作・栗井茶。+チック姉さんからのスピンオフ。この二人だけで作品作れるなとは思っていたが、ほんとになってしまった。これだけでも読めるけど、多分だいたいの読者は+チック姉さん経由だろう。
この二人については、当サイトでは「『+チック姉さん』ブタと佐々木を語りたい」「『+チック姉さん』9巻感想:佐々木さんのメンヘラがとどまるところを知らない」で記事にしている。
内容的には+チック姉さんに収録されているものを、視点追加などしてリメイクしたもの。+チック姉さんを読んでいなくてもわかるようになっているが、逆に言うと+チック姉さんと内容が被っているため、ディレクターズカット版みたいな感覚……と思いきや、追加要素が凄まじすぎた。
もっと早く読みたかったのだが、Kindleで20%ポイント還元待ってたら時間経っちゃった……。以下感想。
メンヘラ戦争勃発!
最初のほうは豚と佐々木の関係の復習って感じ。だいたい同じなので、この二人だけで独立した漫画ができたことが嬉しい気持ち半分、これで一冊分のお値段……という気持ちがないでもなかった。とはいえ細かく描写がリメイクされているし、また豚と友人たちのやりとりもあるし、特に豚にちゃんとガールフレンド・牧野さんがいたという衝撃の事実は重要な追加要素であるし、これだけでも買った甲斐はあるか……なんてことを思いながら、最初は読み進めた。
牧野さんという、明らかに豚に気のあるヒロインを出すことによって、こんな子がいたのによりにもよって佐々木を選んでしまったという、悲壮感の演出か。特に↓のコマは、まるで普通のラブコメだ。
おいなんだこの素敵な女の子は。しかもこれ、誰がどう見てもフラグである。豚はこんな女子がいるにも関わらず、佐々木さんという地雷を踏み抜いてしまったのか。それとも、最後に佐々木さんを振り切って、この子を選んでまともな道に?
いやこの作者がそんな甘ったるい展開にするはずがない。アオイココロみたいなラブコメも描いているから、ラブコメ気質はあると思うのだが、まともな恋など描かないはずだ。やはりこれは、まともな女子がいたにも関わらず、先走って地雷を全体重かけて踏んだ豚のうかつさを強調する演出であろう……。
などとずれたことを思っていたら、さすが栗井茶、完全に斜め上をいかれたわ。キチガイ一人追加↓。
この狂気の目!あの優しい目から完全に佐々木さんと同系統の狂気の目に変貌し、そこからの盗撮カメラ越し強烈な宣戦布告!メンヘラ戦争勃発!震えたわ。いや、まともな恋なはずないと思っていたが、予想外だった。実は引きこもりで、山田が初友達で初恋だったという牧野。ここからはじまるメンヘラvsメンヘラ。メンヘラ大戦争。
ただし、メンヘラレベルは佐々木さんのほうが格上であるらしい。これは引きこもっていた牧野と、曲がりなりにも外に出て世間の荒波に揉まれている佐々木の差だろうか。
バトルは終始佐々木に押され気味であったし、そしてなにより、豚に拒絶されたら泣いて帰っていったのは牧野の弱さであろう。佐々木なら、豚に何を言われても意に介さないどころか、現実改変能力により真逆の意味にさえ捉えるところだ。日頃から嘘に嘘を塗り固め、現実逃避を重ねることで、佐々木のメンヘラ力は極限まで鍛えられている。
しかし、やはり牧野も諦めが悪いようで、佐々木と共に豚のストーキングを続けるようだ。佐々木としても、牧野のことはある程度共感できるようで、また自分のほうが格上だという自信もあるだろうから、牧野が豚に直接手を出さない限りはそれなりに泳がせておくだろう。
よって、このメンヘラ三角関係は続行する模様。豚はモテモテだなぁ!甘えさせてくれる男の人って素敵やね!