谷川ニコ, クズとメガネと文学少女 2, 2018
『クズとメガネと文学少女(偽)』谷川ニコ | ツイ4 | 最前線
Webで全話読めるので是非。全2巻で完結した惜しい日常漫画。進展はあまりないのだが、日常系としては一応ラブコメに分類してよいかと思う。
表紙の織川がただただ可愛い漫画。可愛いのにナチュラルにガードゆるくて全校生徒にパンチラしていた残念美人。顔以外いいところないさん。
そんな織川と愉快なクズとメガネ。あとなんか女子。とりあえずみんな友達いないさんズ。もうちょっとラブコメサービスしてくれたらなぁと思いつつ、まぁ谷川ニコだしなぁ。クズともメガネともいいコンビだったけれど、どちらともくっつかなそうな感じもする。
羨ましい青春してるわ。なんだかんだ言って最後の方では(偽)が取れたんじゃないのかな。感動の共有っていいよね。以下感想。
織川がひたすら可愛い
兎にも角にも表紙の織川が可愛い。無理して頑張って進学校に受かったものの、舐められるんじゃないかと不安に思い、本読んでいると頭良さそう、という理由で文学少女デビュー。形から入るスタイルらしいが、文学少女というよりは中二病っぽいセンス。とりあえず黒い。
彼ら彼女らの関係
ただしルックスは良いしく、彼女の痛すぎる佇まいを度外視して顔に惚れたクズ一人。彼女とお近づきになるべく図書委員に入ろうとするも、ジャンケン勝負の結果、目当ての彼女とは一緒になれず、クズこと古河は本当の文学青年たるメガネ・守谷と同じ図書委員になり、また図書室に通い詰める織川あわせて、なんだかんだいいつつ3人で青春を謳歌する。
作者さんは過去に顔以外いいところないさんと変態のラブコメを描いているが(『ちょく!』谷川ニコの意外と真っ当なラブコメ)、あちらは顔以外いいところないさんが男で変態なのが女のほう、という(どちらかといえば男向けとしては)変化球であったのに対し、こちらは顔以外いいところないさんが女で変態なのが男、と設定自体はストレートになっている……と見せかけて、変態のクズはむしろ同性のメガネとの友情を育むことになるのであった。
古河は織川とお近づきになろうと本を読み始めるのだが、実に素直に本の世界にのめり込み(良い場面では織川に話しかけられても「黙れ」と言ってしまうほどに)、また彼の直截な本の感想は、余計な見栄や装飾もなく、読書人・守谷は彼に本を勧めることに歓びを見出すわけだが、その様子は織川←古河←守谷となんだか三角関係のようだ。
実際、古河は自分の気持ちを織川には見せないので、特に二人の間で進展はなく、むしろ織川は守谷との間にフラグがたっていた。が、守谷は織川に対しては特に特別な感情をもたない。守谷は織川よりも、動機は不純ながら純粋に読書を楽しんでくれる古河のほうが好きである。まぁしかし、後半になって織川も本に没頭し始めるので、守谷からの好感度も上がるかもしれない。
この奇妙な三角関係にくわえて、中盤からは名前も知らん感じが妙に生々しい図書委員長で4人。男2人女2人というこれ以上ないくらいの青春的な組み合わせで夏を過ごす。にも関わらず、特にラブコメ的な進展はない。
ラブコメ的な展開はないけれど
ラブコメ的な進展はないが、でもこの漫画を楽しめる人はやっぱりラブコメが好きな人だろうと思う。というのも、もしこの4人が全員男、あるいは全員女だったら、同じように楽しめたかというと、多分そうはならないからだ。まぁそれはそれで需要があるとは思うんだが、ちょっと読者層が変わるだろうと思う。どっちも好きだよって人も多いだろうけどさ。でも、雰囲気が大きく変わることは間違いないだろう。男と女が集まっているからこその青春感である。とはいえ、彼ら彼女らが本当にそういう関係になるかは別問題なのだけれど。
もしもこの4人でそういう関係を想像するなら
可能性としてはないこともないと思うので、もしこの4人で組み合わせを考えてみるなら、古河は織川よりも先輩じゃないだろうか。古河が変態性を露呈して先輩に蔑まれるのが良いリズムだと思う。一方、織川と守谷は普通にいいカップルになれそうな気がする。
実際もう少し話が進んで、ラブコメ的なテコ入れでもしましょうか、ということになったら、そういう方向で進んだんじゃないかなぁ。ただまぁ、そうしてしまうと完全にラブコメになってしまうので、それを嫌ってすぐに終わらせた、のかもしれない。……そんなことあるのか?まぁでも、続けばラブコメ色はもう少し強くなったろうなぁと思うので、ここで終わったのは悲しい。
そういう展開にはならなかったので、結果的に本作は残念な美少女の織川が、友だちを作ってそこそこ楽しい毎日を過ごせるようになるまで、のお話になっている。最後、ハワイ帰りで文学少女感皆無の日焼けした織川が、素の調子で見栄を張ることもなく「なんかすごくいい本教えて」と言うのは感慨深い。織川は居場所を見つけたわけだ。そしてなにもなく毎日は続く。こういう青春、過ごしたかったよね。
ところでどうでもいいけど、俺自身は小説をほとんど読まなくなって久しい。懐かしいタイトルを見るにつけ、またちょっと読みたいな、と思った。
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