『目黒さんは初めてじゃない』2-3巻感想：何も楽しくないが読んでいる

なんだかんだで続き読んだよね。期間限定無料だったから……（またそれ）。

あらゆる分野で、つくづく攻撃は才能なんだな、と思う。その観点で、美少女はまさに才能。一方で、防御は努力。才能はあるにしても、それ以上に本人の積み重ねがものを言う。つまり、美少女というのは攻撃力だけ突き抜けて高い防御力ゼロのユニットだということだね。

……いやさすがに防御力ゼロなのは当人の責任もあると思うけどね。

そういう気持ちがあるからだろうか、目黒さんの処女膜ぶち抜いた男は言い訳できないクズとしても、だからといって目黒さんが正当化されるわけでもないよな、と思うので、モヤモヤしながらずっと読んでる。逆に言うと、このモヤモヤが本書を読むモチベであり、いつか解消される日はあるのか？という感じでページをめくるのかなぁ、とも思う。浦沢直樹のHAPPY!が主人公のライバル「キャキャキャがムカつく」の一念で最後まで読ませたのと同じ構造かもしれない。

以下2-3巻感想。

自由意思と責任と子供

こういうの読むと、未成年との性交が犯罪扱いになるのもわかる気はする。目黒さんがラブホに連れ込まれる描写とか、胸クソでしかないわな。「どーせなら楽しまねーと」とか言ってる「先生」が人間のクズじゃなかったらなんなんだろう。「エロい」じゃねーよ。死んでこい。

まぁ女性の魅力って現代社会的に若干バグってるところがあって、鬼も十八番茶も出花という言葉があるように、ストレートな性的魅力でいうと十代でピークが訪れるらしい。ただそれは現代社会において政治的に正しいと認められず、女性の魅力とはそれだけではない云々みたいなのが政治的に正しく、また多くの人にとって耳心地が良いことなのでそういうことになっているが、現実的には十代の女子は生物的にモテる。これは今なおラブコメ劇場が十代の物語であることと無関係ではないだろう（最近は二十代ラブコメも増えたけどなー）。

で、結果ロリコンクソ野郎に食われる女子みたいな話も生まれてしまうようだが、そんなものはラブコメ浪漫の対極にあるものであり、楽しくもなんともない。エロ漫画の領域だろそれ。正直「うわぁ……」って引きながら読んでいた。

ただこう考えるのは、俺も若干現代倫理に引きずられているところがあって、「そうなったのはお前（女子）の責任もあるだろ」と思ってしまうわけだ。現代倫理においては、子供は保護の対象だが、同時に一人の意思を持った人間でもある。で、そうすると、「意思を持った尊重されるべき人間である以上、その尊重されるべき意思でセックスしたのなら、それはお前の責任だ」となる。

まぁもちろん現実はゼロイチではないので、子供というのは基本的に未成熟であり、その判断も未成熟であることを斟酌して然るべきなのもそうだが、しかし子供の意思を尊重することと、その意思の結果の責任を問うことは、やはり表裏一体なのである。意思は尊重される、しかし責任はない、そんな都合の良い話はない。子供の意思を認めることは、同時に子供の未熟な行動に子供自身が責任を問われることでもある。たとえ法的に監督保護者たる親の責任という区分けにしても、現実はそう見られない。

そういうわけだから、目黒さんは法的にはもしかすると性的な暴行を受けた女子かもしれないが、現実的にはビッチヤリマンみたいな扱いを受けることになっているのもむべなるかな。

美少女は存在するだけで社会的地位が高い

まぁでも、それは別に目黒さんが望んだことというわけでもないのだよな。彼女が美少女であることは才能であって、別に望んでそうなったわけではないし。まぁ強烈なパッシブスキルだから、当人の預り知らぬところで多くの恩恵を受けているのはそうだろう。

実際、目黒さんはビッチの噂があってなおスクールカースト上位らしく、付き合っている主人公は釣り合わないと周囲から思われている。まぁこのへんは学校という閉鎖空間特有のもので、広い社会にでればどうでもよくなるんだが、まぁ学生とかいう動物園に閉じ込められた自覚のないウッキーモンキーたちは、その狭い見識の中でそういう判断をするわけだ。

ただ繰り返すが、目黒さんは別にそれを望んでいない。

美少女だがその自覚がなく色々な男にヤリ捨てられて己を毀損し続けた少女が、ギリギリのラインで社会的には地位が低いけれど誠実な男に拾われた話、というなんとも微妙な話に今のところなっている。目黒さんはもうちょっと器量が悪く生まれた方が幸せだったかもしれない。

楽しくはない。楽しくはないが、まぁ考えさせられることは確かにあるし、何より色々腹立たしいので、この腹立たしさが解消されることを望んで、続きを読むこともあるかもしれない。