『継母の連れ子が元カノだった(漫画)』1巻感想:割れた焼け木杭に火をつけて

原作 紙城境介, 作画 草壁レイ, 継母の連れ子が元カノだった 漫画 1,

タイトルがそのまま中身で、関係が元カレ・元カノである二人の関係性は最悪なのだが、割と内心では互いに未練たらたらなのが見て取れるまぁラブコメ。

で、最初読んだときは「ははぁ、まぁ予想していた感じだなぁ」なんてクソみたいなこと思っていたのだけれど、読み進めていくうちに、なかなか人間関係の面白いところを突いていることに気づいた。

これは、パワーバランスの変化が既存の人間関係にまで影響を及ぼし、その変化に適応できなかった二人の関係で、こういう話は実によくあるが、ラブコメにおける主人公・ヒロインの関係として描かれるのはかなり珍しいのではないか。興味をそそられた。

俺が知る限り、そうして壊れた関係を修復できるのは時の流れだけで、しかも元通りになることはない。さて、この二人はどうなるのだろう。以下1巻感想。

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単なる焼け木杭に火がつく話ではない

面白いところをつくなぁ。

ヒロインの結女はかつて地味子で、人と話すのも満足にできない陰キャのシャイガールだったのだが、彼氏を作って自信をつけたのか、次第に友達ができるようになった。それは紛れもなく成長であり、喜ぶべきことだが、彼氏である水斗との関係を悪化させることにもなった。

作中では、水斗は自分だけの彼女だった結女が他人と仲良くするのが気に入らなかったというさもしい心情を吐露しているが、まぁそこは大きな問題ではないだろう。実際、水斗は反省して、わざわざ結女に洗いざらい話して謝罪しているし、結女もそのこと自体を気にしている風ではない。

成長が壊す関係

恐らく本質的なところは、結女が力をつけたことで、それまでの水斗とのパワーバランスが崩れ、今までの関係を続けられなくなったことだろう。言ってしまえば、序列が変わったのだ。下剋上だ。それまでは完全に水斗のほうが上位にたっていたが、もはや結女はその位置に満足しない。水斗は戸惑い、結女も自身の感情を持て余している。

そうして二人は互いに、向こうから連絡がくるのを別れのその日まで待ち続けていたわけだ。再会後もその流れは続き、家の中ではどちらが姉・兄なのかを競って醜いマウンティングに勤しんでいる。

水斗は「僕の中では未だにチビだ」と結女の成長を認めないし、結女は時折かつての自分の体型などを卑下しながら今は違う、あの頃とは違うんだという気持ちが勝ちすぎているんだね。

原作 紙城境介, 作画 草壁レイ, 継母の連れ子が元カノだった 1

このシーンなんか、結女の心情がよく出ている。

結女も、中学時代のコンプレックスをまだ完全に克服できているわけではないのだろうな。高校デビューでスクールカースト上位に食い込んだ結女とお近づきとなろうとする級友に水斗が利用され、「舐められている」のが我慢ならないのは、水斗に対する想いもあるが、かつての自分を思ってのこともあるだろうと思う。

ただ、舐められている、とまで言うのはやや描写が性急に感じられたのだが、このへんはコミカライズにあたって簡略化されたのかな。原作ではもっとねちっこく水斗が級友からいいように扱われている描写などあったのかね。ちょっと気になるな。

猿時代からのよくある話だが解決方法はない

個人の成長が人間のパワーバランスに影響し、関係を壊す。本当によくある話だ。これは社会的な動物である人間の本能と、密接に関係しているのだろう。

もっとも、自由に住む場所も変えられる昨今、そういう過去とは簡単に決別できるのがたいていである。実際、地元には二度と帰りたくない人も多いのではなかろうか。っていうか俺がそうなんだけど。

だが、そうもいかない関係もある。その最たる例が、家族という関係だ。家族関係の中でこういう権力構造の変化があると、それは長年に渡る亀裂になりやすい。

本作においては、義理の兄弟という形でその関係が作り出された。面白い。

序列の改変に耐えられなかった二人が、互いに認め合い、フラットな関係になることはできるのだろうか。それは人間にとって、最も難しいことの一つだと思う。その過程が描かれ、かつラブコメに落とし込まれるのであれば、とても興味深い作品だ。ということで、コミカライズの2巻はポチったし、原作も読もうかなぁなんて思っている(だが小説の積ん読は虚構推理が……)。

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