『目黒さんは初めてじゃない』1巻感想:世界のバイコーンが歓喜した

存在は知っていたんだけれど、見るからにアレなので読んでいなかったんだが、なんかの拍子でポチったと思われ、本棚にあったのを見たのでなんとなく読んだ。

ラブコメとしては珍しい設定なのは間違いない。非処女であることはまぁそうだが、それ以上に非処女を強調していることが珍しい。二十代以降のラブコメだったら非処女ヒロインも普通だが、わざわざそれを強調したりはしない。それはたとえ十代でもそうだろう。

まぁ正直どこまでいってもあまり感じのいいラブコメではない。以下1巻感想。

目次

非処女宣言から始まるラブコメ

はじめが肝心ということで、ラブコメに限らず多くの漫画は第一話の冒頭には印象的なシーンをもってくる。まぁ男向けラブコメの場合それがヒロインのパンツだったりおっぱいだったりするんだが、本作はなんとヒロインの「私処女じゃないですよ」という非処女宣言から始まる

「え……なんのカミングアウト……?」と思ってしまったわ。いやだって、こんなん言われたら、完全に性犯罪あるいは立件されてないだけのそれに準じたナニカを想像させるやん。主人公の「いきなり何を!?」は本当にそのとおり。実際、男が告白して非処女だとわかったらやめる、というのはまずない。……ないよね?

まぁ、過去話読むと実質的にそれに近いことだったように思われるが、それ以上に、目黒さんがそう言ったのは、処女だと思われていたのに非処女でガッカリされた過去があるのかもしれない。なのであらかじめ伝えておいたという感じなのだろうか。そう思わせるほど、彼女はただひたすら「相手に合わせる」パーソナリティもちで、それが故に美少女でおっぱいさんな彼女は散々男にヤリ捨てられてきたようだ。まぁ初体験がクソだったのでそうなったとも考えられるが、彼女の元々のパーソナリティがそうだったと思った方がいいだろうなぁこれは。

なので、今回の男もどうせヤリ捨てるんだろうと思いつつも、いっときのぬくもりを求めて(というか相手を拒むという選択肢がないために)OKしたところ、このクソ童貞は存外ピュアかつ一途、初めて目黒さんのことを大事にする男で、一人舞い上がって純愛ラブコメ劇場を演じ、目黒さんも悪い気はしないのであった。

……いやなにこの設定。何も楽しくないんだけど。何も楽しくはないけれど、色々考えさせる作品ではある。考えさせられるが、別に考えさせられたくてラブコメを読むわけではない。文春オンラインのインタビュー記事かよ

ラブコメのアンチテーゼなの?

まぁ実際10代のラブコメヒロインは99%処女なんだけれど、主人公も99%童貞だし、10代ラブコメは基本的に童貞と処女のボーイミーツガールと思われる。そうなるのはそれが求められているからであって、それ以外を思いつかないからではない。ヤリチンとビッチはラブコメではお呼びじゃない。R18シールに封じられよ。

で、まぁさすがにヤリチンとビッチの一夏のアバンチュールではまったくもってラブコメにならないが、本作は皆に軽んじられている(地味に重要なポイント)クソ童貞と心のアイアンバージンのラブコメとして描かれている。クソ童貞がウキウキするほどに、読者としては妙な喪失感を感じる。いったいここに何のラブコメ浪漫を感じられようか。いや、これが実話なら別にいいんだけれど、創作たる漫画で描かれると、なんだかラブコメのアンチテーゼを描かれているような気がする

まぁ実際そうかもしれないし、あるいはそういった表面にとらわれないラブコメの本質とも捉えられるかもしれない。そこはまぁ正直どうとでも解釈できてしまうと思う。ただいずれにせよ、あまり楽しくないことは確か。あまり楽しくないが、色々と思わせるためにちゃんと読ませることも確か

貴重なバイコーン向けの供給

などと色々言ったけれど、別にアンチテーゼでもなんでもなく、純粋に非処女好きというラブコメ界隈のバイコーン向けの作品なのかもしれない。世の中、貧乳が好き、成熟してない女の子が好き、身体の一部を欠損した子が好き、好きな子が寝取られるのが好き、むしろ寝取らせるのがいい……など、多くの闇がある中で、非処女好きは存外いるだろう。その中でも目黒さんのパーソナリティは一部に相当刺さる気はする。

しかし俺はラブコメには割とピュアなボーイミーツガールを求めるクチなので、正直本作の続きを読むかはかなり微妙なところだ。そんな俺にも(だからこそ?)読ませる作品だったことは確かなんだけど。ラブコメと思わないほうが読めるかもなぁ。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 古のオタクならばディスクを叩き割る…じゃなくて焚書待ったなしな漫画ですね(笑)。

    自分も書店で見かけてちょっと気になってたんですが、目に見える地雷に手が出ず…。
    「非処女」を押し出した物珍しさで買えるのは1巻が限界ですよね。ラブコメに限らず、浪漫のない作品を愛するにはキャラクターの魅力が不可欠だと思うのですが、それはあるのでしょうか?

    • 履歴を見ると3年ほど前にポチっていたようです。本棚の上にも3年(違
      この1巻だけでは評価しづらいというのが正直なところですね。読ませたのは確かなんですが、楽しくはなかったです。
      作品の雰囲気はなんとなく一週間フレンズ。を想起させました。話は全然違うんですが……
      なにげにKindleでは今3巻まで期間限定無料で読めるみたいなので読んでみようかと思います。

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