌汁に高級料亭のお吸い物を求めないのと同じようなものだ。とはいえ毎日食べるものだからこそ美味しくあってほしい、というのもまた事実。
つまり、しつこくなくあっさりとしているのに、飽きがこなくて毎日が楽しみになるような、そういうものが最高の日常系ラブコメ漫画だなぁなどとわけのわからないことを思うわけだが、この漫画が俺にとってまさにそれ。
佐倉と野崎はいいよね
まず佐倉と野崎のカップルが、なんだかんだ安定していいんだよなぁ。ベースがしっかりしているというかなんというか。佐倉は相変わらず気持ちの悪いフェティッシュぶりを発揮していて、みこりんには「なんでイチャイチャよりも物欲なんだ!?この女」と心の中で突っ込まれている。そのうえおまけ漫画ではしっかりと野崎のシャープペンをGetしていたという。それが妙に微笑ましいのは、まぁ性別の問題もあろうけれど、普段からの佐倉の頑張りがあるからこそだろう。ちょっとくらい報われてほしいよね↓。

この鬼気迫る佐倉が本巻のマイ・ベスト。思えばストーカー系片思いキャラしかも軽いフェチもちとなれば、女といえども気持ち悪さは免れないところなのだが、佐倉の場合すっごい頑張っているのに報われなさすぎて、ちょっとはいい思いしてほしいと読者に思わせる何かがある。
そういえば野崎はひょっとしなくても鈍感系なのかもしれないが、それにもかかわらずまったく嫌味を感じさせないのもすごいところだ。佐倉のことを大事に思っていないわけでもないしね↓。

けっこう世話になっているんだしもう少し良い想像をしてほしいものだが、野崎らしいっちゃらしい。実際野崎にとって佐倉は目を離せない駄愛犬的な存在かもしれない。しかし、特別な存在であることは事実。今回の修学旅行で、野崎も自分の気持ちになんとなく思うところがあったようなので、この二人も少しずつ進展しているっぽいね。ニヤニヤする。
ド安定で楽しませてくれる佐倉と野崎に加えて、今回は特に鹿島に対する感情をどう扱ってよいかわからない堀ちゃん先輩と、それに振り回される鹿島がとてもよかった。鹿島なんてほとんどのキャラに対して優位に立てるのに、堀ちゃん先輩絡むとポンコツになるのは、王道だがやはり良い。
一方、修学旅行編でハナレバナレということもあって、若瀬尾は控えめだったか。若にバカと言われてちょっと凹んでいる瀬尾はちょっと意外。ってか若松は瀬尾がいなかったら鹿島やみこりんに勝るとも劣らないモテ男やねんな。
次巻はまたこの二人の話も増えるだろうか。11巻も楽しみやわ。
恋しよの雑プロット希望
ところでどうでもいいけれど、相変わらず野崎の雑なプロットが、そのまんまギャグ漫画として載せてほしいくらいの出来なんだが(「店はそう…なんか…その…いい感じのお店…」)、それはそれとして修学旅行で野崎と佐倉による「ダブルマミコ無能すぎる」のボヤキがツボ。基本有能っぽい鈴木はこの馬鹿っぽい女のどこに惚れたんだろうと不思議に思わなくもないが、考えてみれば鈴木の有能さも無駄な雑学披露とあまり役に立っていないので、本質的には似たもの同士なのかもしれない。剣さんに弾かれる前の恋しよの雑プロットを、一度まとめて読みたいものである(というか前野はちゃんとこのへん制御できていたんだろうか)。
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