『賭ケグルイ』6-9巻感想:ギャンブルと書いてラブコメと読めることもある

河本ほむら, 尚村透, 賭ケグルイ 6, 2017, スクウェア・エニックス

なんか一族とか出てきた笑

などと言いつつ楽しめて読んでしまっているシリーズ。

百合っけがやけに強いのが個人的な性癖のため鼻についてしまうのだが、そればかりではなく、ボーイミーツガールあり友情ありで、人間ドラマとして面白いので、なんだかんだで楽しんでいる。

さて、本作は単行本1巻で区切りがつく親切設計となっており、6-9巻においては、6巻・夢子vs百合女、7巻・お家騒動前哨戦、8巻・vs毒姉妹、9巻・生爪ハーガスとメガネ先輩再び、となっている。ハーガスこと伊月と豆生田先輩がちゃんとラブコメしていて驚いた。当サイトの脳みそ溶けた見方は本作においては邪な見方だと思うが、9巻はラブコメ的にもポイントが高い。なので、9巻がベースになるのだが、各巻それぞれで思うところは色々あったりする。

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人間関係、依存関係

読み始めるまでに年単位で積ん読してしまったが、読み始めたらなんだかんだでけっこう楽しめて読んでいるし、昔の時分でも、食わず嫌いせずちゃんと読んでいたらけっこう楽しめたろうな。まぁ現実は数年にわたる積ん読だった。百合っけが強いように感じられたからやね。それ自体は確かにそうで、実際6巻の夢子vs百合女編などは俺の趣味からだいぶ外れているのもあり、無の表情で読んでいた。

人一人を信奉する感じが、俺には理解し難いというのがある。なぜ百合っ子が会長をここまで信奉できるのか、ようわからんのよ。こういう関係は百合特有に思えたが、BLでも同じようなものがあるんだろうか。ありそう。同性愛系のラブコメ特有の浪漫なんだろうか。

と思ったが、異性愛だといわゆる「ヤンデレ」ものなんかも、同じようにかなり依存的な関係と言えるかもしれない。実際、俺はヤンデレについてはB級ホラーのスプラッタを見るような感覚で楽しんでおり、あまり真面目な属性ではないと思っている。ただその中にも白眉はあって、ヤンデレヒロインの作品の金字塔である未来日記は、実は終盤ヤンデレ的な浪漫を破壊するもので、その様がとてもよかったのだが、これについて話し始めると完全にその話になってしまうのでおいておこう。

散兵線に浪漫あり

まぁそんなわけで、6巻はふーんという感じで読み進め、7巻で一族が出てきた時には思わず吹き出し、しかも思わせぶりな一族のうち早速出張ってきたのがクソ雑魚で二度吹くのであった。なんとなく思い出したのは『『武装少女マキャヴェリズム』1-9巻感想:バトルとラブコメの理想的な連携』だった。この作品は全然毛色が異なるが、学園紛争的な展開があり、それで突然出てきた強キャラっぽい人たちに思いのほか馴染みのキャラが善戦し、よくある戦闘力のインフレ展開ではないところが同じような感じだった。……というのが直接的な原因かもしれないが、それ以上に敗者が生き様を見せつけていく感じがデジャブだったのかもしれない。

6巻の百合っ子、7巻の噛ませ指ギロチン、8巻の毒姉妹と、敗者の心理描写、特に負ける時の描写には非常に力がこもっている。これは5巻のメガネパイセンもそうだった。その負けっぷりがよければよいほど面白い仕組みだ。したがって、無敗(厳密には試合に負けてるが……勝負に勝ってると考えていいだろう)の主人公・夢子はいまいち面白くないというのが正直なところで、そのためか夢子は顔芸に力を入れている

メガネパイセンの復活物語

9巻は、過去一の負けっぷりを見せてくれたメガネパイセンの大復活ストーリーである。髪白くて草。敗者視点ではミラなのだが、豆生田と伊月のラブコメのインパクトが強すぎて霞んでいる。というかまぁ、9巻は純粋にこの二人の物語で、後は脇役だろう。本作において散り際はキャラクターの最大の見せ場なので、あまり目立たなかったミラは残念なことだが、まぁネタばらしするとそもそも自分が勝つ気もあまりなかったようなので残当かもしれない。本作、勝つ気のないキャラには厳しい。

まぁ勝つ気がないというと、伊月も豆生田の敗北に賭けながら豆生田を勝たせたわけで、これは一見すると勝つ気のない行動だったわけだが、伊月には「野心」があり、決して勝つ気がないわけではない。それでもなお、伊月は豆生田の敗北に賭けなくてはいけなかった。そうして初めて、伊月は己の気持ちを知ることができるのである。そして何より、その気持ちが本物であることを、豆生田にわからせることができる

このわからせるところが重要で、これで初めて、二人の関係は再び共犯となる。このギャンブルはまず夢子の言うとおり、伊月が自分の本当の心を推し量るものだったのだけれど、その先にあるものとして、伊月はかつての豆生田を取り戻したうえで、対等な共犯者とならなくてはならなかった

実利は口実

さて、伊月のこの行動原理について、純粋にラブコメ的に解釈しても良いのだが、やや穿った見方をすれば、伊月は実利のため必要なことをしたとも言える。伊月にこの選挙戦は荷が重い。選挙戦だけではなく、伊月の力は他よりは強いものの、全体の中で際立つほどでもない。伊月自身は明確に認めずとも、今の己は不足しており、到底頂点にたてないことにも気づいているだろう。したがって、伊月には力のある協力者、いや、共犯者が必要なのだ。

まぁだからといってここまでやるのは、確かに男女の機微はあるというか120%それやからな。伊月からすれば、何も豆生田に執着しなくても他にいくらでも取り入る相手はいる。しかし他には見向きもせず、己を削ってまで豆生田を勝たせた理由が恋慕でなくてなんなのか。その結果として伊月は実利を得ることもあるかもしれないが、それは結果であるし、そんな結果の期待なんかミラも騙された愚行の口実に過ぎない。正直本作でラブコメ純度の高い話が来るとは思わなかった。まぁ人間ドラマを描くなら、恋愛沙汰は基本か🤔

この舞台のお膳立てをした夢子は終始テンションが高く、伊月と豆生田の関係にいたくご満足いただけたようだ。夢子、お前もラブコメ脳なのか……?

どこまで読むかな……

まぁラブコメじゃなくても、この漫画は友達とは違う特殊な関係の二人一組が多いので、「依存」と「信頼」の狭間みたいなのはよく感じるね。毒姉妹戦の鈴井は夢子を「信頼」しているわけだけれど、その行動を毒姉は「依存」と見た。依存と信頼は出力が同じことも多々あるので、難しいね

ところで鈴井といえば、早乙女とフラグがたっているんだろうか。早乙女がわかりやすく赤くなりながらツンデレしている。ツンデレは古典的な男女観に根ざしたボーイミーツガールで映える属性なのでそれはいいんだが、鈴井くんが純粋にいい子なのであまり威力が出ていないという。なんにせよ、鈴井くんも正直最初はこのままフェードアウトもあるなと思っていたが、ちゃんと成長しているようでよかったね。成長して物語の展開についていくキャラはポイント高い。

なんてまぁ、けっこう楽しんでいるけれど、この先読むのもBOOKOFFで手に入るところまでだろうか、という気はしている。既に17巻まで出ているようだが、そこまでは追わないかも……どうかな……。

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