『ギリギリ遮る片桐さん』1巻感想:ギャグ味がいいじゃないか

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TALI, ギリギリ遮る片桐さん 1, 2020

ラブコメ分の強いギャグという、微妙に供給の足りてないジャンルの漫画。

そもそもこの表紙で一番のポイントは、後ろにいる心底残念そうな男(主人公)である。増田こうすけを彷彿とさせるこの残念フェイスにはかなり力を入れていることだろう。また、下品になりすぎない程度のいやらしい表情にも注目だ。

そして彼の残念そうな顔に性的興奮を覚える片桐さん(ヒロイン)という構図をもってラブコメ成立。なのでラブコメなのはラブコメなんだが、ギャグ寄りなんだわ。これがね、言うほど多くないジャンルなんよ。有り難いよな。

ただ、この漫画そこそこエロいんだが、そこは正直雑味に感じなくもない。以下1巻感想。

目次

変態に敬意を

巨乳をチラ見する高校生紳士・岡田と、彼のチラ見を邪魔することに悦びを感じるヒロイン・片桐さんのしょうもない攻防。岡田が巨乳を見るときのいやらしい顔と、遮られた時の心底残念そうな顔のギャップが素敵だ。と同時に、そんな彼の様子に性的興奮を覚えてしまう変態ヒロインの図。

1 vs 1で二人静かにバトルのはラブコメとしてはよくあるタイプの一つかもしれないが、それが別の女子の巨乳を見る・遮るというのはなかなかどうしてバカバカしくてよい。

岡田も普通に気持ち悪いとはいえ、基本片桐に邪魔されているし、また「写真を撮ってはならない」「パンツは守らなきゃだめ」など謎の美学も持ち合わせているあたりに、なんとなく紳士を感じさせる。片桐は片桐で、S的な気質であるものの、暴力を振るうヤンキー女子を「直接手をくだすのは美しくない」と断じており、SMの美学を持っているようだ。

そう、この美学のあるなしこそ、愚鈍なスケベと敬すべき変態の差であり、魅力ある人物にはこの変態性が必要なのである!とは俺が勝手に言っていることなので気にしなくていい。

ギャグ味が良い

二人の攻防はジャンル的には1 vs 1のラブコメになるかもしれないが、本質的にはギャグ寄りである。ギャグ寄りだからこそ「片桐は邪魔」などと主人公がヒロインに感じてはいけない感情を大文字で書けるのであるし、岡田が片桐のパンチラを(図らずも)覗き見てしまったのを目撃した大木は心の底から侮蔑の表情を見せられるわけだ。

そしてなにより、片桐さんは岡田の乳視を遮るために常に大木と一緒にいるわけだが

「そもそも岡田くんの視線を遮る為話しはじめたので…いい加減話すこともない!」

などと思っており、この生々しさはギャグの笑いだと、元来ギャグ好きの俺もニッコリ。人間関係の微妙な距離感よ。

しかも片桐は笑って対応してくれている大木さんの笑顔を指して「謎の笑顔」「狂気にすら感じられる機械的大木スマイル」などとひでぇ言い様である。

基本は一話完結ギャグなのに、1巻最後の引きはなかなkどうして小憎らしい。乳視を遮ってビクンビクンしてる片桐さんに、謎の大木スマイルで「気持ちよかった?」と言う大木さんには片桐さんのみならず読者としても「何を知っている…!?」という気持ちにさせられ、たいそう続きが気になる(まぁあっさりスルーされるかもしれんが)。

やけにエロいが

とまぁ楽しんで読んだのだが、個人的にちょっと気になったのはエロース描写だろうか。いや、漫画のテーマ的にエロスがあってもおかしくはないのだが、セクシー担当は巨乳女子・大木ではない。ってか乳袋ではなく乳カーテンだし、実際大木さんの乳はそんなにいやらしくない。

いやらしいのはヒロインの片桐さん。片桐さんは胸が小さいというだけで、お尻は大きく太腿も肉感があり、女性としての性的魅力は十分ある。実際水泳の授業の時は、岡田は片桐さんの尻をガン見しているわけで。ロリータでなけりゃなんにも感じないようなちんちくりんにしてほしかった気はしなくもない。

っつーか片桐さんは大木さんの乳を守るかわりに、自分の乳は岡田の顔面にアタックするしパンツは前から後ろから何度も見られてるしケツは鼻血出るほど心行くまでガン見されてるしなんだかんだでお色気担当っていうか文字にしてみたらすげーなおい。

ギャグがよかっただけに、変にエロス入れてくれなくていいのになぁと思うんだが、だいぶ意識しているっぽくて、正直ちょっと雑味にも感じるが……。

片桐さんの感じている顔は正直ちょっとセクシーに走りすぎていて品がないし、サービスのつもりなんか知らんが百合ネタはやらしさを感じる。昨今ホモでも笑いになるか怪しいご時世だというのに、安易な同性愛ネタはいただけない。まぁヤンキー→岡田の安易なハーレム展開よりはマシなのだが……。

無意味なキャラ

ヤンキー女子といえば、正直岡田・片桐・大木以外のキャラからは若干の不安要素を感じる。間違えたサービス枠に見える。一応ヤンキー女子は片桐さんにSMの美学を感じさせるという役どころがあったが、再登場はぶっちゃけしなくてよかったし、片桐妹に至ってはいてもいなくても何も変わらん。っつか勘違い百合ってマジで何需要だ。

こういう無駄な女子キャラはラブコメはもちろんギャグの邪魔にしかならないんだが、女の子いっぱい出しとけばいいんでしょ、という間違えた解釈が2000-2010年代に流行してしまったために、多くの漫画がろくでもない道を歩んでしまった。

などと思いつつも、岡田・片桐・大木のトライアングルは面白い関係だったので、そのうちに2巻もポチろうかなぁと思う。

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