作者は現在ちこたん、こわれるを連載中の今井ユウ。永遠の17歳を具体的に実行する21歳無職女に振り回される浪人生のラブコメ。実年齢があるわけではない二次元キャラは、設定上の数値がすべてであり、考えてみるとなんだか哲学的な気がする。気がするだけ。エロい。注意点として主人公・ヒロインの周囲で百合分がやや強め。
以下感想。
女子高生とは身分ではなく主義である
ヒロインの井森さんは、21歳無職さん。なのだが、どういうわけか女子高生を名乗り、常に制服やスクール水着を着用し、昼間から家で跳び箱やらマット運動やらに勤しむ変態。しかもスクール水着が旧式であったり、体操服がブルマであったりと、どうも本当に女子高生だった時期がないんじゃないだろうかという感じ(そこが味噌の気がする)。
しかし……本人が女子高生だと言えばそれは多分女子高生なのではないだろうか。
井森「コスプレじゃないもん……身も心も女子高生だもん……
ただちょっと通う学校がないだけで……」
もちろん現実ならじゃあ女子高生じゃないじゃんということになるが、記号としてのJK属性であれば、十分に条件を満たしているように思える。少なくとも、この考え方に基いて、Microsoftの人工知能りんなは女子高生を名乗っているはずだ。
エッチなゲームのヒロインたちは、制服を来て高校レベルの授業を受けて、体育や水泳をしながらも、「登場人物は18歳以上です」とお決まりのフレーズが最初になされる。それが故に彼女たちは誰がなんと言おうと18歳以上なのである。だがそんなこと誰も気にしない。それは些細な問題だからだ。女子高生とは、年齢ではない。
実際問題、井森の憧れる女子高生とは、現実に学校に通っている女子高生の身分ではなく、女子高生という記号なのだろう(だから現実の女子高生が何を着ているかよりも、何が女子高生らしいかを第一に考え、旧式のスク水やブルマを推す)し、そこに内包される輝かしい青春の香りに惹かれているわけで、そうであるならば、彼女の行動は必ずしも合理性がないとは言えない。そしてその行為は真剣そのものであり、彼女の生活に完全に溶け込んでいるの。21歳にして無職、そしてその生活のすべてを女子高生っぽい何かにつぎ込んでいる。一時的な変身に過ぎないコスプレなどと呼ばれることはまったくもって心外なわけだ。
つまり彼女は変態だ。
なにげにいちゃラブ
本作は、そんな21歳無職・井森のお隣に引越してきたJK大好き浪人生・川島が、勉強の邪魔をされつつも、いちいちエロい井森さんの性的魅力にすっかりやられてまんざらでもない日々を送る、ちょいエロラブコメである↓。
スク水でストレッチってなにそのマニアック。もちろん本物の女子高生はそんなことしない。さらに感動的なのはスク水エプロンである↓。
イメクラでもこんなんねぇぞ。「タイヘンタイだ」じゃないですよ。川島大興奮。てけてってって♪がむちゃ可愛い。
井森はだらしない生活故にムチムチの体型になっているが、それがまた川島の好みであるようだし、また井森の女子高生関係のコスプレをあれこれ揶揄しながらも、内心けっこう気に入っているようだ。
その肯定を井森も感じ取っているのか、その変態生活のために基本ぼっちな井森にとっても唯一の友達となった川島は大切な存在であるらしく、なんだかんだ言いながら二人仲良くなっていく。しれっといちゃラブカップルもの。周囲には無駄に百合キャラや百合描写もよくあるのだが(作者の趣味なんだろう)、基本エロいのでどちらかというとそれはエロス表現の一種という感じなので、百合嫌いでなければ気にせず読めるのではなかろうか(井森自体にその気はないし)。
20超えって嬉しい
また、主要人物が20超えであるために、酒が飲めるのは大きい。井森は女子高生を名乗りながら、お酒大好きで絶対手放さない。いいね。しかもビール党。シャレた洋菓子より乾き物もってこい的なオッサン臭さ。そこは欲望に勝てないらしい。それでも、酔いながらなお女子高生であることは譲らない。
このへんの描写が倒錯的であり、面白くもある。また、過ぎた青春を取り戻そうとしているだけだとどこか悲壮感もあるが、こうして今を全力で楽しんでいる描写があると、読者としても明るい気分になれる。なんだただの変態かってな。
他、自撮りエロ写メ送ってくるストーカー入ってる34歳巨乳BBA教師、ストーン体型の警察ハルカ、魅力的なBBAが多い。ラブコメ漫画(特にこういう萌え系)のヒロイン年齢の低下が危ぶまれる昨今、貴重である。
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