原作 城平京, 漫画 片瀬茶柴, 虚構推理(漫画) 9, 2018
迷わずポチれ、ポチれよラブコメラヴァーズ共よ。
9巻も引き続き短編的な話が続く。岩永琴子のJK時代の話もあります。表紙も制服琴子ちゃん。貴重だ。この時点で九郎のストーカーだったのかどうか、出会ったのは彼女が15歳の頃なので微妙な時期である。ちょうど誕生日を迎える前の高校一年生の年頃だし。あるいは同時期かな。
でも九郎君がいないと、少しばかり賢しさが悪目立ちするというか、たしかにちょっと不気味な感じする。きっと九郎君大好きなのに邪険にされている感じが良いバランスを生んでいるのだろう。
自分はミステリー派閥の人間ではないので、ミステリーとして本作がどう評価されているのかはわからないが、少なくともラブコメラヴァーズ的にはとても良い作品だと断言できるよ。以下9巻感想。
制服ですけど
本巻の話は大きくわけて2つ、JK岩永琴子とギロチン三四郎。いや前者はそんなタイトルではないが。
前者は岩永琴子が高校入学してからしばらくの話で、ミステリ研究部に入る経緯を綴られたものだ。この時点で桜川九郎と出会っているのかどうかはよくわからない。九郎君に出会ったのは岩永琴子が15歳の時だ。15と言えば普通は高校一年生の誕生日を迎える前だ。岩永琴子の誕生日は8巻でも有耶無耶にされていて正確なところがわからない。ただ梅の季節に誕生日トークをしているので、2-3月頃だろうか。ということは、早生まれ、つまり高校一年生のほとんどの期間が15歳ということで、そうすると九郎君に出会っているのかいないのか、微妙な時期ということになる。
いずれにせよ、この話では桜川九郎は出てこない。そして思ったのが、岩永琴子というキャラクターは、単体だと確かに可愛らしいのだが同時に賢しさが目立ち、外見とのギャップも相まって、ミステリアスというよりは不気味というべき印象を受ける、ということだ。特に、この話は視点人物が琴子ではなく、ミステリ研の女子部員ということもあって、その傾向が顕著であった。一瞬覗かせた好色な笑みも、可愛いというよりはマイナスの印象を増幅させるような……。
九郎君大好きなところが可愛いんだろね
そんな彼女がえらく可愛く見えるのは、やっぱり九郎君大好きな姿が実際愛らしいからなのだなぁ、と思った。そして九郎からは塩対応を受けていることも重要である。
このフライドポテトを鼻につっこまれる姿が愛らしい。一方で、九郎は琴子のことを心から邪険にしているわけではなく、"幸せになるべき"という評価である。大事に想っているのだ。そのバランスが良い。
……ただ、九郎はこれまで琴子の"彼女"という言葉を否定することはなかったのだが、ギロチン三四郎の話では「"自称"彼女」と言っており、なんだか自分は完全に認めていない、ということを匂わせている。しかしこの時既に貫通済みではないのか?よくわからんね。
さすがの原作あり
本作は原作者はあまり関わっていないという話ではあるが、そのセリフまわしはいかにも原作がついていそうな小粋ものだ。文章量も比較的多い。そのためか、俺は漫画のあとがきなどに作者さんが長文を書いていたりすると、脳が漫画モードになっている故かつい目が滑ってしまうたちなのだけれど、本作については原作者さんのあとがきをしっかりと読むことができた。これは脳が完全に漫画モードになっていないことの証左といえよう。
いやまぁ、原作なしでも、漫画内の長文をサラッと読めてしまう漫画家さんはいるにはいるんだが、それはたとえば久米田康治や新井理恵などで、いずれも共通点は漫画内の文章量がやけに多いことである。それでいながら、しっかりと読んでしまう程度に文章が自然に上手い(文字が多いだけの漫画は読み飛ばしてしまう!)。まぁ、絵よりも文を追っているということになるのだろうな。漫画は絵と文で構成されているのだから、それもアリだろう。
とはいえ、本作はやはり漫画であるので、原作はまた別の雰囲気であるとはおまけ漫画の言である。本作は個人的に大ヒットだったので、つい原作もポチってしまった。ここしばらく実用書や技術書ばかりで、もう長いこと小説らしい小説を読んでいないのだが(あ、いや、ラノベは小説ではないという気はないんだが……)、お陰様で久方ぶりに文字だけの物語本をまた読めるかもしれない。
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