『ちがう宮原おまえじゃない!』1巻感想:好意無自覚系幼馴染みの当て馬を楽しめ

帯屋ミドリ, 藤高つむり, ちがう宮原おまえじゃない! 1, 2023

表題を見て想像する内容の話がそのまま描かれている。主人公の有馬は宮原の友達・雪比良のほうが好きなんだけれど、結局いつも宮原との仲を深めてしまう話。まぁ漫画内だとベクトル違うだけで二人とも美少女だから、贅沢なこといってんなよコイツという感想になるが、現実的な可愛さランキングを反映すると、かなり生々しい話になってしまうかもしれない。実際、誰に感情移入するかで本作の見え方はかなり違った感想を抱くように思う。

まぁでも幼馴染み大勝利漫画だよね。以下1巻感想。

目次

内容

本作の内容は表題どおりだ。主人公の有馬がクラスの美少女・雪比良とお近付きになりたいんだけれど、結局いつも幼馴染みの宮原とお近付きになってしまうし、それはそれでまんざらでもなかったりする、というもの。爆発しろ。

宮原のおかげさまで

面白いところは、その結果有馬は雪比良とも仲良くなれていることだろう。有馬は雪比良のことが好きではあるけれど、宮原のことも長年の友人として大事に思っていることは確かなようで、基本的に宮原を放っておくことはない。有馬はそのために雪比良とお近付きになれないと思い悩むが、事実は逆である。有馬は宮原を大事にすることで、雪比良の好感度を上げている

雪比良は宮原と仲が良いので、雪比良視点だと有馬は「仲の良い友達の(多分)好きな男の子」なわけだ。しかも幼馴染みだから、信頼する人の信頼する人、という信頼チェーンで、有馬と宮原の仲の良さがわかるほどに、有馬に対する距離感も近くなっていくわけだ。

有馬はそのことに気づいてもよさそうなものだが、わかっていないだろう。まぁ恐らくは初恋で自分のことでいっぱいいっぱいの中学生男子なので、そこは許してやってほしい。というか、有馬がこの関係に自覚的になったら、まず馬から射る打算的なやつになってしまうので、基本的に無頓着であり続けるのだろうとも思う。

以上のように、この3人は宮原を中心とした関係であるため、有馬が宮原より雪比良を優先するような言動をすると、その場に緊張が走る。1巻の場合は有馬の家でゲームをしたときだろう。これはなにげにストレス展開なのでそうしょっちゅうないとは思うが、今後もちょくちょくありそうだ。

当て馬なんです

こうなると、常に宮原優先の関係のため、雪比良はまったくの脈ナシなのかという話にもなるが、これはそうでもないだろう。宮原は有馬のことがまず間違いなく好きだろうが、その感情には無自覚であり、言葉にしていない。有馬と宮原は仲の良い幼馴染み、が客観的な事実である。

そして雪比良は宮原経由で有馬に対する好感度も上がっているので、彼女さえその気になれば可能性も……いや、難しいか。

有馬のほうも、実のところ雪比良より宮原のほうが好きだろうしなぁ。というのも、もし雪比良と宮原から同時に告白されたら、葛藤のあげく宮原を選びそうなので。自分の感情に無自覚なのは宮原だけではないってことだね。

つまり、本作は幼馴染みの宮原が当て馬になっているような構成なのだが、現実に当て馬なのは徹頭徹尾雪比良のほうだ距離感近すぎて、互いの好意が無自覚になっている幼馴染みカップルの当て馬である。

もっとも、雪比良はそのことを楽しんでいるだろう。彼女がそのポジションを楽しみ続けるのか、それともそれ以上の感情になるのかは本作の大きな分かれ道だろうが、時々ちょっと火遊びするかもしれないけれど、安全地帯から友達の恋愛を楽しむことを選ぶんじゃないかな、とは思う。

選択を委ねられた彼女こそ、本作の真の主人公かもしれない。

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