作・香椎ゆたか。2017年1-2巻。
表紙の子は新キャラだけれど、表紙に抜擢されているということはつまりそういうことだね。どこを押さえているんだ。
1巻に引き続き、TS初心者の俺にもゆるく楽しめる、ラブコメまじりの愉快な漫画だった。主人公・南の今を全力で楽しむ様が好ましい。人生こうありたいものである。以下2巻感想。
全力で楽しんでるなぁ
この漫画は読んでいてハッピーな気持ちになれるのだが、それは主人公・南の今を全力で楽しむ様が見ていて愉快だからかなぁと思う。1巻でも、女体化した自分を触ったり変な声出したりポーズ決めて自撮りしたりと、女になったらやってみたいことを遠慮なくガンガンやっていたけれど、2巻でもその姿勢は健在。むしろパワーアップしている。
幼馴染のかりんを誘ってカラオケに行った時(二人きりデート!?とドキドキするかりんが細かくあざと可愛い…まぁ先輩も一緒だったわけだが)、女性ボーカルの曲が歌えて嬉しいねくらいの反応はうんそうだねといったところだが、男の時の自分の声をスピーカーから流し、それとデュエットしたのにはちょっと感心してしまった。これにはかりんも「ほんと楽しむことに全力出してるなぁ」と呆れ半分、感心半分くらいの感じ。でもまったく、そのとおりだよ。
新キャラ
そういうノリは1巻から変わらないのだけれど、大きな変化もある。新キャラだ。今回敵役の魔王少女が登場。1巻で敵キャラについて言及していたから、これはそのうち出てくるのだろうなと思っていた。新キャラながら表紙に抜擢。表紙に抜擢されるということはもちろん……。
何がいいって、戦闘シーンをほとんどまったく描写しないところがいい。うん、そこはどうでもいいよな。この力の抜き具合がいいわ。
ライバルは女体化した当人という屈折したラブコメ具合
ところで魔王少女と南は互いの正体を知らないので、元の性別故の無防備さ等にふたりともドキドキしているのだが、このようにTSした者同士でドキドキするのは同性愛に入るのか否か。難しい問題である。
他にも、今を全力で楽しむ男…いや女?うーん、人間・南は、貯金をはたいてメイド服を買い、それを着た自分の姿に見惚れるのであるが、ここで自分はナルシストに入るのかどうか悩ましそうであった。これもまた難しい問題である。
なんだか江戸川コナンがいろいろ諦めて灰原哀とくっついた場合、ロリコンに分類されるのかどうかという問いに似ている気がする。
TSというジャンルの特殊さが際立つ例である。だがそういったところに深くはつっこまず、愉快に今を楽しむ緩さが、TSものを読み慣れていない自分としては有難い。というか多分そこ追求されるとついてけない。
ただし、南に想いを寄せる幼馴染・かりんにとってはこの問題は幾分深刻であるらしい。自分の恋のライバルが女体化・南であることを知り、てごわいなぁとため息をつく様は切ないながらどこか笑える。この倒錯、ラブコメ好きとしても面白い展開である。
巻の終わりの話では、元に戻れない!と多少シリアスさを感じさせるものだったが、このまま愉快に続けてほしいなぁと思う。
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