『きみといると』3巻感想:究極でも至高でもない、なんてことのない恋愛模様が最高だと

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作・かがみふみを。

ベタ甘の極致。周囲をやきもきさせつつ、もどかしさを極めた彼と彼女が、自分たちの関係を認識しては慌てふためきつつ二人の世界を展開し続けるラブコメフィールド。彼女を可愛いと思える彼と、彼氏をカッコいいと思える彼女、これ以上幸福な関係はあるだろうか…。

この漫画が楽しめるのは歳食ったからだろう。10年前の俺には耐えられなかった気がする。

以下3巻感想。

目次

ついに彼氏と彼女に

もうね、これ以上ないくらいベタ甘なんだよな。この甘さをニヤニヤ楽しめるようになってしまったのは、間違いなく俺が歳食ったからだよ。ラブコメが好きですって自認できるようになったからだよ。10年前の俺には絶対読めなかったな。

特に、二人がついに正式に付き合った時の感じがこう、たまらんもんがあるね↓。

かがみふみを, きみといると, 第3巻

てめぇらそこに直れ。なんなんだもうこいつら可愛いな。

自分たちの関係を再認識した二人。これまでも付き合っているも同然の二人であったが、本巻でついに正式に彼氏彼女として歩み出す。自分たちの関係を改めて認識するのに気恥ずかしさを感じていた二人は、二人だけでイチャイチャする分にはよいけれど、対外的に「彼氏彼女」ということに大きな抵抗があった。が、それは対外的な話だけでなく、二人の関係にとっても重大なことで、彼氏彼女の関係という大義名分を得たことにより、これまで抑えていた色々なことにチャレンジするようになる。

やっぱ、特別な響きがあるよなぁー…「彼氏」と「彼女」は。ただの「仲良し」なんてふわふわした関係じゃないよっていう。このへんの気持ちを素直に吐露しているなぁと思ったのが↓。

かがみふみを, きみといると, 第3巻

「異性としてなか…よくなるのももちろんうれしいし…

てゆーか…

つーかめちゃめちゃうれしいなあ!!」

素直でよろしい 笑。

うん、そーね。これがアブノーマルな恋愛模様を描いたものだと、むしろこれとは逆で、性別のような属性とか関係なく「君が好き」なんだと表現されることもあり、そういうのは確かにある種究極の愛だなぁとも思うし、そういう見方からすれば、これはすごく平凡で、愛…という言葉もなんだか大仰な気がするなんてことのないものなんだろうと思う。でもそれがいいんだよ。究極でも至高でもない、なんてことのない恋愛模様が嬉しいのだ。

でもそのなんてことのない恋愛がまずないよなぁと思う。岩井は山河の仕草にいちいちときめいて可愛いと思うし、山河は岩井が仕事用のエプロンをつけるだけでカッコいいなんて思っちゃう。これ以上幸福な関係ってあるだろうか。

付き合った後のこと

そしてまたいいなぁと思うが、付き合った後の展開も充実していること。名前を呼ぶだけで大騒ぎだったりなんだり。そーよね、付き合って終わりじゃないというか、むしろそこがスタートといってもいいくらいだ。なんだったら結婚してからがスタートだって見方もあるし。

ここれが恋敵を交えた「結局誰と付き合うの!?」みたいなやつだと、付き合って終わりなことが多いけれど、気になるのはむしろその先なわけで。特にこういう特定カップルのいちゃラブものは、絶対描いてほしいよなと思う。

描かれるべきものが存分に描かれている感じだ。普通はこういうの、照れが入ってなかなか描けないもんだと思うけれど。読むだけでも「うああぁぁぁぁ」って何度もなるのに。すごいわ。そんなもんだから、この漫画を楽しめる人間ってのは限られるんだろうなとも思う。

次巻最終巻。この幸福なカップルはどこまでいくのかな…。

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