作・田口ホシノ。2011-2017年。全13巻の最終巻!
幼馴染ものになるのか、ハーレムものになるのか、どちらに転ぶかわからなかったが…おおう、これはなんという。表紙がすべてを物語っているな。ハーレム漫画は数あれど、真にハーレムを貫く漫画はほとんどない。
以下最終巻感想。
ハーレム貫きよった
ここにまた一つ、新たな伝説が刻まれてしまった。可能性としてはあるかもとは思っていたけれど、実質的に全員と結婚しますエンド。ガチで結婚。うーんマジか。ハーレムエンドになる可能性は十分あると思っていたが、本当にそうなるとちょっとびっくりする。幼馴染エンドで無難に終わらせることだってできたわけだし。
まぁ完全にフラットなハーレムではなくて、アカリとの幼馴染エンドをベースにしつつ、アカリが天使なので他ヒロインが嫁を名乗るのを許し(どういうことだ)、八助も助平だしみんなことは好きではあるので、幼馴染エンドという見方もできなくはないかもしれない。少なくとも、戸籍上はアカリが妻となったわけだし。
いやでも、その解釈は厳しいな。これはやっぱり、ハーレムエンドと見るべきだ。だからこそ、最後の最後まで真面目になりきらずコメディタッチで描かれたんだろうし。正妻アカリに対し、モモたんやひなたたちが他真の妻、第一妻、真の第一妻などと嘯く様はクレヨンしんちゃんのかすかべ防衛隊で全員がリーダーを名乗るネタを思い出したわ。完全にギャグやろ。みんな幸せにな〜れ、というどこかやけっぱちなエンドは、幸福ではあるけれど、それでいいんかという気もする。
まぁそれでいいんだろう。あまり深く考えるべきではないのだろうな。みんな神様だから、法律の枠外にいるし、価値観としては一夫多妻なわけで、アカリがそれでいいのであれば問題ない……問題な……モモたん……。
モモたんはさすがになんぼなんでも問題だろう 笑。モモたんは人間で、価値観は一夫一妻であるし(ギャグとはいえ、離婚届と婚姻届を持ってきて「一年交代で!」はマジっぽい感じもして怖い)、アカリたちとの仲についても、共同生活をしたのは一時的で、しかもどちらというと外様としてだったから、微妙な感じである。本人もハーレムの一員に入ったというより、隙あらば奪い取ろうという算段なんじゃないかという気さえする。今回はぼかされたものの、今後本当にハーレムの一員となるかどうかはわからない。
ただし、他の神様たちについては、今後もハーレムライフ送る気マンマンである。ひなたやいづなはもちろん一夫多妻子孫繁栄。織姫はアカリを優先するという意思は表明しているものの、新婚初夜の大騒ぎする皆に「も〜今日"くらい"アカリさんたちだけで」という発言から、逆に言うと今日以外はみんなで突っ込んでいく気アリアリということだろう。
結局、今後の性…生活の分岐となるだろう新婚初夜で、アカリは「一緒に寝よっか」と今までどおりを選択し、八助はヒロイン全員と同じベッドでいっぱいおっぱいうれしーな。
「八助さん 私達を幸せにしてくださいね」
「はい…」
みんなのおっぱいに囲まれて幸せそうに頷く八助で終わり。八助でキンタマクラしているひなたに笑った。婚礼衣装も一人だけひらひらのドレスで洋装決めてくるし、最後まで日本の最高神らしからぬ子であった。多分違う。
ケジメはつけている
というわけで、どこかやけっぱちだけどハッピーなハーレムエンドに、本当に落ち着いてしまった稀有な作品となりました。親御さんは本当にそれでいいのかとか、モモたん家はどうなってるんだとか、細かいツッコミはあるけどするだけ野暮ってもんなんだろう。
ただ、大事なところでケジメはつけている。八助は一度モモたんを振っている。人間関係を精算したうえで、八助はアカリと"だけ"結婚する意志を表明し、アカリはそれを受け入れるという段取りを踏んでいる。この順番は非常に大事。
そして、その後神様たちやモモたんが押しかけたのは、アカリがそれを許したから。モモたんもすべてをわかったうえでなお押しかけている。普通許さんやろとは思うものの、まぁこれまでの生活が生活であったし、アカリ自身が織姫たちを非常に大事に思っていたこと、モモたんについては妙に引け目を感じていることなど、理由付けもそれなりにある。
確かに強引だし、やけっぱちな感じもするけれど、めちゃくちゃではない。納得できるかはともかくとしても、合理性はあるし、物事の順番を大事にしている。この丁寧さが、この作品をテンプレハーレム漫画にしなかったのだと思う。
……でも、モモたんについてはやっぱりかなり厳しい気がする。アカリは本当にいいんだろうか。だがモモたんがいることで、これは拡張型の幼馴染エンドではなくハーレムエンドであると明確に言えるのかもしれない。同時に、アカリ自身がまだ生々しい性生活を想像できていないだけ、いわば延長戦エンドだ、という風にも感じられる。延長戦エンドは、ハーレムエンドの一種だと思うが……。
いずれにせよ、ハーレムエンドである。それも相当ハッピーな。最後の最後まで夢を描ききった、稀有な作品であった。作者さんはさぞかし精神削られたことだろう。まったく。ひなたが一番好きでした。
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