『メメメメメメメメメメンヘラぁ…』2巻感想:ダブルサイコヒロインが見せる修羅場はだいたい物理

栗井茶, メメメメメメメメメメンヘラぁ… 2, 2020

牧野さんの表紙は佐々木さんと違って色合いは綺麗だな。見た瞬間狂気の佐々木さんとはまた心象風景がちょっと違うのか。どっちがいいのかはわからないけれど。

オススメされたメモでも2巻出てるよ?と言われつつ、積ん読状態だった+チック姉さんの豚&佐々木&牧野さんが織りなす狂気のラブコメスピンオフ。メンヘラというかもはやサイコパスみがある。物理に訴えてくるのが普通に怖い。

佐々木さんにせよ牧野さんにせよ、日本のラブコメ界隈においてはまったくいないキャラではないと思う。殺傷力のあるヤンデレも狂気のメンヘラも、けっこういる。

しかし、山田は中々いないね。この漫画の最大の特徴は、暴力に訴えかけることも珍しくない、殺傷系自己中妄想型ダブルヒロインを、いろいろなものを失いながらなんとかかんとかさばいている、豚こと山田の謎のカッコよさであろう。

以下2巻感想。

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少なくとも俺は大好き狂気の修羅場

今回も面白かった。佐々木vs牧野があって俺満足。

栗井茶, メメメメメメメメメメンヘラぁ… 2, 2020

二人とも目がヤバい。目に狂気が宿っている。あ、これ血を見るやつだ……シャレにならないやつだ……とひと目でわかる。そして顔綺麗。顔は。そんでここからガチの目の潰し合い。ラブコメによくあるなんちゃって修羅場とは一線を画する、本気の修羅場である。このコマだけで、元作読んでない人でも読もうかなってなる人いると思うわ。

狂気のラブコメ

本作は+チック姉さんで異質なラブコメの波動を放っていた豚と佐々木をメインに据えたスピンオフだが、原作分の話も盛り込んでいるので、本作だけでも楽しめる。ただまぁ、やはり原作を知っておいたほうが、世界観やら何やらがわかるのでよいだろう。一応佐々木の豚に会う前の話とかもあるし。

本作の世界観は狂気が狂気を駆逐する修羅の世界で、ぶっちゃけ佐々木は多少イカれているものの、原作の世界観においてはかなりの弱キャラだった。それが豚と出会ってから作中でも指折りのヤバキャラとなる。恋愛で開花するタイプのクレイジーさん。

ただし、佐々木の強さはvs豚絡みのみで発揮される。まぁ恋愛って指向性みたいなところあるよね。孫悟空のラブコメがイマイチ想像できないのも、悟空が博愛主義者だからってけっこうあると思うし。

その意味で、基本はヨワヨワなのに豚絡んだ瞬間最強キャラの一角なのでは?というくらいにぶっ飛ぶ佐々木は、非常にラブコメ的なキャラといえる。

ダブルサイコヒロインによる三角関係

そんな佐々木さんだけでもお腹いっぱいなのに、似たようなメンヘラ・牧野さんを打ち込んでくるっていう。ただ、牧野は佐々木より若干マイルド。というのも、豚に対して物理的攻撃をあまりしないので……まったくしないわけではないが。

佐々木は場合によってはマジで殺しをやるくらいのことを豚は考えているが、まぁ多分やる。心の底から殺すつもりは彼女もないと思うのだが、バカなので感情に任せて死に至ることやりそう。そんでめっちゃ言い訳して記憶改ざんしそう。

実際画鋲など鋭利なものをぶっ刺してくるなど、割と本気であかんでしょってこと平気でやってくるし、2巻ではついに薬まで持ち込んできたので、まぁだいたいなんでもやるだろう。ひょろいマフィアみたいな怖さがあるな。

一方、牧野さんはまぁそこまではやらんだろうな、という安心感がある。まぁそれによって、佐々木さんに物理的に負けてしまうこともままあるのだが。

ところで佐々木さんが何故牧野を泳がしているのかだが、1巻ではなんか共感めいたことを言っていたが、この女にそんな共感性などあるわけはなく、なんだかんだ豚の取り合いを楽しんでいるのではなかろうかと思う。

もうちょっとラブコメ的な解釈をするならば、豚のことを好きな人がいることが嬉しいんだろう、と思う。

佐々木さんの豚に対する評価は複雑なところがあって、こんな豚野郎は自分じゃなかったら相手にしないと言わんばかりのことを、本人に対しても平然と口にする一方で、牧野が豚に接近するのを「男を見る目がある」と評するなど、実は必ずしも悪くない。

「彼氏」のステータスは自分のステータスでもあるので、自分以外にもしっかりモテている、そのうえで自分が選ばれた、などは佐々木の承認欲求をくすぐるなどもあろう。だが実際、豚の中身は本作でも随一のいい男だということも、感じられているのではなかろうか。豚と本気で付き合おうとしている点で、佐々木と牧野は互いのことを評価している

豚はすごいよ

いや、ほんと、豚すごいからね豚。佐々木とか牧野みたいなタイプのヒロインは、ラブコメ界隈だったら取り立てて珍しいってわけでもないし、なんならもっとヤバいのもいるが、本作を面白くしているのは、押され気味とはいえ、豚が佐々木と牧野の猛攻を捌いていることだろう。

2巻で、豚は「めんどくさい人よりめんどくさい人になれば、向こうから別れ話を切り出してくる」説を聞いて実践にうつして失敗したりしているが、豚は無自覚なだけで、割と普段から同質のことをやっている。

特に今回は佐々木と牧野が衝突する話も多かったが、互いに目を潰しあとうとした時に自らを叩きまくるという凶行に出ることで、二人の気を逸らせて場をとりなすのは、わかりやすく豚の狂気が二人の狂気を上回った瞬間であろう。豚も十分おかしいのだ。

豚は佐々木を喜ばせている

だいたいそもそも、豚は普段から佐々木を喜ばせ続けているのである。豚はあれでけっこう佐々木に挑発的な態度を取り、彼女が暴発しないギリギリまで踏み込もうとするのだが、その行為が実は佐々木を楽しませているのだ。

佐々木は豚の反発まで織り込んだうえで、ラブラブカップルのマネごとをしている。だから、「おかえり」といって素直に「ただいま」と豚がいえば怪訝な顔をして疑いの眼差しを向ける。

実際、佐々木にとってもっとも恐れるべきことは、豚からまったく相手にされなくなることだ。なので、豚に金的して怒りを買い、無視された時には、素直に謝罪して許しを請うている。

もっとも、あれは金的して怒りを買った、というわかりやすい指標があったのでそうなっているが、もし豚が本格的に無視を決め込んだら、無視できなくなるまで怒りを暴発させるのは目に見えているので、恒常的に無視作戦はできないが、局地戦では豚にとって有効な戦法といえるだろう。

このように、豚は自分が思っているほど一方的にやられっぱなしというわけではない。ただし、その駆け引きを佐々木はとても楽しんでいる。

本当に羨ましくないサイコ系美少女ハーレム

この距離感は、牧野はまたちょっと違う感じである。牧野はもうちょっと普通に豚とイチャイチャする気があって、セーター編んだり、デートで食べ物シェアしたり、そういう時には、豚も何度かけっこうちゃんと嬉しくなったり、ドキドキしたりしている。ぶっちゃけセックスしようとしなかったら普通にいけるんでは?と思ったりもする。まぁその普通さで、佐々木に負けてしまうところもあるのだが……。

そもそも一方的な押しかけはともかく、イチャイチャして心の交流をするのは、佐々木が許さない。多少牧野を泳がせている佐々木だが、公園で屋台のたこ焼きシェアする恋人仕草は完全にブチギレ案件らしい。で、にらみ合いからマジな目の潰し合いになるのだ。

そんな二人をかわしたりいなしたり、時には身の危険を感じつつも、日々なんとか生きている豚こと山田よ。ダブルヒロインで両方ともめっちゃ可愛いのに、本気で羨ましくないし、CPとして添い遂げてほしいとも思わないのに、ラブコメとして先を読ませる面白さは君のおかげだ。頑張れ山田。その頑張りが彼女たちをより興奮させる……。

しかし2016年の1巻から4年たって2020年の2巻……3巻はいつになるのか🤔

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2 thoughts on “『メメメメメメメメメメンヘラぁ…』2巻感想:ダブルサイコヒロインが見せる修羅場はだいたい物理

  1. FAI

    山田がどんどんこの危ない状態に対応してきているのが楽しいです。ネズミファイター辰姫も参加してくれればもっと面白くなりそうなので期待してます。

    返信
    1. tama

      山田の対応力凄まじいですよねほんと。

      辰姫でるのかな
      他二人と違ってしっかり優良(?)物件
      性根がいい子だから山田もけっこう心許してる気がする

      というか1巻からえらい間が空いてましたけど、3巻出るのかなぁ。出してほしい

      ってかそういえば本編ご無沙汰でした。ポチらねば。

      返信

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