田中くんはいつもけだるげのウダノゾミの作品、放課後ヒーロー。だいぶ前に1巻を読んだ時は正直言って良い印象がなかったのだけれど、最近読み直したら思いのほか面白く感じられた。
レギュラーはイケメンばかり、ヒロインもいない。でもBLじゃなくて、とても健全。しれっと男の娘もいるけど。以下感想。
BLじゃないので
最初に読んだのはいつだったかな。電子書籍で1巻無料だったから読んだのだけれど、やけにキラキラしたイケメン高校生4人組が野郎だけでつるんでキャッキャしている本で、男が読むには多少ハードルが高い。実際男からするとこんな男いねーってという感想がまず第一で、女がけいおん!あたり読んだらこういう気分になるのかもしれない。
そんなわけで若干BL臭さを感じたのもあって、1巻だけ読んで放置だったのだけれど、著者のウダノゾミはその後田中くんはいつもけだるげでヒットを飛ばし、また実際田中くんは非常に面白かったので、ちょっと本作を読みなおしてみるかと、思い切って全巻大人買い。ラブコメ要素は期待できなくとも、少なくともBLではないはずだと田中くんで確信を得られたのも大きい。
それで読みなおしてみると、なんかけっこう楽しめてしまった。そりゃこんな男いるかってのはそうだろうけれど、それ言い出したら漫画なんて楽しめんしね。現実的かどうかなんてのは問題じゃない。漫画(というか物語全般)を楽しめるかは、その作品の非現実的なところを受け入れられるかどうかにかかっている。前読んだとき、多分BL的ないやらしさを感じてしまったのかも。でもよくよく読んでみるとそういう感じではない。不自然なほどに性的な話はないけれど、皆健全にモテたいとかは思っている。BLじゃないなら読める。
邪念なく楽しめた
とはいえ、この漫画はやはり男よりは女向けだろう。キレイ目な男の子たちがひたすらキャッキャしているだけやからなぁ。ただ本当に毒気がないし、話自体は日常モノとしてけっこう楽しいんよね。それでかつ、ほぼ男しか出ないというのが、逆にこう落ち着くというか。それでいながらみんなイケメンだから画も綺麗だし。本当にまったく、邪念なく日常モノとして楽しめてしまった。
性に絡む話がまったくないのはちょっと不自然かもしれないけれど、でも最終的にはちょっといい感じになる女子もいるし、女子キャラ自体はそこそこ出るしで、要素をまったく排除しているわけでもない。また、かたるんの弟がいなみんを女だと勘違いして告白した時には、残念男でした、でちゃんと諦めさせるし、愛に性別なんて〜みたいなノリじゃない。話自体は野郎どもだけで完結しているけれど、この後彼らは普通に女の子と付き合って家庭をもち、それでも仲良くやっていくんだろうな、と想像できる。それがすごく、ほっこりする。
「田中くんはいつもけだるげ」を読んだ後だからこう評価できるのはあるかなとは思う。この作品をBL作家が描いていたら、同じようには評価できなかったかも。でも違うからこそ、この作品はレギュラーが男だけにも関わらずそこまでいやらしくならなかったんじゃないかな、とも思うんよね。BLはキツイけど、そうでないなら、たまにはひたすらイケメン眺めるのも悪く無いもんだな。
などと言いつつ、一番好きなキャラいなみんですまない。やはり俺の脳は汚れている。男の娘の賞味期限を自覚して鬱になっているところがとてもよかったんだ。初登場時の印象はよくなかったけど。でも友達が心配で転校までするってけっこうガチで黒糖のこと好きよねこの子。
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