『姫乃ちゃんに恋はまだ早い』1巻感想:小さな恋のメロディの聴き方を俺も少しわかってきたようだ?

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ゆずチリ, 姫乃ちゃんに恋はまだ早い 1, 2019

作者さんは以前もカプ乱造系描いてはった人なので、その点安心して読み始めた。

が、ラブコメとしては表紙のランドセルからわかるとおり本当に早い。ちなみに「ちょっと男子ー!」系女子の姫乃ちゃんが隣の席のオージくんのこと意識しているおませなラブコメ。

年の差じゃなくて安心。だが小学生ラブコメはラブコメの鬼門だ。何が鬼門って、やっぱラブコメのラブはこう、一生モノのラブであってほしいわけだよ。でも小学生のおませな恋って所詮小学生なわけで、思春期の一過性なのが普通なわけさ。

なので、そこんところをいかに永続的なものに感じさせるかが難しいと思うし、読み手側としても中々難しい……のだが、幼馴染ものの序章だと思えばいいんだと最近思うようになった。果たして本作は楽しめるか。以下1巻感想。

目次

小さな恋のメロディをどう聞くか

結論から言うと楽しめた。

最初は「むむ……難しいところを攻めてきたなぁ」という気持ちが強かった。というのも、小学生のおませなラブコメって、それ自体はすげー微笑ましいんだけれど、ラブコメのメインでやられると、ちょっと厳しいところもある。

だってまぁ小学生は所詮小学生なわけで、小さな恋のメロディの次くらいでヒットするのがまぁ普通というか。小学生時代の恋が一生続くってのは中々想像しづらい。でもラブコメのメインとして描かれる限りは、そういうモノであってほしい。

なので、読者としてもやはりどうせなら思い切り楽しみたいわけだが、「つってもどうせ小学生、すぐに思い出になるんやろー……?」みたいなつまらん大人の邪念が沸いてきて、中々楽しむのも難しいという。

特に男がガキすぎる。いや小学生モノはむしろそれがポイントなんだけどさ。それはわかるんだけれど。男子と女子の成長の落差みたいなのがいいんだって。そりゃわかるんだけれど、一方で明確にラブじゃねぇなぁって。いや余計なこと考えずにほっこりしとけばいいんだと思いつつ、なかなかねぇ。せめて中学生なら……でもそれじゃ普通だよなー。

などと悩ましかったが、最近この手のシチュエーションは「幼馴染モノの序章」だと思えばよいのではないかと思うようになった。

小学生だからこそ大人の味も楽しめる?

ということで、俺の中でこの二人は数年後付き合うという脳内設定がされた状態で読んでいる。本当にどうなるかは知らんけれど。オージくんの感じからいくと、少なくともまだ3,4年はかかりそうだなって。オージくんは優しい少年って感じ。仲間うちでも人間関係の調整役で、他グループとの橋渡しになってそう。

一方で姫乃はプチ大人。子供と大人なら大人のほうに近いかもしれない。翼より姫野といる時のほうがドキドキすると言われた時にした翼に向けた勝ち誇った顔など、誰に教わったわけでもなかろうに女の顔って感じ。

これよくよく考えたら嫌な女の気がするんだが、小学生だと思うとどこか微笑ましい。小学生だからこそ、むき出しの女性の怖さも楽しめるのかもしれない、とちょっと思った。

そんな翼はよっちゃんといい感じだが、こちらはどちらかというと男の子のほうが少し大人。なるほど、こういうタイプもあるか。恋という自覚はしていないだろうが、同性の友達とはほんの少しだけ違う気遣い方をしている。強カードをあげて、「一生使う!」と喜んでいる翼を見守るよっちゃんの表情はほぅ……という感じ。小学生にこの領域に達するとは……ガキ侮りがたし。これはこれで微笑ましく、またこのまま結ばれてほしいなぁと思わされる。

うーん、小学生ラブコメ、けっこういいかもしれないな。できれば長期戦でこの先10年分くらいを描いてくれたらベストだが、その場合もう早くない年齢になってしまいタイトル詐欺になる。まぁでも告った後も告らせたいって言い続けているラブコメもありますし……。

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