『舞勇伝キタキタ』スパイスだけじゃ食べられない

衛藤ヒロユキ, 舞勇伝キタキタ, 第1巻
衛藤ヒロユキ, 舞勇伝キタキタ, 第1巻

↑懐かしい!キタキタ踊りをじっくりくどく見せつけるキタキタおやじ!この間!このくどさ!うっとうしさ!まさしくキタキタおやじ。

魔法陣グルグルのキタキタおやじが主役なスピンオフ。主人公キタキタが実現したと思うと感慨深い。だがキタキタおやじだけを食し続けるのはたいへんなのであった。

目次

基本情報

全7巻。本編として魔法陣グルグルが全16巻、およびその続編にあたる魔法陣グルグル2が2016年3月3日現在第5巻まで出ている。本編を読まずにこれだけ読むことも可能だが、そんな人はいないだろうなぁ。

だいたいこんな感じ

ニケとククリが魔王を封印して世界を救った後の話。勇者を志す少年チキと、キタキタおやじが出会うところから物語は始まる。というか勇者を志して一番最初に出会う仲間がキタキタおやじって可哀想。一応世界を救った勇者パーティーのラストメンバーの一人ではあるんだけどでも可哀想

一介の若者にキタキタおやじの扱いは荷が重く、最初こそ主人公っぽい立ち位置であったものの、存在感の面で圧倒的に不利、かつおやじを御することができず、最後のほうは完全に主人公キタキタ劇場になってしまうのである。

可愛い王女様ルゥというヒロインも一応いる。ただこの子もやはりキタキタおやじのパンチを受け切れる感じではなく、というかキタキタ踊り肯定というたいへん残念な感性の持ち主。いやまあ、元々は女の踊りという設定だったような気がするので、いいのかもしれんけど。いやいいのか?

っていうかなー、チキとルゥがそんなに進展しないんよね。だからラブコメ的には微妙やねん。衛藤ヒロユキなのにどういうことだ。衛藤ヒロユキといえばポエミーなラブコメだろう?ギャグのキレが悪くてもラブコメは裏切らないはずだと思って読んでいたのになぁ。

といいつつ、別にギャグも面白く無いわけじゃないと思うというか、ちょいちょい面白いと思うんだが、なんというかちょいちょい寒い。そしてかなりくどい。おやじがくどい。なんせ常にキタキタおやじがフロントでドアップなもんでな。たまにある分には面白いんだが、しょっちゅうだとなんか疲れるんだ。あと、ギャグってバランスがとても大事だと思うんだけど、それがギリギリはみ出てしまっているような…なんだろう。というかあれだ、ボケにはちゃんとツッコミがおらんと。いやみんなツッコミいれるんだけど、なんか弱くて、キタキタおやじに負けてる。つまりニケが必要なんだ。

ところが、後半に行くに連れてだんだんおもしろく感じられてもきた。それはギャグが面白かったからなのか、それとも単純にノリに慣れてきたからなのか、判然としない。

初めて読んだ時は非常に微妙という感想を抱いたが、後年改めて再読したときは、「記憶より面白いな」と思ったので、何を求めているかで面白さはだいぶ変わるのかもしれない。ただ、やっぱり全体的にくどいのはたしか。ラブがコメらないのもあって、どうしても俺的には微妙という評価なのであった。グルグル的世界観はあるので、懐かしいのは確か。

総評

キタキタおやじラバーでなければ、くどいと感じると思われる。しかしこの後のグルグル2はとってもおもしろいので、作者的には本作でよい充電になったんだろーか。というか後書きが一番好きだったかもしれん。

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