作・宮原るり。2008年1巻。2015年11巻。表紙はエノとUK王子だが、ちょっと修羅場る。
文化祭準備編。ニヤニヤが続いた前巻とはうってかわり、本巻は修羅場。修羅場といっても三角関係的な修羅場ではなく、すれ違い的な修羅場。雨降って地固まるの雨だろうが、この漫画としてはこれまでにないストレス展開が続き、しかも解決しないので次巻がとてもきになる。
安定のレンスズとサヨ嬢以外、各方面にわたりすれ違いが発生するのであるが、一言で言うとヤン巻だったなぁと思う。ヤンはやっぱりリコのこと……そうだろうなぁ。そしてヤン絡みで、戸田会長のキャラも際立つ。
以下11巻感想。
修羅場
この漫画始まって以来の修羅場感漂う本巻。修羅場といってもラブコメ的に楽しい三角関係ではなく、もっと人間関係的なもので、作者さんらしいのかなと想う。本質的なところで互いを思いやった末のすれ違いなので、雨降って地固まるの雨の段階なのだなとはわかるものの、ラブコメ模様は停滞の時。
そんな中で印象深いのは、UK王子こと戸田くんと魔王ことヤンの関係であった。この二人は非常に相補的な関係で、ぬるい社長と厳しい副社長という、割と理想的な関係だと思うのだが、社長側は案外深刻にコンプレックスを感じていたという話。
これは、戸田会長は自分が思っている以上にヤンの支え、助けになっているという話であるけれど、漫画的に見ると、ヤンを想う姿が彼を一キャラクターとして引き立たせている不思議。戸田くんはUKといえど王子過ぎてなかなか感情移入しづらいところはあったけれど、ヤン絡みの話を見ると人間味を感じる。
レンスズとサヨ嬢の安定感
ヤンマキ、ナギリコ、トダエノと修羅場を展開する各方面の中で、安定しているのはまずレンスズ。勝手にナイーブになっているスズに対して、小学生とは思えないフォローをするレン間違いなくモテ男。ただそのフォローの仕方が面白い。
↑おおぅ、それ言っちゃうか!だいたい人間の長所と短所は突き詰めると同じだと思うんだが、スズの場合もそうで、素直で純粋で人好きするスズは、皆に愛されて育ってきたが故に、自身が好かれていることを無自覚に信じている面は確かにある。だが、それを真っ正直に本人を前にして指摘できるレンはさすがの一言。
もちろんこれはあまりに険のある言い方であるし、またスズは実際好かれている。ただそれを前提にした振る舞いは、他者からすると滑稽であることもまた事実。この微妙なバランスに小学生にして気づくレン確実にモテ男っていうか恐ろしい子!
そして彼氏を呼びもしていないが故に圧倒的な安定ぶりを見せるサヨ先輩はさすがである。既にひと波乱あったからか、恋愛ラボで一番落ち着いたカップルかもな。
ヤンの初恋
あー、やっぱりかーと思ったのは、ヤンのリコへの気持ち。戸田との絡みもあって、総じてヤンが印象深い。
↑やっぱりそうか、そうだったかー……。今までもそうだったんだろうなーと思わせつつも、ぼかしていたけれど、やはりそうだったんだなー。ちょっとこれ、この漫画で一番ぐっときたかもしれん……ヤン少年……。リコの失恋の数だけ、ヤンも失恋していたんだな。
本人さえ気づいていない初恋と失恋を、いつか成長したヤンは、懐かしく思い返すのだろう。きっとその時、隣にいるであろうマキに、それを告げることはなかろうが、なんとなく察せられてしまうのだろうなとか、さらに察せられたのを察して下手くそなフォローをしようとするのだろうなぁとかなんとか色々妄想して勝手にニヤニヤして終わり!次巻期待!
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