『月刊少女野崎くん』11巻感想:ギャグもラブコメも素敵に平常運転

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椿いずみ, 月刊少女野崎くん 11, 2019

表紙は瀬尾兄妹。今回お兄さんの方は進展ありだが、妹のほうはブランクかもしれない。若瀬尾はちょうど今転換期なのだろうか。鹿島と堀ちゃん先輩は今一番安定しているかもしれない。

いや、安定という点では野崎と佐倉か。この二人全然進展しねぇな。どうせ自分の気持ちがバレるわけないしと悲しい確信を持つ佐倉の欲望全開っぷりが笑える。なんだかんだで好きなカップルだわ。イチャイチャさせる妄想している人リアルワールドにたくさんいるから大丈夫だよ。

今回は鹿島妹が出てきて少し賑やかになるも、平常運転。女子キャラは久々かも。素敵でした。以下11巻感想。

目次

今回も佐倉は不憫に素敵だ

この漫画は群像劇的なので、野崎と佐倉を中心にしつつも、話によっては若瀬尾や堀ちゃん先輩や鹿島、または大学組しか出てこないこともあり、それぞれ面白いからすごいのだが、しかしやっぱり一番は野崎と佐倉だなぁと思う。そしてみこりん。

乙女ゲーでそのこじらせっぷりをいかんなく発揮し、みこりんに同情される佐倉よ。でも元彼女の相談された時には一瞬で顔から笑みが消えたので、やはりストーカー系フェチとして自分以外の異性とそういう関わりをもつことは断固として許せないのだろうな。まぁ野崎は少女漫画家であるにも関わらずそういうことに興味がないので問題ないが(それ故に佐倉も振り向いてもらえないのだが…)。

まーね、フィクションの恋愛好きと現実の恋愛好きはまったく違うからね。俺もこんなサイトやってるけれど割と二次元限定だし。正直現実どころかドラマでさえも恋愛ものには食指が動かない。フィクションの物語限定でラブコメ浪漫を感じる。

でも野崎は二次元の恋愛にもあまり興味はなさそうだが。まぁそこらへん突き放しているからこそ、読者が求められるものを描くプロフェッショナルになれるのかもしれない。実際読者の意見でキャラクターはおろか作品の展開までめちゃくちゃ揺らぎそうなことを言っていたし、剣さんからもそのような評価を受けているようだ。

そういう男なので、ここまで佐倉にアタックされていてもスルーする朴念仁ぶりでもイヤミがないのだろう。ラブコメの朴念仁とか、男はもちろん女でも嫌われがちな属性なのに、すごいもんである。

まぁでもそれは佐倉に恋愛的な意味でのライバルヒロインが出てこないからでもあると思う。今回鹿島妹が出てきてちょっと「ん?」ってなったけど、そういう感じではなさそうだし。作者さんのそこらへんのバランス感覚は非常に信頼できる。

そんなわけで今回も進展なしの二人だが、そこにいるだけでニヤニヤできるので問題はない。まぁもうちょっとなんかあってもいいとは思わなくもないが……。

他の人たちは進んでいる気もする

他の人たちは少なからず進んでいるように見える。特に若瀬尾は今ターニングポイントではなかろうか。ローレライだとまったく信じてもらえず凹んでいる瀬尾珍しい。凹むんだこの人。

自分がローレライであることを告白する直前に瀬尾が緊張するのは、それによって二人の関係性が変わることを本能的に察知したからだろうが、若松の憧れの存在であるローレライと自分の像がまったく合わないことに、あそこまで凹むのはちょっと驚き。瀬尾もそういう目で見てほしい気持ちがちょっとはあったりするんだろうか。

ちょっとスランプ気味の二人に対して、堀ちゃん先輩と鹿島はいい感じになったように思う。まさかの催眠ネタであったが。堀ちゃん先輩はいろいろな鹿島を楽しめてご満悦のようで。

ってかどんな状態でも馴染む、というのはラブコメ浪漫的にかなりポイント高いのだが、そうすると二人のベースにあるものはなんだろう、ともちょっと思う。まぁそこらへんを明確に説明できないからこその浪漫ではあるのだが。

記憶を取り戻した後の鹿島に対する堀ちゃん先輩の言葉はほぼ告白に近いが、あの後どうなったのか。次巻でそのへん触れてもらえるかなぁ。それともさらっと流されるのだろうか……。

鹿島妹の妄想で「体に聞いてやるよ」の堀ちゃん先輩がすごいそれっぽくて笑ったわ。

鹿島妹は…

鹿島妹といえば、特に野崎とはどうもなさそうで、どちらかといえばみこりんと可能性があったりするんだろうか、と思ったりもするがどうなんだろう。俺はみこりんにはお相手作ってほしい派だし、鹿島妹なら特に不服はないけれど、世間的にはみこりんはみんなのアイドルマスコット的な立ち位置を求められているようだし。

まぁ女性読者も多い漫画だしな(読者の男女比率どうなんだろね)。今年いったコミケではみこりんについて熱く語っているレディを見かけましたわ。野崎くんは男も女も読めるユニセックスな漫画だよね。

作中、都さん関連で少女漫画の話もあったが、少女漫画で複数ヒーローものだと、主人公はイケメンとくっつく、というにべもない話に笑った。これが男向けのラブコメだと、ヒロインは基本的に全員横並びの美女・美少女だから、正直ルックスからは最終的にくっつく相手が判断がつかないんだよな。一応作中では美人キャラとかもいたりするけれど、正直読者目線では「これもう好みだよ」っていう。

でも女性作家の作品だと、ヒロインのルックス序列が明確なこともあって、たとえば宮原るりの作品なんかは読者目線での見た目の可愛さと作中評価が一致する(カップル確定系なので平和だけど)。キャラクターの見た目については女性のほうがシビアに描くのかもしれない。

まぁこの漫画は複数ヒーロー・ヒロインが出てきて一人の主人公を取り合うような類のラブコメではなく、カップル系の漫画なので、だいたい皆さんにお相手がいて実に世界平和だと思う。それだけに鹿島妹の今後のポジションはちょっと気になるところだ。

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