原作 城平京, 漫画 片瀬茶柴, 虚構推理(漫画) 8, 2018
良いですな。鋼人七瀬編が終わって、7,8巻は短編集的な感じでございました。7巻は小品を集めた感じで、8巻は1巻まるまるの短めのお話。推理もそこそこする。
九郎大好きな琴子ちゃん可愛いし、九郎もなんだかんだツンデレなのでほっこりする。ちょっとつれないにも程がない?って思うくらいだけれど、琴子ちゃんいい性格しているからこれくらいがちょうどよいのだろうと思う。ってか九郎が言う通り、もっとも恐ろしい性格をしているのは主人公かつヒロインの岩永琴子その人なのは間違いない。
それにしても相変わらず表紙が少年漫画みたいだ。以下7-8巻感想。
想像させる関係は楽しい
7巻はちょっとした小品の話を集めたもので、物語の起承転結を楽しめるのはもちろん、男女の素敵ラブコメ話でニヤニヤできてたいへんお得である。さすが原作小説なだけあって、物語自体が面白いうえに、そこで描かれるキャラクターとその関係が魅力的とあっては無敵というしかない。
さらっと九郎が紗季さんと一緒に行っていた場所に琴子を連れて行っているなど、読者が二人の関係を想像するのに有用な情報がさらっと入ってくるのもよい。だいたい良い物語というのは、読んでいるときよりも読んでいないときに楽しめるものである。果たして鰻の臭いを漂わせる女と九郎は同衾したのかなど、想像するだけで楽しい。
どういう経緯で貫通したのか(卑俗)
というか、漫画を読んでいる限りは、琴子が九郎により貫通済みであるという事実が俄に信じられない。特に豆富小僧に幼児呼ばわりされた琴子が激昂したときなど、「誰が幼児だ 私はこれでも今年の五月には二十歳だ コーヒーもブラックで飲むし魚のワタの味だってわかる 他にも精…」といいかけたところで九郎に蹴りを入れられるのだが、この後に続くと考えられる単語ってあれくらいしかないけどマジ?九郎先輩飲ませたの?
……いやどちらかというと琴子のほうが勝手に飲んで九郎に「吐け」とか言われていそうだが……いずれにしてもマジかと思うものの、琴子は(紗季相手でもなければ)そういう嘘はつかなさそうな気がするし、九郎も否定はしないので、まぁ事実なのだろうか。
わからんが、少なくとも貫通したのは事実なのだろう。いったいどんな感じでしたのだろうか。九郎は琴子のことを大事に想っているのは間違いないし、綺麗だとも想っているようだが、どうもあまりそういうことをしたいとは感じていなさそうだが。恋愛的な意味で本当に好きなのかもよくわからんくらいだが。
彼と彼女の関係
元カノである紗季との思い出がある場所に平然と琴子を連れて行くのは、琴子としては面白くなかろうが、同じように接することでそういう関係であることを認めている、のかもしれないし、何も気遣う気持ちがないのかもしれないし、あるいは両方の要素があるのかもしれない。
いや、気遣う気持ちがない、とは考えづらいか。ヌシのところに琴子一人で行かせたのも、いつも自分が一緒とは限らないのだから、という考えからのようだし。実際、九郎がいなくとも琴子は目的のために動く女だろう。人の死さえも「背負っても構わない」と事も無げに(そして実際彼女にとっては事もない)言い放つ女であるし。
岩永琴子は確かに難しい女だが、彼女に対する九郎の気持ちはなかなか複雑なもののようで、それが彼と彼女の関係を想像させ、また岩永琴子というキャラクターを深めてもいると思う。楽しい。次巻からも楽しみだ。ついに原作もポチってしまった。
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