オススメされたメモで勧められた禁断の二股漫画。
最初読んだ時、2021年現代日本の倫理観にどっぷり染まっている俺としては、いきなりの二股宣言に「そりゃなかろうよ」と思ってしまったが、凄まじいノリと勢いで押し通されたわ。
ありえない設定をバカバカしいノリと勢いで読ませて、しまいに考え込ませるこの感じは、「ボクガール」を思い出させるね。この勢いが大事だと思う。立ち止まってはいけない。醒めたらダメだ。読む側にも熱量を求められる。
いかにこの設定を読者に呑み込ませるかが命題だったと思われる。以下、1巻感想。
勢いで押し切られた
最初に設定見た時は、「おおぅ……」という感じだった。そりゃあさ、「彼女に二股していいか聞いてみる!」って、これはちょっと現代日本の倫理観からすると一発アウトなわけでね。
なんだかんだいって俺も現代日本の倫理観に色濃く染められちゃっているところあるもんで、「こ、これはちょっと……」という気持ちあるんだよ。いやまぁ、浮気を主題にしたラブコメならそりゃあるけど、そういうわけでもなさそうだし……。
実際、最初のほうはかなり「うーん、どうしたもんか…」なんて思いながら読み進めていた。でも、そこはまぁベテラン作家さんやね、読者のそういう気持ちも当然わかっているのだろうか、いやそれとも元々のノリなのか、まぁ勢い、だな。勢いが、すごい。
「えぇー……」なんて思っている間にでけぇ吹き出しとともに次の展開次の展開に進むので、疑問についてじっくり考える暇がない。考える暇もなく次に行く。
そして恐らく、考える暇がないのは作中の彼や彼女も同じなんだね。多分、考えたらダメなんだ。だってさ、そりゃ、理性的に考えたらさ、あかんでしょ。21世紀の日本で生きていたら、ちょっとどうかなって、そう思うのが当たり前の感覚だよね。ましてラブコメなんだから。それを読者にいかに感じさせないかって話で。
二股という選択をする直也も、二号さんでいいですという渚も、現代的な倫理観からは「おいおい」。そこは二人共純粋まっすぐで度を越したバカという点で、嫌悪感より先にツッコミが来るという。で、つっこんでいる間に次にいく😂
とにかく考える暇を与えず勢いで押して、押されている間に読者と正妻に情の感情を植え付けるという技。
正妻の憂鬱
この漫画は一言でいうと一夫多妻制の是非みたいなタブーがあるのだけれど、まぁ一夫多妻制自体は国によっては今でもフツーにあるんだよね。
実際、男と女が欲望に忠実だとそうなるのが自然なんだろうなと思う。雄はできるだけ多くの雌を孕ませたい、雌はできるだけ優秀な雄の子を孕みたい、っていう。なので、主人公・直也と二号さん・渚にとって、二股は理にかなっている。まぁ現代的な倫理観を置いといて、だけど。
一方で、たまったもんじゃないのが正妻こと咲で、実際、本作の大きな課題の一つは、いかにして咲に二股を拒絶させないかだったのではなかろうか。
まぁでも、咲にもジレンマはある。というのも、二股はもちろん御免こうむるのだが、渚が二号さんという立場を受け入れている以上、自分がゲームから降りる=渚が正妻に格上げになってしまう。一番良いのは、直也が渚を諦めることだが、それは直也が渚より咲を選ぶ、ということでもある。
そして咲は、超絶いい子っぷりと可愛さ、さらにドスケベという、男にとって都合の良さの塊みたいな渚を目の当たりにして、自分が選ばれるという自信を消失してしまう。
しかし、先勝ちが基本の恋愛ゲームにおいて、先に付き合っていたというのは大きなアドバンテージだ。またそれがために咲は正妻のポジションにいる。
ということで、咲はひとまず現状維持を選んだわけだ。
三人の要求の鍔迫り合いで、この21世紀の日本のラブコメで、別に浮気漫画というわけでもなく、大真面目に二股という関係に持ち込んだのはすごいもんだね。
どうあがいても不倫
しかし、どういう結論にもっていくんだろう。まさか一夫多妻肯定ってわけにもいかないと思うが。どうなんだろね。まぁハーレムエンドのラブコメもあるにはあるけどさ。
個人的には一夫多妻は最終的に誰も幸せにならない制度だと思っている。今の先進国がみんな一夫一妻なのは偶然じゃないだろう。一夫多妻の国って、クソ弱かったんじゃないかな。最強の男の作るハーレム帝国は激弱😂
まぁ現代日本も時間差一夫多妻なんて言われたりはするけれど、全体としては一夫一妻が続くのは間違いない。一夫一妻は人類の叡智と思うがなぁ。
もっとも、だからといって、フツーに直也と咲がくっついておしまいです、ちゃんちゃん、ってのもそれはそれで鼻白むのもたしか。
この漫画が最終的にどういう方向にもっていくつもりなのか、興味があるので、そのうちに続きもポチるかなと思う。
コメント
コメント一覧 (2件)
やっぱりこの漫画の魅力は『勢い』ですよね。テンポよく進んでいつの間にか話が終わっている。この勢いのまま最後まで突っ走ってほしいです。
冷静に考えさせた時点で「いやいや…」という感情が先に来そうなので、すべてを勢いでねじ伏せるアプローチが功を奏している感じがします。