↑デカ女×チビ男だよ。恥ずかしいくらいに青春。
基本情報
2016/01/20現在第4巻まで。まんがタイムオリジナル連載。作者はクール教信者で、自分の他作品に繋がりをもたせる人のため、他作品ともリンクしている。濃いファンが多いがそれなりに多作でさすがに全部追いきれんぜ。クール教信者はギャグとシリアスを織り合わせるのがうまくて、コメディベースの中でギャグを殺さずにシリアスを入れて、かつうまく日常編に戻ってこれる稀有な人だ。本作も非常に日常寄りだけれど、ちょいちょいシリアス挟まれる。作者曰く「異世界編までやりたい」そうだがマジでありそうだから困る。
なお、ラブコメが始まるのは2巻から。
だいたいこんな感じ
基本的には、主人公の小森しゅりと仲良し女子グループ3人組を中心とした話。最初はその女子三人組の友達話が多く、良くも悪くもそっちの日常系という感じ。ただ内省的、感傷的なシーンが随所に織り込まれるところにクール教信者っぽさが見え隠れするくらい。まんがタイム的でここも普通に面白いけどね。
が、2巻になると、しゅりをライバル視する男子、大谷が登場。ここから一気に面白くなるのだ。背が小さく、頼りがいがないと思われがちなのをコンプレックスにしていて、なんとか人に頼られる男になりたいと思っていた彼は、なにかとしゅりに対抗する。これまで皆に好かれ、頼られてきたしゅりだが、「頼らない」とハッキリ宣言し、かつ「小森じゃなくて大森だ」などと軽い憎まれ口を叩いてくる大谷は初めての存在だったろう(下図)。しゅりも負けないんだけどね。
二人は憎まれ口を叩き合ったりしつつ、お互いなんとなくシンパシーを感じるところもあるのか、委員や地区が一緒で何かと縁もあり、反発したり共感したりしながら、だんだんと気になる異性になっていくのであった…このプロセスがいい。丁寧に描かれている。クール教信者は色々書くけれど、男女のウブな色恋描かせたらピカ一やねぇ……。
ざっくり言って青春物語。「恋に友情に大忙しっ!」という世界でもっとも恥ずかしい言葉の一つが似合ってしまう漫画。あまりにまっとうな青春過ぎてふと自分のことをダメいけない考えてはいけない。羨ましいよね。色恋話はメインの一つで、友情の話もあり、かと思えば個人の内省的な話もあり、なんというか人生を綴った感じがクール教信者らしいと言うべきなんだろうなぁ。
なお、女子中学生からスタートするけど最新刊だと卒業する。サザエさん時空じゃないんだぜ。……そのうち本当に異世界に?
人物
仲良し三人組と男子二人をピックアップ。他にまさ子の姉とかしゅりの母、妹、めぐみの父など家族に一癖二癖あるのがいっぱい。
小森しゅり
主人公。デカ女。表紙を見ればわかるがたいへんなぼでーをしておられる。中学生の背丈と胸ではない。人の頼みが断れない性格で、というか頼られることに生き甲斐を感じるタイプ。将来は看護系に進むといいと思うわ。男並に体が丈夫で気が効いて女子らしい柔らかさもあるし、看護界のスターになれる逸材。その性格上、いろんなことができるようになっているが、けっこうできないこともある。
恋愛ごとには意外と積極的で、大谷とはどちらかと言うとしゅりが攻め。
大谷九郎
振り返ればしゅりの胸。ラブコメ担当(そうか女が主人公だと男がラブコメ担当になるのか…)。小さい。まさ子と同じくらいの背丈?しかし男らしくありたい、頼もしくありたいと思っているようで、しゅりに対抗意識を燃やして頑張るが空回り気味。ライバル意識がいつのまにか恋に……この青春野郎め。
西鳥めぐみ
しゅりに頼みごとを断らせることができる類まれな子。宿題見せてとかそんなんだからね。しかたないね。元々真面目だったのが、はっちゃけたタイプ↓。
とてもよくわかる。真面目さに捕われて本来の自分を見失うのは悲しい。特にここで語ることはないんだけど、キャラ単体だと一番好きな子だったり。
根岸まさ子
斜に構えた皮肉屋。上の図の右側。主にツッコミに回る。ちっちゃい。友達のいない暗ガールだったが、しゅりのお陰で青春らしい青春を送れるようになった。ということでしゅりのことをとても好いており、その感情は若干友情をはみ出している節が見受けられないでもないのだが、作中では深く言及されてはいない。しゅりが大森と仲良くなりだしたとき、最初は冷やかしていたもののどうもしゅりが本気らしいと感じてからは大森を快く思わなくなる。が、恋路を邪魔立てする気もないらしく、色々思うところはありつつもそれなりに二人の応援はしている。色々と心に溜めてそうな子。彼女にスポットライトがあたると、非常に内省的な話になる。
ヤッチュン(山中)
察しが良すぎる大谷の友達。常にウインク。大谷と小森の仲に即座に気づき、機転もきかせられる出来るイケメン。というより女顔。ちょっと女っぽくするだけで本作一の美少女になりかねない。
めぐみと何かあると見せかけて特に何もない。しかしそれなりに縁はあるようなので、今後何かあるのかもしれないしないのかもしれない。ただ大谷に対する友情が友情のそれを若干はみ出している感があるのも否めない。まさ子とは馬が合いそう。こいつも色々心に抱えてそうだなぁ。
総評
こんな青春送りたかったという気持ちは否定しないがそんな自分は想像できない。ナイスカップルだからラブコメ好きにはとりあえずいい感じだが、クール教信者の作品はできるだけ全部読まんとあかんのやろなぁ……。
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