『喰いタン』1-3巻感想:二十年前にあった奇跡の二十代ラブコメ

俺はね、まぁ最近いろいろめんどくさくて、思ったんだよ。なんかこう、喰いタンとか読みてぇなぁ……って。それで気づいたんだけど、喰いタンを読みたいのなら喰いタンを読めばよいのではないか?と。天才的な気づきを得たので記事にする。

本作の作者・寺沢大介はオッサンのアヘ顔漫画として名高い将太の寿司の作者である(ミスター味っ子も有名)。将太の寿司はオッサンたちのポジティブにもネガティブにも極まった顔が異様に魅力的な一方で、ヒロインの魅力は一日中回り続けた回転寿司のようにカラカラなんだが、同著者の本作『喰いタン』は奇跡とも呼べるほど異様にラブコメ指数の高い作品だ。恐らくそれは意図してできたものではないのだが。最近こそ増えてきた20代ラブコメだが、本作が2002年に1巻刊行という事実をラブコメラヴァーズとして見過ごしてはいけないのではなかろうか。

まぁ純粋に漫画として面白いので(将太の寿司も面白いですよ)読んでいる人も多かろうけれど、恐らくラブコメとしてはノーマークと思われる以下1-3巻感想。この漫画読んでると腹減ってくるんだよなぁ。そして人生の楽しみ方を教えてくれる……ような気がする。殺人犯倉又由美は草

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フツーに面白いんですが

まぁオッサンの顔がうまいくらいだから(本作でもオッサンズの顔は良い味している)フツーに漫画として面白いんだけれど、それはそれとして本作は良ラブコメなのでそれは言いたい。いいかい学生さん、ラブコメを、ラブコメをな、いつでも読めるくらいにこれは美味しんぼ。美味しんぼも良ラブコメなんだよ素敵だね。

それはいいとして、本作は食いしん坊と名探偵を合わせ技した不思議な作品ではあるんですが、まぁ探偵モノは人気ジャンルっぽいので多分たいていの属性は組み合わされていることでしょう知らんけど。探偵モノとして見るとかなり無茶苦茶に思えますが、そう珍しくもないんですかねぇ……。ただ本作の良いところはそんな表面的なところではなく、主人公ヒロインの異様なコンビ感、大人の距離感の中にある確かなラブコメ、そこに尽きる。

ラブコメはどうしても浪漫派が強いので、十代思春期上等であり、最近こそ二十代三十代のラブコメも目立っていますが、2002年1巻ということを思うと、本作はラブコメ的にも先見の明があったのかもしれない。まったく意図してなかったと思うけれど。実際、ラブロマンスではなく明確にラブコメ的なんです本作は。

まるでWORKING!!のように

そういうラブコメ観点だと、主人公・高野とヒロイン・京子(物語中の呼び名で呼んでしまう)の話なんですが、基本的には主人公・高野聖也の強烈なキャラクターが物語を引っ張っていくタイプの話です。京子は高野のアシスタントでありツッコミ役であり保護者でもある、まぁ探偵モノのフレームワークとしてはティピカルかもしれません。

しかし第一話時点では明らかに主人公・高野聖也にフォーカスされており、京子の存在感はモブ並だったのですが、傍若無人なる高野聖也に対する貴重なツッコミ役という立場から徐々に存在感を増していき、そこには「手のかかる人だ」という気持ちと「すごい人だ」というリスペクトがないまぜになった感じが非常によろしく、1巻終盤にはヒロインとしての頭角をめきめきと現し、3巻にもなるとほぼ完成しており、ぶち抜き下着姿のセクシーショットなどのヒロイン仕草もするようになります需要があったのだろうかこれは。下着姿気合い入っていた気がします。着物姿もあるよ。

実際のところ、京子さんの魅力を作っているのは9割方高野聖也です。劇薬でしかない彼の面倒を見ているからこそ京子さんは魅力的であり、また癖しかない高野聖也を読者に受け入れられるように柔らかくしている存在でもあります。互いに引き立て合うこの食べ合わせの妙は、在りし日のWORKING!!のようです。でもWORKING!!よりはちゃんと仕事しています多分。そういえばディーふらぐ!なんかもヒロインの難ありっぷりが主人公の個性を際立たせているように思える。

高野と京子の距離感は、お仕事している20代以上だからこそ出せるものなのですが、決して真面目になりきらないラブコメの妙がきちんとあります。真面目過ぎちゃいけないんだよラブコメは(持論)。そこへいくと本作はギャグだからね。そこがいいんだろね。

ラブコメとして良作

そんなわけで、本作はジャンルとしては一応探偵モノに入るはずで、その中でもかーなり滅茶苦茶と思われますが、確かな漫画チカラをベースにしているために今読んでもフツーに漫画として楽しめます。しかしそれ以上に、二十代ラブコメとしてヒジョーに味がある作品です。

ということでまぁ、またボチボチ、疲れた時に続き読もうかな……。本作全16巻ですが、ラブコメ好きなら最後まで読みたい作品です。予想つくかもしれませんがオチまで読もーね。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 美味しんぼやん……と思ったらたまさんが代弁してくれてたという。
    結構滅茶苦茶な主人公なのに不快感がないのはヒロインちゃんのお蔭だと感じますね。
    Kindle未加入なので、スキマで読める14話まで読みましたが、い~雰囲気ですねえ。山岡と栗田より好きかも。

    • >結構滅茶苦茶な主人公なのに不快感がないのはヒロインちゃんのお蔭
      そうなんですよね。京子のおかげで高野が食べやすくなっています。
      一方で割と一般人の京子が異様に可愛く見えるのは、高野の世話をしているからでしょう。
      結果、純粋にラブコメとして楽しめる作品になったなぁと思いました。

      美味しんぼも地味にラブコメとして美味しい作品の一つですが、時代もあって今見ると主人公ヒロインってか全員アヴァンギャルドなので、オススメはしづらいんですよねぇ
      なんといっても、いちいち思想が強い苦笑

      • 美味しんぼは山岡と栗田の結婚がラブコメとしてはピークでしょうね。二人の関係が決着する辺りの話は地味にラブ度高くてドキドキしましたよ。
        なおその後()

        • 実は結婚話まだ読んでないんですよねw
          多分積んでるんですが。美味しんぼに限らずですが、長寿漫画がだんだん微妙になっていくのは仕方ないのかなぁと思います。
          特に美味しんぼは元から思想強めなので……

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