作・もすこ。2015年1巻。久住くん空気読めてないどころかめっちゃ読んでるっぽいミステリアスボーイ。
学校一のモテ女が、地味で目立たない日陰男に絶賛片想い中な話。天然ストーカーちょい入ってる盗み聞き系女子で、ガンガンオンラインということもあり、高橋さんは聞いているを彷彿とさせるというか実際意識しているような気がしないでもない。ってか設定は色々既視感がある。
ただ、主人公が明確に恋しているので、ラブコメ感はある……のだが、正直1巻時点では久住くんからの絡みがほぼないので、まだ微妙か。
思い起こしたものの一つが『猛禽ちゃん』で、アレの男女逆バージョンっぽいなぁとも思うのだが、猛禽ちゃんも面白くなるのは2巻以降だったし、まだちょっと評価しづらい感じ。恐らく今後ラブコメ色強まるのだろうと予想するが…。
しかし2巻以降はまだ仕入れていないので、ひとまず以下1巻感想。
片想い系女子
本作は学校一のモテ女、主人公・佐倉えりかが、地味なクラスメート・久住くんに片想いしてストーキングする話。タイトルで空気読めてますかなどと問いかけている割に、別に久住くんが空気読めてない描写は特にない。むしろかなり空気読んでいるっぽい。
久住くんどうこうというより、まずは主人公・えりかの片想いっぷりを楽しむところから始まる。久住をつけまわすその姿はナチュラルにストーカー入っており、高橋さんは聞いているを思い出すのは仕方がないだろう。というか巻末のSPECIAL THANKSに北欧ゆう先生とあるし、何かしら関係があるのかもしれないが、まぁ漫画家同士の関係を探るのも野暮か。
モテ女が地味男に片想いして空回しする姿は男向けっぽい文脈であるが、描かれるのがえりか視点の久住の日常で、特に男同士のいやらしくない友情などは女向けっぽくもある。男女双方を読者層に想定しているような気がするけれど、こういう作品って実際のところ男女どっちの読者が多いんだろう。
えりか視点で久住くんの魅力を探る
とにかく、最初はえりかの片想いリアクション一発芸から始まる。が、それはあくまで掴みであって、ベースは表題にもあるように、ミステリアスボーイの久住くんとその周囲である。といっても今のところ友人の榛名くらいであるが。久住と榛名を並べると、田中くんはいつもけだるげを想起してしまうのは俺だけじゃなかろう。
読者からの第一印象的に、久住くんは別に素敵な男の子というわけでもないので、えりか視点で久住くんがどういう男の子なのかを見ていくことになる。久住くんを「あ、なんだかちょっと面白い子だな」と思えるかどうかがキーで、ここでえりかに共感できないと、えりかがただ恋に恋してるだけの女子に見えて、あまり楽しめなかろうな。
俺はといえば、久住くんは好きなタイプではある。こういう泰然としたキャラは今も昔も俺の憧れ。また、周囲を全然見ていなさそうなのに、その実しっかりと見ている。えりかの独り言系自己批判にさらっとフォローいれたり、大事なところしっかり抑えてくるのはずるいよね。ある種の理想的な人間だと思う。
カップル感もカップリング感もまだないが
ただし……この巻では、えりかの片想い暴走っぷりと、久住がミステリアスながら味わい深い人間であることまでが描かれるのみで、それ以上にはならない。自意識過剰なえりかが、久住に感化されて自分を見つめ直している描写などはよかったけれど、それくらいで。つまり、ラブコメ的にはいまのところ全然なんだ。
今後の展開次第だなぁ。「猛禽ちゃん」の例もあるし。「猛禽ちゃん」はこの作品と逆パターンで、鳥っぽい(というか鳥の)ミステリアスガールに、モテ男が片想いして頑張る話。アレはいいラブコメだった…。いいラブコメだったけど、1巻時点では微妙の極み。2巻からラブコメが加速して一気に面白くなり、特にミステリアスガールが恋を自覚しだしてからはもう本当にたまらんかったでござる。
ということで、えりかが久住くんを通してどう変わるかと、久住くんがえりかに対してどう思うようになるのかが、ラブコメ的には気になるところ。ってか、日常ものとしては色々既視感があり、いかにも今のガンガンオンラインであるなぁというのが正直な感想なので、ラブコメとして一つ突き抜けてほしい。久住くん実はえりかの好意に気づいているのでは、と思わせる描写もあるし、心配しなくてもラブコメなんだと思うけど。
2巻以降に期待しつつ(もう4巻まで出てるけど…)、評価はひとまずおあずけ。