『魔法陣グルグル2』を読んで主人公はやっぱ大事なんだなーと思う

魔法陣グルグル2は2016年3月2日現在、第5巻まで出ている。初代シリーズは全16巻で完結。番外編として舞勇伝キタキタが全7巻。今の二十代後半以上にとってはみんなの思い出。ガンガン作品で一般にも知られたくらいに有名なのは、グルグルとパプワくんくらいじゃなかろうか(ハガレンがあるか…)。特にキタキタおやじのお茶の間に与えた衝撃はすさまじかったようで、うちの両親などは長いこと変な動きを総じて「キタキタ踊り」と呼ぶようになったほど。そんなグルグルも2003年には最終回を迎え、なんと約10年後2012年にまさかの続編。

昔ガンガンで連載していた漫画って、しれっと復活していたり続編が出ていたりするものもけっこうあるものの、評判はあまり芳しくないような気がする。だからグルグルの続編が出ると聞いた時は、舞勇伝キタキタの微妙さも相まってマジかーというのが正直な第一印象であった。ガンガン作品というか昔読んだ漫画全部含めても、グルグルはどこか別格というか、特別だったからなぁ。

大学時代に思い出の漫画について友人(オタクではない)と話していたとき、友人が「俺らはもっとグルグルが読みたかったんだよ」とぼそっと言っていたのをいまだに覚えている。共感する反面、あくまで「面白い」グルグルが読みたいのであって、「面白くない」グルグルなら無いほうがマシとも思う。それでもやっぱり、グルグルの続きが読めることは純粋に嬉しくもあった。

色々と複雑な想いを抱きつつ、恐る恐る第一話を読んでみたら、驚くべきことに面白い。なんというか、本当に昔のままのグルグルで、ライトノベルを揶揄したりなど今風のネタを取り入れつつ、ノリだけはまったく昔のまま(むしろまんま過ぎてこれでいいのか?と不安に思うくらい)。ギャグも切れていて第一話だけで笑いを抑えきれない場所多々。その後もだいたいグルグル中期くらいのノリとギャグのキレで、グルグル後期をもう少し落ち着かせた感じの絵柄で話がずっと続いていく。最新巻を読むとだいたい電車の中で読んだら不審者みたいになってしまう。5巻まで出た今でもそう。

まったく、嬉しい誤算というものだなぁ。グルグルについては、前述した「舞勇伝キタキタ」が全7巻出ているわけだけれど、こちらは正直残念と言わざるを得ない話だった。主人公キタキタが実現してしまったスピンオフだけれど、やっぱりキタキタおやじはたまに出るから面白いのであって、常に前面に出されると、なんというかくどいというか。

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ニケがグルグルの雰囲気を作ってたんだなーと

舞勇伝キタキタと魔法陣グルグル本編の大きな違いといえば、キタキタおやじの扱いがそうなんだけれど、やはりこの濃すぎる親父をあしらえる人間がいるかいないかというのが大きかったように思う。端的に言うと、グルグルのあの独特な雰囲気はニケに起因するところが大きかったんだなぁと、舞勇伝キタキタの微妙さと、魔法陣グルグル2の面白さを比べて思ったよ。

タイムリーなことに、本編5巻ではニケ不在が続いているが、その状況下でキタキタおやじが女子パーティーの雰囲気に馴染めず、ニケがいる時はこんなことはなかったのだが、あれでパーティーの中心的存在だったのだなぁと嘆いている。グルグルで一番のキーパーソンは間違いなくヒロインのククリなのだけれど、パーティーのムードメーカーで、潤滑剤で、ベクトルを決めるのはニケだったのだな。そういう人間をリーダーと言うのかもしんない。グルグルの場合、ニケのそういう立ち位置はキーパーソンであるククリがニケを好き過ぎているからこそなんだけど。ククリにとって一番の関心事は、グルグルであり自分の恋路であり、それが世界に与える影響はあくまでその副次的なものにすぎない。世界を広げているのはそれを受け止める人間がいるからで、なんだか理想的なCEOとエンジニアの関係みたいやね!

勇者の役割って考えてみるとそれなのかもね。CEOみたいなもんで。別に何ができるってわけでもないんだけれど、チームを引っ張る最重要人物。わかりやすい特別な力があるわけでもないのにね。魔法陣グルグル2になってから、ニケ自身はほとんどまともに戦ってないからなー。初代もそうだったけどあの頃はまだキラキラとか光魔法とかのハイライトがあったけど、そんなんもなく、基本的に清々しいほどの他力本願主義。なのに中心的存在であり続けているんだから、たいしたもんだなぁ。

リーダーを表現する難しさ

リーダーというポジションが一番難しくて、よいなり手があまりいないのは現実も創作上の世界も同じらしい。天才キャラにすればよいというものでもないし、特別なチカラを与えればよいというものでもない。リーダーの能力とその大切さ、影響力は説明しづらいだけに、創作上の物語においても表現しづらいんだろう。適当に書くと、何故かわからないがみんなに慕われるという気持ちわりぃキャラになってしまいかねん。

その性質上リーダーは一人だけじゃ存在し得なくて、他キャラの造形もまた大切な要素といえる。その稀有なポジションのキャラをうまく作れたところに、グルグルの面白さがあるのかなとかなんとか、グダグダとそんなことをつい考えてだらだらと書き散らしてしまう程度には、グルグル2は面白いのであった。

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