『LIAR GAME』再読中。秋山と神崎直いいよね…

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作・甲斐谷忍。2005-2015年全19巻。13巻まで集めていたのだが、途中で読むのをやめていた。が、最近ふと読み返している。今回は最後まで読むつもり。終わり方微妙という噂も聞きつつ。

ライアーゲームの表題通り、この漫画は嘘つきゲームにバカ正直な女子大生・神崎直が稀代の詐欺師・秋山深一の力を勝ち抜いていくという話で、まぁ読んでいて頭が疲れる漫画…なのだが、同時に神崎直と秋山深一の相補的な関係が非常に魅力的な漫画でもある。つまりラブコメ的においしい。単なる役割分担ならよくあるボーイ・ミーツ・ガールかもしれないが、この二人の場合はむしろ思想対立だから、より深い。

ゲーム内容についてはもうどうせ語り尽くされているし語る気もないので、以下、二人の関係いいよねってただそれだけ書く。そういうサイトなので。

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相補的な関係

この漫画の主人公は多分女子大生・神崎直だと思うが、この子はバカがつく正直者で、読んでいてよく今まで生きてこれたねと思う。まぁ実際、秋山に助けられなかったらこの子は最初のクソ教師に沈められて最低なことになっていたのだろう。たとえライアーゲームに巻き込まれなかったとしても、あまりにも人を疑うことを知らなすぎる彼女は、作中でも言及されているように、本当の意味で相手を知ることもなく、だから深い友情も築けず、割と孤独な人生を歩むことになったのではないかという気がする。

つまりこの神崎直という人間は、まるで道徳の教科書から飛び出てきたような規格外の良い人間でありながら、これはこれで問題児。悪いことをしているわけではないものの、実際の人間は清濁併せ持っているものなので、彼女の清らかさがたいていの人には耐えられないし、苛々させられる。ネットでもちょっと調べたら神崎直に苛ついて苛ついてもう怒り心頭な人がたくさん見つかる笑。

そんな彼女と、稀代の詐欺師・秋山深一という組み合わせが、実に相補的で面白い。ゲーム的には神崎直は秋山の足を引っ張ることが多く(それがまた読者を苛つかせる笑)、一言で言っていらない子なんだが、ゲームを勝ち上がる方法ではなく、勝ち上がる意味に着目すると、神崎直の役割が見えてくる。

秋山深一の能力を以てすれば、ライアーゲームを順当に勝ち上がっていくことができるだろうけれど、それに勝ち上がったところで、多分大勢に影響はない。母親の復讐としてマルチ潰したのと同じ。それで世の中なんにも変わらないし、秋山も一時的に気分がスッとして終わりだろう。神崎直が勝ち上がって初めて、秋山の勝利に意味がある。秋山の勝利はより強いものが強いものを挫くというだけだが、神崎の勝利は、その強さそのものの否定に繋がるからだ。そうして初めて、秋山は母の死を乗り越えられるのだろうと思う。

もちろん、神崎にとっても秋山は頼もしい存在であるし、"疑う"ことが人を知ろうとすることでもあることを教わった彼女は、性格的な本質はそのままに、人間として大きく成長する。そもそも秋山おらんかったらこの人沈んでるっていうね。いい関係よね。

生き方のぶつけ合い

秋山は力で、神崎は理念だ。互いに補い合う二人の関係はとても魅力的。ただまぁ、それだけだったらいわゆる肉体派と頭脳派カップルみたいな感じで、良いものだけれど、さほど珍しくもないかもしれない(いや最近は逆にあまりないか?)。

が、この二人はそういうただの役割分担ではない。役割分担というより、むしろ思想のぶつけ合いに近い。なぜならば、秋山にとって神崎を信じることは、秋山の人を疑う生き方の否定でもあり、神崎にとって秋山を信じることは、人を信じる神崎の生き方否定でもあるからだ。そして、疑うことと信じること、一見対立する二人のスタンスが、実は深いところで繋がっている。そこがいい。

というより、疑うことと信じることは、表裏一体のコインであって、同じことなのだろうと思うし、多分きっとこの漫画自体がそういう話。ある意味ラブ・ストーリー 笑。読んでいて頭こんがらがってくる展開も、ラブコメ混じりに考えるとすっと頭に入ってくるから不思議すなぁ。

今あるのは13巻まで。いつの間にやら19巻にて完結しているようなので、手に入れるつもりではある。入手性が高いのは当然電子書籍なのだが、電子書籍は割引率が微妙なので、こういう完結してからしばらくたっていてかつそれなりに流通している漫画は、古本を漁るほうが良いことが多い。しかし古本ゲットはやはりそれなりに面倒なので、実際読むのはけっこう先になってしまうかもしれない。まぁ最後は微妙という噂を聞いたのだが……。ってかまさか福永オチなんてことはないよね!

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