『なぜだ内藤』感想:ただそこにいることが幸せハッピーなどバカップル

作・赤のキノコ。2017年。作者さんのpixivでも読める「「赤のキノコ」のプロフィール [pixiv]」。

表紙見てこれ多分好きなやつ、と思って読んだらやっぱり大好きだった。内容は表紙まんま。ラブコメ好きのラブコメ好きによるラブコメ好きのための漫画。いや作者さんラブコメ好きか知らんけどな。まぁ好きやろ多分絶対。好きじゃなきゃこんなん描けんわな。なんかさりげにちょいちょいラブコメ論みたいなの挟んでくるしな。

1巻完結は人類の損失だと思ったが、ちゃんと続いているようで何より。

読んでいて幸せだったわ。以下感想。

目次

出会い

俺は発作的によくわからん言葉を検索する癖があるのだが、ある日「なぜだ」でGoogle検索したところ、下の画像がイメージに出てきた。

「なぜだ」の検索結果

なぜだ

だがとりあえずときめいた

特にギザ歯野郎の「結婚してください」がポイント高い。これは調べねばなるまいと思ったのが本作を知ったきっかけ。直感的にWeb漫画かな、と思ったらやはりそうみたい。

しっかり単行本化までしているので、けっこう人気と見える。単行本の表紙にビビっときて、これ多分好きなやつだと思ってポチって読んだら大好きだった。もっと早く読みたかったわ。これ出たの去年やん。いい加減そろそろ積極的に情報集めるべきだろーか……。

バカップル漫画

内容は表紙そのまま。タイトルの5文字にしてどこか不思議な言語感覚もそのまま。本作の一番の特徴かもしれない。日本のどの地域にも属さない不可思議な方言話しなさる。ピッピコピー。勢いでLINEスタンプ買ってしまった…どこで使うねん……。

さて、本作は内藤が伊藤に求婚してはすげなく断られるというパターンをひたすら繰り返す漫画なわけだが、こういう一方通行恋愛は男→女のほうが断然輝くように思う。社会的に求愛を断るのは男より女のほうが棘ないからというのもあるだろうか。

伊藤は内藤の常軌を逸した求愛行動に辟易し、拒絶の意思を示し続けるが、本当に嫌な相手とは同じ空間で呼吸を共にするのも苦痛なもんだ。ところが伊藤は、なんのかんの言って常に内藤と一緒にいる。他人にそれを指摘されて死にたくなったりしても、それで離れるわけでもなく、やはり一緒にいる。

それはやっぱり、口ではどう言おうとも好意の表れだ。実際作中の他人物からは"付き合っている"と思われている。その誤解を知ると怒って否定するも、やっぱり一緒に馬鹿をやる。この感じがたまらなく素敵で、まぁ読んでいて幸せだわ。ってかどっからどう見ても、カップルっていうかもうバカップルやからね。こんなんニヤニヤしますわ。

正しいラブコメ

伊藤について書いたけれど、どちらかと言うと内藤のほうに萌える漫画。まぁ人間男も女も可愛いのはデレなので、年中デレっぱなしの内藤が可愛いのはまぁ仕方ない。伊藤もちょいちょいデレ見せるけど、だいたいその直後、伊藤のデレにやられた内藤が憤死級のデレを見せるから、それにもってかれるっていう。

ってか伊藤は単体で見るとわりかしクズ女。そして伊藤が大好きで可愛い可愛いと囃し立てる内藤だが、伊藤のクズっぷりについては否定せず、肯定。全肯定。

それはもちろん正しい。実際伊藤の性根は腐っているぽいし。それが好きなんだ、というところがラブコメ浪漫。正しいラブコメ。

とはいえ、ほぼ一目惚れ状態でもあるわけで、いったい内藤はどうしてそこまで伊藤のことが好きなんだろう?という疑問はまぁ確かに生じるところではある。で、本作では一応それっぽい説明はしつつ、最後は恋は理屈じゃねぇ的なラブコメ浪漫に落とすわけだ。

まぁね、これこれこういうことがあり、こうだから、故にあなたのことが好きです、なんて数学の証明みたいなラブコメは興醒め以外の何ものでもないからな。説明できないところにラブコメの浪漫がある。しかし、説明できなくても、納得はできないといけないところが、ラブコメの難しさでもある。

本作の内藤伊藤のバカップルは、なんだか知らんが説明無用の納得感があり、正しく割れ鍋綴じ蓋のバカップル漫画。内藤も伊藤も相当の変人だしね。変人同士が二人そこにいるだけで、あら不思議世界平和。幸せハッピー万々歳。

この幸福な漫画が1巻完結なのは人類の損失と思ったけれど、続くみたいで何より「なぜだ内藤 - pixivコミック | 無料連載マンガ」。

Web漫画は男女がイチャイチャするだけの漫画けっこうあっていいよね……。変に話を広げない感じがね。あるいはメーター振り切って宇宙規模に話広げるみたいなのもあるが。なんにしても、好きなものを好きなように作る、アマチュアリズムの極致やね。そういうのが一番やわ。LINEスタンプでお布施やわ。

ただWeb漫画はあまりに玉石混淆過ぎて、昔は漁ってた気がするけれど、最近はもうそんな元気もなく…。でもこういうラブコメはWeb系ならではって感じするしなー……やっぱり今一度気合い入れてまた探索の旅に出よーか……。幸せの青い鳥を見つけるのはたいへんなことですな。

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