原作 七烏未奏, 漫画 森あいり, 異世界温泉に転生した俺の効能がとんでもすぎる 4, 2019
温泉に転生するというなんかそういうぶっとんだエッチなゲームあったよねみたいな設定の作品。異世界のキーワードが入っているが、温泉転生(?)のインパクトが強すぎてもはや異世界とかどうでもよい。
温泉に始まり温泉に終わる。温泉とはいえ一応実体化はできるみたいなので、少しはラブコメになるかと思ったが、なんだか温泉として生きる道に喜びを見出すのでなんともはや。それっぽい展開もなくはなかったのだが、最終的に女の子が可愛いだけの話になり、ラブコメではなかった。いや、ラブないわけじゃないんだけれどおざなりというか……。しかしまさか本当に温泉のままとは……。
ただまぁ、温泉が舞台なだけにサービスシーンは多い。というかほぼ全編サービスシーンみたいな感じ。以下全4巻感想。
設定強すぎ問題
いやー、ちょっと危ないなーとは思っていたんだけれど、最終巻の子が割と好みの見た目だったのと、半額セールしていたので、まぁ4巻くらいはなら外してもいいかーと思ってポチったのだが、まーなんというかまぁ。
「温泉に転生した」の設定が強すぎる。でもなんか昔そういう話読んだことある気がする。タルるートくんかなんかになかったっけ。
いやしかし、この設定で4巻続けたんだからそれだけでもすごいと思うよ。原作は2巻で終わっているらしいね。それでも長いと思うよ。ぶっちゃけ小説だったら10ページもあればお腹いっぱいだよこの設定。
謎のシリアス
温泉になるというギャグかエロにしかならなそうな設定にも関わらず、話も展開もなぜかシリアスである。いや、最初はちょいエロ系ギャグって感じなんだけれど、それも最初だけで、「この温泉は怪しいから取り壊す!」とかいきなり近くの村の村長が乗り込んできてからは割とずっとシリアス。シリアスなギャグというわけでもなく、恐らく真面目に大真面目。マジか。
真面目なんだが正直笑えるでしかない。エピローグなんてすごい。
「俺は温泉に生まれ変わって本当によかったと思う
異世界温泉に転生した俺の効能がとんでもすぎる
だってそれには人を癒やす力があるのだから」
これが物語を締める最後のモノローグってやばい。しかもこれがシリアスに落ち着いた演出で書かれている。真面目なのか狙いすましたギャグなのかわからない。いやさっきも言ったけど多分真面目なんだ。
いやでもね、どうやってもギャグだよ。っていうか「主人公が温泉」っていう字面がもうギャグでしかないじゃない。なぜシリアスの道を選んだんだ。
ってか主人公は一応元の人間の姿に実体化できるので、ちょっとはラブコメっぽい展開になるのかなと思ったらまさかの真・温泉エンドだからね。そしてヒロインたちは癒やされて皆旅立つという。うおお、マジか。
温泉になりたい心理って
つまり、主人公は完全に場なんだよね。ただそれを最初から前面に出してしまうと、あまりにも強い設定過ぎて読者受けが悪いと思われ、それで実体化とかなんちゃってサービス展開とかラブコメ展開(ないわけではない)を入れたんじゃないだろうか。
まぁでも結局原作は打ち切りってことで、このコミカライズは原作者さんも絡んでオリジナル要素を入れてきたらしい。で、最後はあの温泉エンドだから、多分これが本当にやりたかったことなんだろうと思う。なんかしっとりと終わらせているし、特に笑わせる意図とかないはず。そしてヒロインたちとは微妙にいい感じになったのだが特になにもなく、旅立つ皆を主人公は静かに見守り続けるのです……。
なんでやねん。
「私は温泉になりたい」って「貝になりたい」より絶望が深い気がするぞ。そして人を癒やし続ける存在になるのですって、いったいどんな嫌なことがあったのかと心配になるよ。
やー、最終巻表紙の子とか見た目好みなんだけどね。サービスシーンもたくさんあるけどね。いや、まぁ、なんだな。半額でよかった。