作・香椎ゆたか。2018年4巻。ああ、とても愉快な漫画だ。好きだな、このゆるい感じ。
TSものであり魔法少女ものであり幼馴染もの。ラブコメ的にはTS+幼馴染な輝きがある。主人公・南があくまで性根は男、を貫いているので、ラブコメとしても楽しいんだこれが。ってか南とかりんのラブコメ、主軸の一つだよね。幼馴染とTSは引き立て合うなぁ…。
決して深刻にならないし、ゆるゆると楽しめて、それがすごく嬉しい。以下3-4巻感想。
幼馴染が俺によし
この漫画はまずTSものというのが第一の要素ではあるのだけれど、俺がこの漫画を楽しんで読めているのは、やはり主人公・南の幼馴染・かりんの存在が大きい。かりんは南のことが好きなので、南が女の子生活を満喫しているのを苦々しく思っているのだが、まぁでも好きな人の嬉しそうな姿というのはやはり見たいものらしくて、なんだかんだとサポートする。それでもやっぱり、二人でいる時は男の姿でいてほしい……というこの心情が実にいい。
これはやっぱり、長い付き合いの幼馴染だからこそかな、と。男とか女とか関係なく、まず幼馴染としての関係があるからこそ、献身的に接するのも自然。普通の男女だったら、ここまで親身に接すれば、どうしても色っぽい話になってしまうものな。それはそれでいいんだけれど、どうしてもラブコメ要素が強くなりすぎてしまいそうだしね。
幼馴染の日常的関係の中におさめておけば、TSにほんのり普通の男女の恋愛要素がからむことで、TSという要素がより引き立ち、またラブコメ的観点から見ても、ありきたりな幼馴染の関係から脱するという、実にうまい具合に互いの要素を引き立て合う妙味かな。
今を楽しむ南の姿勢
それといいなぁと思うのが、女の子生活をポジティブに楽しむ南の姿勢。決していやらしくなりすぎず、ただ純粋に女子としての可愛さを追求し、「かわいい」と言われたい様が、実にアホらしくてよい。
かわいいと言われることに快感を覚えながらも、コスプレなどあくまで男子的な目線でするあたりも、TSっぽくてよい。あくまで男ベースでありながら、若干ながら女の思考を取り入れている、そのバランスがいいんだ。
元の姿に戻れないかも、ってなった時には凹んでいたし、身も心も女子!ってわけではないんだよね。それがいい。
↑凹んでやけっぱちなことを言う南と、割と深刻なかりん。この回は唯一シリアスっぽくなった回であり、同時に南とかりんが互いに思いやる幼馴染回としても良いものだった…。
南の冗談をちょっとマジに受け止めているあたり、かりんがけっこうほんとに心配しているのが伺いしれるが、その一方で、南が先輩とデートしていると誤解した時には大いに凹むし、また南と先輩が距離が近いと嫉妬もする。かりんたいへんやね。がんばれかりん。
ゆるゆる楽しめる
全体的に動きのない画なのが、かえっていい味を出しているところもあるかもしれない。1コマ1コマ立ち止まって楽しめる。それは作者さんの意図するところじゃないのかもしれないけれど、少なくとも日常シーンにおいてはそれくらいのテンポのほうがゆったり読めていいよな、と思う。戦闘シーンなんてこの漫画で期待している人もいなかろうし。
このゆるゆるさ、安心して読める感じ、好きだなぁ。
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