強制レンアイ4巻最終巻、2020年6月。前回記事を書いたのは2022年11月なのであれから2年ちょっと。積ん読消化シーズン。
前回記事の時点でだいたい先の予想がつき、「(4巻読んでいないけど)もう読んだよ」くらいのことを書いており、そして実際展開には一切驚きがなかったのだけれど、それにも関わらず面白さを感じられた。ただそれ以上にわけわかんない感じもあり、伝えない何かがあったんだろうかというのはありつつも、それを消化しきれなかったのか、それとも単に紙面の都合で描ききれなかったのか。
以下幼なじみvs妹の永遠の対決4巻こと最終巻感想。「豚と眼鏡のラブコメにページ割いてる場合じゃなかったやろ」というのはさすがに結果論だろうか。
前回記事

下乳。
この生涯で手に取った
まず前回記事で俺が書いていたことを引用したい。2年ちょい前の感想記事だ。
せめて2,3巻と幼馴染のターンだったならば、トドメで派手に散る幼馴染ムーブに期待があったかもしれないのだが、残念ながらここまでほとんど豚と眼鏡のラブコメに割かれており、幼馴染は空気もいいところだったため、劇的な展開を望むべくもなく。まぁ。うん。
なんだかなぁと思いつつ4巻のAmazonレビューを見てみると、ああやっぱりか、という感じであり、もはや俺はこの生涯において、本作の最終巻を手に取ることはない気がするが、まぁもう全部読んだよ。多分。そんな気がする。はい。
『強制レンアイ』2-3巻感想:豚と眼鏡の自由恋愛 | 少年は少女に出会う
なんかだいぶ言ってる。自分で言うのもなんだけれど、俺がここまで言うのは珍しい(……と思っている)。多分豚と眼鏡のラブコメを読まされてだいぶイライラしていたんだろう。豚眼鏡については、最終巻を読んでもやっぱりいらなかっただろこれという気持ちでいっぱいである。
ただもしかすると、豚眼鏡にも何かテーマがあって、それを作品に繋げたい気持ちがあったのかもしれない。そう感じる程度には、この生涯で手に取ることはないだろうとまで思われたこの最終巻は、実際手に取って見ると存外面白さがあった。
妹 vs 幼馴染み
主だったところでいえば、まずましろ(妹)と花(幼馴染み)のやりとりだろうか。明らかに狼狽しているましろに手を差し伸べようとした花に対し、ましろが「うんありがと、でも……本当に大丈夫だから」と強がったところで、花が激昂するのだが、そのときの花の「イラッとしたんだよ今の言葉に……!!」という表現がよかったな。
ましろがやったことは、「心配かけたくない」と言っているが、明らかに心配されて当然の状態(突然ボロボロ泣き出すなど)なので、実際にやったことは差し伸べられた手を笑顔で払いのけたのであり、これは相手(花)を怒らせて当然。自分がどう見えているか、相手はどう考えているか、まったく見えていないのだね。10代だから仕方ない。そして花もまた十代なので、そういう舐めたことされるとプッツンときてしまい、ここから先は感情ぶつけ合い青春劇場。
青春劇場なんだけれど、「イラッとしたんだよ」っていう直截な言葉選びが俺によかった。この時の花は、兄のほうではなくましろの幼馴染みのお姉ちゃんだった。実際、このシーンは「幼馴染み」と「恋のライバル」という二つの立場が激しく入れ替わり立ち替わっており、読んでいて面白かったね。
妹 vs 兄
同じように、ましろと兄のシーンもよかった。自分一人だけ血が繋がっていない(両親の不倫とかではなく里子のようだ)ことを兄が黙っていたことについて、隠し事をしていたと非難するましろに対し、「だったらお前は 俺に対して何も隠し事はないって言えるか?言いたいこと……全部言えるか?」と切り返し、口籠もるましろに対して、たたみかけるように「全部言ってやる」と啖呵を切り、そして「俺はましろが好きだ」と告白するシーン。この告白シーンは本作全体のハイライト。良かったと思う。
ここもまた、家族、兄妹、そして好きな人と、複数の立場が激しい感情により何度も入れ替わり立ち替わっているんだね。これは十代のラブコメの醍醐味よなぁ。こういう感情のぶつけ合いはやっぱり青春の特権で、二十代以降のキャラでこれやると、「ガキかコイツら」って青臭く感じられてしまう。まぁ大学生ならギリ……でもそれでも、十代とまったく同じようにはいかない。だって二十代は大人だから。
でも十代なら青臭くていい。むしろ青臭いのがいい。だって子供だから。
見るべきところはあるけれど……
ここまで、めっちゃ楽しんでるやんと思われるかもしれないのだが、実のところはボチボチといったところです。彼らの切実さはわかったものの、今ひとつ納得性が欠けていたというか、ちょっと急展開だったなというのが正直なところ。
ってか幼馴染みの存在があまりにも噛ませで泣ける。決着ついてないとはいえ、実質妹エンドみたいなもんだし。幼馴染みと妹の直接的な関係描写がここまで少なすぎたよなぁ。マジで豚眼鏡のラブコメを優先した理由がまったく不明である。マジでこの幼馴染みはもっと輝けたと思うんだけど。
まぁでもこれは結果論で、前述したように、もしかすると何かテーマに繋げようという伏線だったのかもしれない。なんかラストシーンとか妙に思わせぶりだったし(意味はわからんくて、「え?終わり?」ってなったけど)。結果的には一つの一つのピースが繋がらないまま、ただ最後に、コアとなる部分の切実さだけが少しばかり浮き上がり、その部分は楽しめたなぁ、という感じでございました。
まぁそんなわけで、振り返ると全4巻の荒削りでありながら見所もあるB級ラブコメ、深夜の一気読みにどうぞ、みたいな感じでしょうか。今振り返ると1巻の感想記事が2020年10月なんですけど、4年ちょいかけて読むもんじゃあないですね。そりゃそうか。まぁそういうタイミングも含めて出会いなので……。
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