『葉月カノンは甘くない』3巻(最終巻)感想:やはりツンデレはラブコメで活きる

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作・コバシコ。2014年1巻、2016年3巻完結。

ツンデレ娘葉月カノンの可愛さをひたすら描いた本作。前巻は友情寄りの話が多く、それはいいんだがその分ラブコメ分が落ちてしまい、ちょっと残念だった。が、本巻はいよいよ玉木との恋愛模様が進展していき、やはりツンデレ娘が一番輝くのはラブコメなんだなぁと思う。

もっとも、あくまでヒロインの可愛さを描くためのラブコメ展開に思え、それはラブコメとしては微妙ではあるのだけれど、ラブコメはラブコメであるし、またハッピーなエンドなので悪い気はしない。

以下最終巻である3巻感想。

目次

やっぱラブコメだね

2巻終わりの玉木の告白(?)を境に、二人の関係に変化が訪れる。カノンはいよいよ玉木のことが気になって仕方なくなるのに、当の玉木はどこ吹く風、いつもどおり飄々とした様子。それがカノンには気に入らない。いい加減ハッキリしろや!……と思ったけど、それは自分もか……と、どうしようもなく気恥ずかしいのを抑えて玉木と向き合う、つまり一言で言うと青春

文化祭からの畳み掛けるようなラブコメ旋風、カノンは元から可愛いヒロインではあったが、その輝きがどんどんと増していく様はまさにツンデレの真骨頂。終盤の照れ顔連発を見るにつけ、やはりツンデレはラブコメでこそ輝くのであるなぁと思う。

そして、なんやかんやあって最後は結ばれる二人。予定調和ではあるけれど、そうでないとね。最終話、自分のことをひたすらに想い続けてくれた玉木への感謝と愛を振り返り、思わず「お前のためならなんだってしてやれるよ」とポロッと零してしまったカノン痛恨のデレ、すべてはこのデレのために。

考えてみると珍しい設定かも

いっときはブームにもなっただけあり、ラブコメ界にツンデレヒロインは珍しくもないが、ツンデレヒロインのいちゃラブカップル漫画はあまりないような気がする。それも、男の方がしっかりとヒロインを好きで、その好意を隠さないというのは珍しいタイプだったんじゃなかろうか。ヒロインに暴力属性とか殺人料理属性とか、そういう雑味もないし、純粋なツンデレヒロイン漫画。

そう考えると面白くもあったが、しかしどこまでもただひたすらヒロインの可愛さを描く本作は、関係性を描いてこそのラブコメとして見るとどうしても今ひとつとも思う。ラブコメはラブコメでも、あくまでカノンの可愛さを描くためのラブコメ展開。俺はこんなサイトをつくるくらいなので、そのことは残念ではあるけれど、でもそこが本作の一番の特色かなとも思う。

ツンデレヒロインの魅力を描いた日常ものとして読むと、一番良いのかな。最後の最後まで、これといった起伏がない。終盤一番の盛り上がりが、「好き」ならハッキリしてくれという、非常に内面的なもので、際立ったハプニングもない。これは正しく日常ものというべきだろう。何もない日常の中で育まれる関係を通じて、これでもかと表現されるツンデレ娘の魅力。ありそうでない作品だったかもしれない。

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