『未来日記』1巻感想:ヤンデレ前のヤンデレ ヤンデレヒロイン漫画の金字塔を再読する

えすのサカエの未来日記といえば、言わずとしれたヤンデレクイーン・我妻由乃。一時期流行ったヤンデレヒロインの中でも、もっとも有名なヒロインの一人であろう。個人的にヤンデレクイーンといえば後にも先にもこの娘で、特に最終巻の主人公・雪輝とのやりとりは痺れた。まぁあれで嫌いになった人もいるらしいんだが、むしろアレが……っと、1巻の記事だった。

まぁゲーム含めるとR18の壁の向こうに化物クラスがひしめいているようだが、一般漫画部門なら歴史的な重みも含めて順当にクイーンでは?まぁここまで有名になったのはアニメのおかげなんだろうけれど(ゲームもそうだろうが)。恍惚のヤンデレポーズって今でも伝わるんだろうか。

まぁ今は昔なんだけれど、なんとなくふと読みたくなって、再読を始めたのだった。多分最後まで読むんじゃないかな……多分……。

……ちょっとびっくりしたんですが、本記事を予約投稿してから「オススメされた作品」に本作品のフォーム投稿が笑

以下1巻感想。正直本作の内容を知らずに記事読む人おるやろか?とは思いつつ、一応物語上の重大なネタバレは配慮する。……いや、我妻由乃=ヤンデレはコナン=新一レベルだから。

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目次

内容

  • 1st 天野雪輝は甘ったれの坊や
  • 2nd 雪輝大好き我妻由乃。みんな知ってるね
  • vs 3rdの通り魔
  • vs 9thことみんな大好き雨竜みねね
  • 4thは少年を導く良いオジさん

オススメと被った

オススメされた作品」見てコーヒー吹いた。本記事予約投稿してからまもなく、本作品の投稿が!2006年の作品ですよこれこんなんある?びっくりしたなぁもう。急遽追記。

元祖?かつ至高のヤンデレヒロイン、我妻由乃に尽きます。アニメでは原作以上に狂気がパワーアップしてますが、原作も負けてはいません。

周蔵さん

少なくともヤンデレを確立させた立役者の一人であることは間違いなく、個人的にはヤンデレは我妻由乃に始まり我妻由乃で終わるくらいの気持ちがあったりします。我妻由乃は狂気のヤンデレヒロインですが、同時にラブコメのヒロインでもありました。

雪輝大好き我妻由乃

最初に思ったのが一話が長いな……ということだった。プロローグが十数ページ、そこからさらに60ページにも及ぶ第一話。まぁでもそうよな、この漫画、どう考えても最初に我妻由乃を出さないわけにはいかない。主人公・天野雪輝は典型的な受け身タイプなので、彼自身は物語を引き起こさない……というより、徹底的に避ける。実際、最初の段階で、これから起きることがわかる無差別日記を手に入れた雪輝は、その未来予知能力を使って静かな無双生活を楽しむだけ。スローライフ系チート主人公の物語のごとく、ゆったりとエンジンをかけて徐行しているような感じだ。

しかし時代は激動の00年代。そんなまったりモードはよつばとで十分とばかり、我妻由乃の登場から事態は劇的に急変する。エンジンがフルスロットルでかかり、物語が一気に加速。無双生活を楽しんでいた雪輝に対し、金田一少年の事件簿で復讐系犯人がターゲットを殺す前に精神的にいたぶる時のような回りくどいやり方で「知っているぞ」と己の存在を知らしめ、さらにエキセントリックな言動で雪輝を追い詰めたかと思いきや、突然の見開きキスシーン(ツッコミなし)から始まるすべてを知ったような言動、そして明かされる超ストーカー

由乃: 私の「日記はね」はね 「雪輝日記」よ 雪輝の未来を10分刻みで把握する 私の愛の「未来日記」
雪輝:(10分刻み……!!?って 今までコイツ10分刻みで僕のことを日記につけてたって事か……!!?)
由乃:だからユッキーの「未来」は 由乃のものだよ
雪輝:(超ストーカーだよっ!!!)

えすのサカエ, 未来日記 1, 2006

この「超ストーカーだよ!」のシーン好きなんだよね。由乃のナチュラルにネジが飛んでる発言といいい、雪輝と由乃のテンションの差といい。「未来」は由乃のものだよって言うの好き。対象が「未来」であること、一人称自分の名前という客体化は、今こうしてみると由乃のパーソナリティが出ているように思える。

まぁ実際ストーカーどころじゃない恐怖のヒロインなんだが、なんだかんだで由乃の助力を得て雪輝は最初の敵を無事返り討ちにするのであった。

雪輝と由乃のはじまり

その後続く9th戦、みんな大好きなんなら我妻由乃より好きな人いるかもしれない雨竜みねね。由乃っちは頭おかしいし雪輝しか見えてないからね、仕方ないね。いやみねねも大概おかしいんだけど由乃がおかしすぎてまともに見えるし、ベクトルがまた違うからなぁ。

さて、この第二話で、雪輝は生き延びるために由乃の恋愛感情を利用するという、主人公として最低な決断をする。もっとも、それは由乃が望んでいることでもある……由乃の雪輝日記の特徴として、雪輝の行動については「行為」が記録されていることがある。一方で自分については感情が記されている。雪輝日記は、「雪輝の行動と由乃自身の感情」を記すものと言える。つまり、由乃は雪輝の感情を自分勝手に都合良く解釈しない。あくまで、行動から合理的な推測をする。これは由乃のパーソナリティの特徴とも言える。思い込みの激しいメンヘラではないわけだ。

なので、由乃は「僕を守ってくれ」という雪輝の言葉に感激しながら、一方でこういう。

由乃:ユッキーはただ私を利用すればいい

つまり、雪輝の意図について見抜いている。わかったうえで、それでもなお嬉しいんだな。

まぁこのままだと雪輝は最低クズ野郎なんだが、ただ忘れてはいけないが、この子まだ中学生だってこと由乃が規格外なだけだから。ついでに言えば、由乃に対してはこれくらい図々しくいかないとマジ秒で制圧されるから。

その後、刑事である、そして大人の男である4thに発破かけられる形で、ちゃんと男を見せるので、まぁ生暖かく見守ってやってくれといったところだ(オッサン並感)。

無差別日記は考えさせられる

それにしても、由乃の「雪輝のことだけわかる」雪輝日記は、とてもラブコメ的で、ありがちなアイディアかもしれないが、それにかけ合わせる形での雪輝の「自分のことだけわからない」無差別日記は、今見ても考えさせられるところがある。これはレビューでもそうで、自分のことについて何をどれくらい書くかって、知らず知らずの間にその人のパーソナリティの根幹が出るところでもあるんだよな。もし俺が未来日記を得られたら、自分の気持ちだけ書いてそう。「17時: すげーいやな気分になる」みたいな。「なんで嫌な気分になったのか書けよ!!」ってなりそう、役に立たねー。

雪輝と由乃の関係は面白い

まぁでも、中学生でこの心境かーっていうのは、この歳になってみると余計に思うところがあるな。雪輝は環境さえよければすごくいい子なんだけれどね。

実際、本作を今なおヤンデレ漫画の白眉たらしめているのは、主人公・雪輝の働きによるところも大きいだろうと思う。魅力的なヤンデレヒロインは多くいるが、その強烈な個性にパートナーは圧倒されがちで、それがラブコメ的には痛し痒しな面がある。本作の主人公・雪輝も、1巻時点ではやはり由乃に圧倒されている形だ。しかし、彼は今後大きな成長を見せることになる。

もっとも、それは雪輝がこのデスゲームを生き残るための必要条件でもある。我妻由乃は雪輝にとって、日記の性質も、そしてその能力も、大いに頼りになる存在のうえに、心酔している。しかし、だからといって頼り切ったらそれこそ由乃の思うつぼで、雪輝はBAD ENDルート直行である。

この雪輝と由乃の関係は、単にヤンデレヒロインとそのターゲットという関係では言い表せない。

それは、ほぼ完成しているように見える由乃にさえ影響を及ぼし……とまぁ語っていくとネタバレになってしまうので口をつぐむが、雪輝に苛ついた人はまぁ先もいったとおり「シンジくんと同じ可哀想な男子中学生枠」ということで生暖かく見守ってやってくれ(二回目)。男子中学生の時にデスゲームに巻き込まれなかった幸運を祝おうじゃないか。……現役男子中学生の子はこんな記事読んでないよねぇ……。

二週目だよ

なお俺は当然二週目なので(いやもっとか)、重大な秘密もだいたい知った状態で読んでいるわけだが、本作はすべてを知った状態で再読するとかなり見え方が変わる作品でもある。

とはいえほとんどのことは忘れているので、まぁ楽しみながら読めるんちゃうかな?多分最後まで記事書くんじゃないかな?多分……などと思いつつ、次回に続くかんじゃないかなぁ多分。多分。多分。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 私のオススメと、管理人さんの予約投稿がタッチの差で被ったとのことで、こちらもビックリです(笑)。こんな偶然あるんですね。

    マジな話、貴サイトを利用させて頂いて1年くらい経ち、知らず知らずに漫画についての志向が影響を受けてもおかしくありません(笑)。

    思えば本作しかり、ミステリーが物語の根幹にあるのに再読でも楽しめる作品って名作だなと感じました。

    • びっくりしました笑
      未来日記はずっと記事書こうと思ってたんですが、書いたタイミングでくるとは
      読むと影響は少なからず受けるものかなぁとと思います。自分で自分が影響されますし
      今も本作の構造は確かにミステリーだなぁと思ったりしています笑
      以前は影響を嫌気していましたが、最近はこういう影響も含めて観察するのが楽しいことだと良いように思うようになっています

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