『神様がうそをつく。』12歳の恋と家族の小さな冒険物語

尾崎かおり, 神様がうそをつく。, 表紙
尾崎かおり, 神様がうそをつく。, 表紙一部

↑12歳の男女の。女子のほうが背が高いのがポイント。公式ページが「いけるよ、さいはてまで」というキャッチコピーの画像を掲載しながら、同じページであらすじを「どこにもいけない冒険物語」と解説するにべもない構成。

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基本情報

神様がうそをつく。 / 尾崎かおり - アフタヌーン公式サイト - モアイ

素敵な一巻読み切り。作者は尾崎かおりという人で、この作品で初めて知りました。いい話だったもんで他のも読もうかと思いつつ未だこれしか読んでおらず。

だいたいこんな感じ

主人公の男子七尾なつるは12歳のサッカーが得意な男の子。サッカーうまくて割と見た目もカッコイイので女子にモテるのだが、クラスの中心的女子を振ったことで女子に無視られるという、小学校あるあるの犠牲者。ってかあれほんとなんなんだろう。男女逆のパターンは聞いたことないし女子特有よな。心の拠り所はサッカーだけど、好きなコーチが病で倒れて、代わりにきたのが無神経でデリカシーのないオッサンで、どうにもしんどい。親父が死んでシングルマザーだし、親にも心配かけたくないし、いろんな小さな憂鬱が積み重なって嫌になってる感じ。

ヒロインは胸以外の発育がいい鈴村理生。漫画にありがちな美少女!って感じではなくて、よく見るとそこそこ可愛いかもって感じの子。これくらいがいいよね。弟の勇太と二人暮らし。親はいるそうだがいつ帰ってくるやらという感じ。ひょんなことからなつるに鈴村の家庭事情を知られる。

、いわゆる秘密の共有から二人の関係が始まるわけだ。で、ある日なつるはコーチ嫌い過ぎてサッカー合宿をサボるんだが、母親に言い出せなくて家に帰れない。そんな折に出会ったのが鈴村姉弟で、家にお呼ばれして、そのまま↓な感じで匿われるようにお泊りすることに。

尾崎かおり, 神様がうそをつく。
尾崎かおり, 神様がうそをつく。

当然合宿は一日じゃないから、お泊りは数日に渡るのだが、そこでの生活がなんというか「夫婦?」という感じ。さすがにふたりきりじゃそんな展開にもなるまいが、鈴村弟がいい感じに潤滑油な役割を果たして、さながら擬似家族を形成する。もう寝る時なんて↓もんよ。

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尾崎かおり, 神様がうそをつく。

ああもう脳みそ溶ける。テレビでラブシーン映って二人で照れたりとかなんかもう本当にご馳走様です。ありがとうございます。

が、こんな生活続くわけないよね。色々あった後、三人で一緒に行った夏祭りをピークにして、その後は仮初の幸せのツケを払うことになる。そして、公式ページにある「どこにもいけない冒険」が始まり、終わりを迎えるのだ。

一応エッセンシャルなネタバレはしない程度に記事を書く方針なので、深く言及はしないけど、決して悲壮感漂っているわけではないです。むしろ、切ないながらも一筋の光が差し込み、じんわりと胸の内が暖かくなるようで、読後感は良い。

この話は、12歳の小さな恋物語という側面はあるけれど、それだけだと何か片手落ちな感が否めない。だいたい、この二人はこの後くっつくのかどうかもわからないし、くっつかない未来も考えられるし、でもそうだとしても二人の間には何か特別な絆はずっとあるだろうと思う。恋物語であり、家族の話であり、そして一度きりの、少年少女の冒険物語。

総評

ボーイ・ミーツ・ガール。オススメ。

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