Amazon プライムビデオで放送してくれているこの美アニメ第8話、ラブコメでは定番の「年頃の男女が学校の一室に閉じ込められる」夜までバージョン。全編ニヤニヤラブコメの本作の中でも、特に屈指のラブコメ回だが……よかったです。青春ラブコメ的な甘酸っぱさも花開きながら、片想いの切なさ、苦味もあって、とても味わい深い。
以下感想。
原作屈指のラブコメ回
本アニメは原作の萌えポイントをこれでもかと強調している感があったけれど、この8話については比較的落ち着いているというか原作ママというか。いやこの回は原作からしてニヤニヤメーター振り切ってたから、特に盛る必要もなかったということか。と言いつつ、原作↓のシーンについては、アニメではこの後コレットに「って!なにやってるのよ!」と宇佐美さんがツッコムシーンが追加されるが。
でもこれくらいなら嬉しい良改変やね。その気がないとわかっていても、コレットが内巻くんにベタベタするのを宇佐美さんが嫌がるのは原作でも語られているし。それにしても内巻くんアニメではこの時コレットの頭なでなでするというイケメンぶりである。
宇佐美さん発情する
話としては、学校の一室に男女が閉じ込められるアレである。石膏像を求めて、部室の古い物置に行く宇佐美と内巻が、当然のように閉じ込められる。ラブコメにおいては、学校という舞台そのものが意思を持っているかのごとく、男女二人が揃えば無駄に閉じ込め吊り橋効果。しかも今回は、一時間だけとかではなく、ほぼ夜まで密室状態が続くというロングバージョン。宇佐美さん発情不可避。
基本的には原作と同じように発情する宇佐美さんだが、アニメでいいなぁーと思ったのは↓のシーン。
息が…っ顔に――
そうですか、そうですか。息が顔にかかりますか。かかっちゃいますか。
このシーンを、アニメでは下から舐め回すように映していき、さらに内巻くんの吐息が絶えず聞こえる。臨場感があって、宇佐美さんのドキドキぶりがよく伝わってきたよ。
宇佐美さんが存分に発情する様が可愛い。密室という非日常感も手伝って、いつもよりも三倍ドキドキする宇佐美さんに、宇佐美さんだけでなく読者も転がる。
甘酸っぱいだけではなく
この話の素晴らしいのは、これだけ悶えさせた後に、最後の最後で片想いの切なさを見せるところだ。脱出後、このまま一晩過ごしていたらどれだけ皆にからかれることかと言う宇佐美に対し、内巻は「何をからかわれるんです?」と疑問を発し、宇佐美は改めて自身の想いの一方通行さを思い知る。先までの非日常的なドキドキから、一転して現実に立ち返り、その落差で宇佐美は軽いショックを受けてしまう。そして、石膏像を忘れていたと言い訳し、逃げ出すようにして隣室に行き、「そう…だよね」と一人凹む。
だが、切ないまま終わるわけではなく、宇佐美の様子がどことなくおかしいことに気づいた内巻が、思わず逃げ出した宇佐美を追いかけ、少し躊躇った後に、一言「運びますよ 石膏像」。先の受け答えで宇佐美の様子が動揺したことはわかるけれど、何故動揺したのかがわからないから、何を言えばいいのかわからない、しかし何か声をかけたいと思った、そんな感じだ。
内巻くんがこうして他人、しかも三次元の女子に気を遣うということ自体がすごいことである。だからこそ、凹んでいた宇佐美も、少しだけ笑みを見せ、ほんのりと暖かな余韻を残し、この話は終わる。青春の甘酸っぱさと片想いの苦味を、思いやる気持ちで温めた味わい深い話だった。それがいい感じでアニメになっていて、よかったなぁ。
ところでBパートで伊万莉が読んでいた漫画は、同著者いみぎむるの前作サイトーくんは「超能力者らしい」やったね。あの作品は……うん。