『ハイスコアガール』第1巻限定:ボーイ・ミーツ・ガール大賞をもらうべき

時は1990年代前半、アーケードゲーム×美少女というあるはずもない組み合わせの漫画だが、その内容はまさに This is Boy Meets Girl とでも言うべきもの。大賞をもらうべき。授与されるべき。なにか、そういう感じの賞を。ないのか。ねぇのか。そういうの。このマンとかじゃなくて。

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基本情報

ハイスコアガール - Wikipedia

2016年3月26日現在第5巻まで。作者はピコピコ少年だった押切蓮介。この漫画は間違いなく第一級のボーイ・ミーツ・ガールでありラブコメであり、最高なんだけど、著作権問題で味噌がついてしまった悲しい作品。本当にもうなんなんだ。ファンタジーに痛々しいほどの現実持ち込まれちゃって悲しいよ。

続きがどうなるかはおいといて、本記事では第一巻のみ取り上げる。というのも、この漫画は第一巻だけで完結する漫画としても十分面白いというか、むしろボーイ・ミーツ・ガールとしての純度は、一巻完結として見たほうが高い。

だいたいこんな感じ

90年代前半のゲーセンを舞台に、少年ゲーマー矢口春雄と謎の無口系お嬢様大野晶の、ラブコメにしてボーイ・ミーツ・ガール。険悪な出会いから始まり、本来はそぐわない二人が、共通の興味により結びつき、少しずつ互いに惹かれ合っていく。そして劇的なクライマックス。無駄なくコンパクトに、ボーイ・ミーツ・ガールのすべてが詰まっているといっても過言ではない。

ヒロインの大野晶は、ゲーマーの夢。こんな女の子本当にいたらどんなに素敵だろうね。ザンギエフを使いこなし、むかつく女子相手ならゲーム内セクハラ攻撃も臆せず使う、リアルファイトもどんと来いな美少女ゲーマー。それでいて普段は無口なお嬢様というギャップ。うーん素晴らしい。

主人公の矢口春雄も、なかなかいい男の子で、ゲームに夢中な姿は阿呆であるものの、将来一角の人物になりそうな感じもする。なんでもいいから、夢中になれる何かをもったやつは、将来きっとでっかくなるよ。それがゲームでもさ。

とはいえ、お嬢様である大野と、悪ガキのハルオは本来交じり合うはずがない二人である。ちょっと趣味が同じくらいでは、とても結びつかないが、本当にゲームが好きだからこそ、ハルオは大野のゲームに対する真摯な姿勢に好意を抱き、大野にとって新たな世界を見せて、また息の詰まる日常から連れ出すようになる。そうして二人は、互いに認め合い、惹かれ合うのだ。そして劇的なクライマックス!なんて素晴らしいんだろうね。

アーケードゲームをテーマにして、よくもここまでのボーイ・ミーツ・ガールを仕上げたもんだなぁ。今の20代後半以上なら、懐かしさだけでおかわりできる。俺は格闘ゲームが苦手で、いくら練習しても波動拳が安定してだせなかった。そして俺はRPGの世界に逃げ込んだのだが、やはり格ゲーやシューティングゲームをやってこそ真のゲーマーに思える。かつてはゲームを愉快に楽しみ、青春の少なくない時間を捧げた身としては、ハルオと大野は素直に尊敬できる。

なお、ハイスコアガールだけど、二人がプレイするゲームはだいたい格ゲーで、シューティングゲームは管轄外であるらしいので、あまりハイスコア取っていない(ファイナルファイトでそれっぽいくらい)。

とにかく、素晴らしいの一言に尽きるので、一巻だけでもボーイ・ミーツ・ガールが好きな人は読んで絶対に損はない一品。2巻以降はボーイ・ミーツ・ガールとしての純度は下がり、代わりに修羅場アリのラブコメになる。それはそれで面白いが、ちょっと方向性は変わるかな。

総評

ボーイ・ミーツ・ガール大賞を授与されるべき。

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